クサレケカビ(Mortierella)は、クサレケカビ目に属するカビの一群である。かつて接合菌門接合菌綱に含めた。柱軸のない胞子嚢を形成するのが特徴である。主として土壌に生息し、世界中に多くの種がある。 菌糸がよく発達した菌糸体を形成する。寒天培地上では成長は早く、シャーレ内一面に薄い色のコロニーを...
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ケカビは、菌界・接合菌門・接合菌綱・ケカビ目・ケカビ科に属するカビであり、ケカビ属(Mucor。ムコール)の総称である。湿気の多い有機物上に出現する、ごく普通のカビである。 ケカビ属は接合菌類の中で、もっとも基本的な体制を持つものと見なされてきた。基質中に菌糸を伸ばし、空中に胞子嚢柄を伸ばし、その先端に胞子嚢をつける。...
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クサレケカビ科 Mortierellaceae は、かつて接合菌に所属させていたカビの分類群で、ほとんどは土壌に生育する腐生菌である。多核体の菌糸からなる糸状菌で、胞子嚢に柱軸を持たないことが一つの特徴とされる。以前はケカビ目に所属させたが、現在は独立の目、クサレケカビ目 mortierellales...
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カビも数多い。野生の植物にも様々な寄生菌が生じる。 動物質の分解は主として細菌の仕事であり、菌類にこれに関与するものは少ない。まれに大型動物死体の周辺にトムライカビ類などが大量に出現するが、これは細菌類か線虫類に関係を持つものらしい。昆虫など小型動物には、ハエカビ・クサレケカビ...
14 KB (2,044 words) - 09:11, 7 August 2024
ケカビ亜門(Mucoromycotina)は、ケカビ門に所属する菌類の亜門である。3目61属325種からなる。 所属する3目はケカビ目、アツギケカビ目、クサレケカビ目である。 共通する特徴としては、以下のようなものが挙げられる。糸状菌であり、若い間は隔壁を形成しない多核体であり、成熟時には小孔を持つ...
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ケカビ目であった。その中から、次第にいくつかの群が独立させられていった。エダカビ科とシグモイディオミケス科はトリモチカビ目へ移され、キクセラ科はキクセラ目に独立し、他にもアツギケカビ科、ディマルガリス科、グロムス類(一旦はアツギケカビ科に所属)、クサレケカビ...
20 KB (3,105 words) - 06:45, 16 April 2024
のが普通だったが、現在ではPiraila(ピライラ)だけをケカビ科にすることが示されている Aquamortierella:唯一の水中性っぽいケカビ目的カビ。当初はケカビ科とされたが、クサレケカビ科に含めることが多くなっている。 クサレケカビ(Mortierella)類:胞子嚢に柱軸がない。独立科、...
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ケカビ亜門:ケカビ目、およびクサレケカビ目・アツギケカビ目を含む。 ハエカビ亜門:ハエカビ目のほとんどを含める。 キックセラ亜門:キックセラ目・ディマルガリス目と、トリコミケス綱に所属させていたもののうちでハルペラ目とアセラリア目を併せる。 トリモチカビ亜門:トリモチカビ目を含める。...
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スと言い、これがあるかどうかは分類上で重要な特徴とされている。 ケカビ類のなかで、大型の胞子嚢をつけるものでは、ほとんど柱軸が形成される。ウンベロプシスは大型の胞子嚢を作るが、柱軸はごく小さいかほとんどない。クサレケカビ目のクサレケカビも類似した大型の胞子嚢を作るが、柱軸は形成せず、胞子が散布された...
6 KB (1,021 words) - 05:24, 13 February 2014
その後も検討は続き、情報が集まるにつれてその系統関係も次第にはっきりしてきた結果、2023年時点ではケカビ亜目、クサレケカビ亜目、グロムス亜目をケカビ門 Mucoromycota に、トリモチカビ亜門、ハエカビ亜門、キックセラ亜門をトリモチカビ門 Zoopagomycota に纏める説が定着しつつある。ただし、2011年...
11 KB (1,863 words) - 00:12, 5 December 2023
れ、そのうち20種はアツギケカビ属である。 接合菌類のその他の群との関係もあまりはっきりしないが、近年、ケカビ目に含まれていたクサレケカビ類が実は他のケカビ類とは系統が異なり、むしろアツギケカビと近縁であるらしいと言われるようになった。 椿啓介,1978,半子のう菌綱,菌類図鑑(宇田川他、講談社)...
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クサレケカビ属のものとして記載されたものである。ただし同属の多くのものとは異質である事で節としてまとめられて、あるいはケカビ属に移されたり、独立の属としてケカビ科に含められた事もある。 現在ではクサレケカビとは類縁が遠いと見なされ、上記のような位置づけで、ケカビ目のこれ以外のすべてと姉妹群をなすとされている。...
12 KB (1,913 words) - 02:19, 14 July 2023
同様の仮根状菌糸は菌糸を持つツボカビ類(カワリフクロカビなど)、ケカビ目でも見られ、これらの場合、通常の菌糸の側面からこのような仮根状菌糸を出すのが見られる。なお、クモノスカビ・ハリサシカビ・クサレケカビなどの胞子嚢柄を立てる種の中で、その基部に根状の菌糸が限定的に生...
26 KB (4,355 words) - 01:58, 12 December 2023
ケカビ目から外される傾向にあり、ただし Micromucor 類はウンベロプシスの名でケカビ目とされている現在の判断を先取りしたとも言える結果である。ただし、一部の種では真のクサレケカビ類を宿主とする例も知られる。 培養は、一般には宿主の菌類と共に培養する二員培養という手法を使う。まずエダカビ...
13 KB (2,099 words) - 00:28, 5 December 2023
ツボカビ門:サビフクロカビ(Synchytrium ジャガイモ癌腫病) 接合菌門:コウガイケカビ(Choanephora コウガイケカビ病など) 子嚢菌門:タフリナ(Taphrina 桜のテング巣病など)・ウドンコカビ(Erysiphe うどんこ病)、ハイイロカビ(Botrytis 各種植物の灰色カビ病など)...
42 KB (5,846 words) - 22:11, 13 September 2024
ロボスポランギウム (category カビ)
ロボスポランギウム(Lobosporangium)は、クサレケカビ科に属する土壌性のカビの1属で、2004年まではエキノスポランギウム (Echinosporangium) の名で知られていた。 唯一種Lobosporangium transversalis のみが知られている単型属である。以下、記述はこの種のものである。...
7 KB (1,103 words) - 07:58, 5 July 2023
を形成する例(偽接合胞子)もある。普通は他種との比較検討などでどちらであるかが判断される。グロムス類がアツギケカビ類と混同されていた頃、この問題で混乱が生じた例がある。 このほか、クサレケカビ類にスチロスポアといわれる独特な胞子を作るものがあり、これが厚膜胞子に由来する構造ではないかといわれたことがあるが、疑問視されている。...
6 KB (1,032 words) - 05:21, 2 July 2018
土壌などから広く発見され、草食動物の糞からもよく出現する。主としてケカビ目の菌類に寄生する。例外的に、エダカビ属にはコウジカビなどの子のう菌や不完全菌を宿主とするものが一種知られている。宿主の範囲についてはそれほど特異性はないようである。 分離培地上では、ケカビやクサレケカビなどを宿主として出現することが多い。培養する...
9 KB (1,584 words) - 00:31, 5 December 2023
ものが多いが、大小の差があるものもある。その場合、大きい方を雌性とする。ケカビ類の場合、両者が対等に融合するように見えるが、クサレケカビなどでは雌性配偶子のうに雄性配偶子のうの内容が流れ込むようにして接合が行われる。 ミズカビなどの卵菌類の場合、菌糸の側面から出た枝の先端が丸く膨らむようにして生卵...
3 KB (526 words) - 12:12, 23 April 2018
サクセネア (category カビ)
Ellisが1974年に提唱したもので、その際、この属とEchinosporangium(後にロボスポランギウムに改名された)をこれに含めた。しかし、後者については近年はクサレケカビ科とすることが多いので、サクセネア科を認めた場合、現在ではこの属のみが所属する。有性生殖が知られていないことも、判断を難しくしている。...
5 KB (899 words) - 00:26, 15 July 2023
うが定かではない。シロの地下にはマツタケの本体である菌糸体と菌根が発達しており、土壌が白くなっている。マツタケは貧栄養な比較的乾燥した鉱質土層にクサレケカビ属真菌(Mortierella sp.) などと共に生息し、そこに分布する宿主の吸収根と共生する。 地表に落枝・落葉・松ぼっくりなどが蓄積して富...
46 KB (6,392 words) - 21:23, 28 October 2024
微鏡で上から見ると、球形の胞子のうがあるようにも見える。根元に仮根があるから、生きた状態ではクサレケカビ類のあるものと見分けが紛らわしいことがある。 すべて他の接合菌類の絶対的寄生菌である。多くの種ではケカビ目のものを宿主としている。その範囲では宿主の特異性はそれほど高くない。...
16 KB (2,885 words) - 00:29, 5 December 2023
ャーレに入れ、これに乾燥サクラエビを入れて観察するというものである。クサレケカビ類などに土壌中の甲殻類(ダンゴムシなど)の死骸と特別な関係をもつものが発見されたため、それらを観察する方法として開発されたもので、このほかにブラシカビなどもよく出現するという。 青島清雄・椿啓介・三浦宏一郎編(1983)『菌類研究法』共立出版...
6 KB (1,010 words) - 00:47, 4 March 2023
Emericellopsis, Paecilomyces, Mortierella(クサレケカビ), Sporothrix, Penicillium(アオカビ), Aspergillus(コウジカビ), Metarhizium 金澤晋二郎、アルミニウム耐性土壌菌の選抜 日本土壌肥料学会講演要旨集...
56 KB (7,567 words) - 14:18, 16 December 2024
。しかし、2010年代のより多くの分子データに基づく分子系統学的研究からは、グロムス類がケカビ目やアツギケカビ目、クサレケカビ目とともに単系統群を形成することが示唆されるようになった。そのため、グロムス類をケカビ門グロムス亜門に分類することも提唱されている。 2021年現在、グロムス門には50属34...
54 KB (5,426 words) - 04:51, 25 February 2024
従来接合菌とされてきた群でも菌寄生菌は数多く、それらでは宿主の特異性が種や属に限る、といったレベルで狭いものは多くなく、大抵はケカビ目の複数の属、あるいはそれとクサレケカビ目に跨がる、といった範囲を持つものが多いが、子嚢菌や担子菌を宿主とするものも知られている。しかし個々の種でそれらに跨がる宿主の範囲を持つ例はない。...
12 KB (2,060 words) - 23:44, 9 June 2024
rhizoxinicaのみを含む。 Mycoavidus Ohshima et al. 2016 (IJSEMリストに記載 2016) ケカビ亜門(Mucoromycotina)菌類であるMortierella(クサレケカビ)内生細菌Mycoavidus cysteinexigensのみを含む。 Pandoraea(パンドラエ属)...
81 KB (9,373 words) - 04:24, 2 November 2024