ミオグロビン(英語: myoglobin)(略: Mb)は、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。クジラ、アザラシ、イルカなど水中に潜る哺乳類は大量の酸素を貯蔵しなければならないため、これらの筋肉には特に豊富に含まれている。一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する。...
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グロビンとヘム(平面状のポルフィリンが配位した鉄イオン)を含んでいるため、単にヘモグロビンと呼ばれることがある。しかし、これらのタンパク質の三次構造は、脊椎動物のヘモグロビンとは大きく異なる場合がある。特に、原始的な動物で、筋肉を持たないものにおいては、「ミオグロビン」とヘモグロビン...
18 KB (2,663 words) - 04:06, 23 November 2024
日本では古くから、カツオやマグロなどの鮮魚として出回る魚介を一酸化炭素処理すると、刺身にした際に発色が良くなり新鮮そうに見えることが広く知られていた。 一酸化炭素がミオグロビンに結びつくとカルボキシミオグロビンになり、鮮やかな赤色を呈する。このカルボキシミオグロビンは、酸素が結びついたミオグロビン...
12 KB (1,497 words) - 16:23, 31 August 2024
血尿(けつにょう)は、尿に血(赤血球)が混入していること。赤血球尿とも呼ぶ。ミオグロビン尿・ヘモグロビン尿とともに、潜血反応が陽性を示す。重篤な疾病の症候として現れるため血尿に気づいたら、1 - 2日以内に医療機関での診察が必要とされ、痛みや排尿困難の症状を伴う場合、直ちに医療機関での診察が必要であ...
10 KB (1,398 words) - 14:33, 12 March 2024
グロビン、ミオグロビン、ミトコンドリアの電子伝達系(シトクロム)、薬物代謝酵素(P450)、カタラーゼ、一酸化窒素合成酵素、ペルオキシダーゼなどのヘムタンパク質の補欠分子族として構成する。ヘモグロビンは、ヘムとグロビンから成る。ヘムの鉄原子が酸素分子と結合することで、ヘモグロビンは酸素を運搬している。...
18 KB (1,953 words) - 04:00, 23 November 2024
ミオグロビンの蓄積である。通常、血液中のタンパク質であるハプトグロビンが、循環しているミオグロビンやその他のヘム含有物質と結合するが、横紋筋融解症ではミオグロビンの量がハプトグロビンの結合能を上回る。尿中にミオグロビンが出現するミオグロビン尿(英語版)は、血漿中のミオグロビン濃度が0.5~1...
61 KB (7,064 words) - 04:13, 17 August 2024
食肉を特徴付ける赤い色はミオグロビンによるものである。ミオグロビンはその誘導体の種類により呈する色が変化するが、好まれる鮮やかな赤色は、ミオグロビンが酸素と結合したオキシミオグロビンによるものである。オキシミオグロビンはさらに酸化されるとメトミオグロビンになるが、このメトミオグロビン...
47 KB (7,075 words) - 14:41, 29 October 2024
のひとつであり、負傷現場で医師の注意が必要な場合がある。負傷者の病態生理学的に適切な救護が必須である。挫滅部位の不用意な除圧により、挫滅組織からミオグロビンやカリウムなどが全身に急激に放出され、ショックや腎不全、致死的な不整脈による心停止すら生じることもある。...
23 KB (3,023 words) - 01:46, 15 August 2024
グロビンは球状タンパク質の一群である。このタンパク質はグロビンフォールドを持っている。グロビンのうち有名なものはミオグロビンとヘモグロビンであり、共にヘムを含んでいるとともに、酸素の運搬に関わる。 グロビンは、ヘムを含んでいる、酸素との結合や運搬に関わっているタンパク質である。多くの生物に存在し、非常にサイズが大きいのが特徴である。...
2 KB (212 words) - 23:51, 29 July 2017
遊離ヘムは脂溶性の鉄であることから、活性酸素生成を促進して細胞傷害を悪化させる。例えば、ヘムを含むミオグロビンは、筋挫滅や強い圧迫を受けた筋肉が開放されるとカリウム、乳酸などと大量に流れ出し、クラッシュ症候群を引き起こし、急性腎不全を引き起こす。ミオグロビンやヘモグロビンのヘム色素は急性尿細管壊死を引き起こし腎不全の原因となる。...
4 KB (622 words) - 17:56, 7 October 2024
重症筋無力症(Myasthenia Gravis) 筋無力症候群(Myasthenic Syndrome) ミオグロビン尿症(Myoglobinuria) ダノン病(Danon Disease) ミオパチーにはいくつかの特徴的な所見が知られている。 病歴ではADL障害、学校体育の状況、健康診断での異常、...
58 KB (9,804 words) - 14:31, 2 June 2024
ぶ脚の第1および第2部位の歩行筋である。 鳥類解剖筋学者が「赤筋」と呼ぶダークミートは持続的な運動(ニワトリの場合主に歩行)に使われる。濃い色はミオグロビンと呼ばれる筋肉内の化合物によるもので、この物質は酸素の運搬に主要な役割を果たす。対照的に白筋は、短く非効率な瞬発的運動(ニワトリの飛翔)に適して...
5 KB (458 words) - 06:59, 11 February 2024
グロビンフォールド(Globin fold)はタンパク質の三次元フォールドの1つである。通常8つのαヘリックスからなるが、末端にさらにヘリックスを持つものもある。名前の由来となったヘモグロビンやミオグロビンの他、フィコシアニンなどで見られる。ミオグロビンは初めて構造が解かれたタンパク質であるため、...
2 KB (310 words) - 22:04, 2 April 2014
フェオポルフィリン ヘムエリトリン ヘモグロビン ヘモバナジン ヘモシアニン ポルフィリン ポルフィン ミオグロビン フィコビリン系色素 フィコシアニン フィコビリン フィコエリスリン フィトクロム ビリベルジン ビリルビン アリザリン アントシアン アントラキノン インディゴ ウロビリン エリトロクルオリン カルタミン...
20 KB (3,073 words) - 11:21, 11 November 2024
と持続的な運動を司る赤筋繊維(赤筋)があり、マグロのように休みなく高速で泳ぎ続ける赤身の魚は赤筋の比率が高い。また、その生態を維持する上で必要な酸素を保持する赤いミオグロビン色素を持つ。 赤身と白身の区別は、100グラム当たりのヘモグロビンとミオグロビンの含有量が10mg以上が赤身、10mg未満が白...
4 KB (516 words) - 00:55, 22 November 2024
人工肉用の組換えミオグロビン(Motif Foodworks) 組換えレグヘモグロビン(英語版)を使った人工肉(インポッシブル・フーズ) 乳製品代替用の組換え乳清(パーフェクト・デイ(英語版)) 組換え卵白(EVERY) ミオグロビンやヘモグロビン...
47 KB (5,989 words) - 01:56, 9 August 2024
筋線維には大きく2種類あり、ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な遅筋線維(Type 1、赤筋、色の原因は、酸素結合性タンパク質、ミオグロビンである)と、ミトコンドリアは比較的少なく解糖系による瞬発的な収縮の可能な速筋線維(Type 2、白筋)にわけられる。速筋線維の中でもやや持続的収縮に向いたものはType...
5 KB (830 words) - 13:08, 6 March 2024
グロビンは、鉄のイオンを利用して酸素を運搬している。ヘモグロビン1分子には4つの鉄(Ⅱ)イオンが存在し、それぞれがポルフィリンという有機化合物と錯体を形成した状態で存在する。この錯体はヘムと呼ばれ、ミオグロビン、カタラーゼ、シトクロムなどのタンパク質にも含まれる。ヘモグロビン...
74 KB (10,582 words) - 14:08, 20 September 2024
メトミオグロビン(Metmyoglobin)は、酸素運搬タンパク質であるミオグロビンの酸化したものである。メトミオグロビンは、食肉が古くなると茶色を呈する原因物質である。 生きている筋肉においては、補酵素であるNADHとシトクロムb4の存在下でメトミオグロビンの補欠分子族であるヘムの Fe3+ を通常のミオグロビンの...
2 KB (182 words) - 01:10, 31 January 2019
赤血球 (section ヘモグロビンと酸素・二酸化炭素輸送)
短距離走などの激しい運動をしている筋肉では組織内の酸素分圧は一気に 5mmHg 程度に下がる。この酸素分圧レベルになると筋肉組織内のミオグロビンが蓄えていた酸素を放出して一時的に賄うがミオグロビンは酸素に対する親和性がヘモグロビンより高いので通常の組織内の酸素分圧レベル 20mmHg 以上では酸素を供給することはできない。 ^...
99 KB (14,985 words) - 04:33, 24 December 2024
日本水産学会は1976年に「100gあたりの身に含まれるヘモグロビンかミオグロビンの含有量が10mg以上の魚肉」を赤身魚と定義している。 なお、サケの身は赤いが、これは餌である甲殻類の外殻に含まれるカロテノイドであるアスタキサンチンが摂取されたことによるためである。このため区分としては白身魚として扱われる。 マグロ...
5 KB (624 words) - 21:07, 2 December 2023
サーモンなどサケ類の身はピンク色に見える。これは、餌となる甲殻類のアスタキサンチンによるもので、これらは白身魚に分類される。 なお赤身と白身の区別は、100 g当たりのヘモグロビンとミオグロビンの含有量が10 mg以上が赤身とされている。 ヒトへの利用 鮮魚 - 刺身、寿司 焼き物 - 焼き魚 (塩焼き) 煮物 - 煮魚、煮込み料理...
6 KB (741 words) - 03:46, 20 May 2024
皮下や消化管などの全身で持続性の出血が起こる。骨格筋が溶解し筋肉中のミオグロビンが血液中に流出し、ミオグロビン血症・褐色尿を引き起こす。全身の腫脹によって循環血液量が減少することで腎機能障害を引き起こす原因になったり、ミオグロビンの流出量が多いと腎臓の糸状体で詰まることで腎組織が壊死する。出血と末...
26 KB (3,462 words) - 21:12, 26 December 2024
では単独のヘムよりも効率的に酸素を取り入れることができる。一方で、細胞中のミオグロビンのそれぞれのヘムにはヘモグロビンのような協同効果は無いので、酸素との結合生成反応は酸素濃度に一次で比例するだけである。この結果、ヘモグロビンは酸素の多い肺では酸素を吸収し、酸素の少ない各細胞では酸素を放出することができるのである。...
9 KB (1,378 words) - 23:45, 11 April 2024
脱水 感情的ストレス 運動 発熱 起立性タンパク尿 発作 腎前性タンパク尿 血色素尿症 多発性骨髄腫(multiple myeloma) ミオグロビン尿 マクログロブリン血症 H鎖病 特発性L鎖病 腎性タンパク尿 アルポート症候群 アミロイドーシス 糖尿病 感染症(HIV、梅毒、肝炎、レンサ球菌感染後など)...
6 KB (693 words) - 05:33, 11 June 2023
グロビン尿症)などがあげられる。 ミオグロビンは筋肉に含まれる色素。横紋筋融解症による急性腎不全、筋肉疾患、外傷によってミオグロビンが筋肉細胞から離れ血中に入り腎臓で尿に濾される。心筋梗塞などでも見られるが、心筋梗塞でははっきり尿が赤く見えるほど着色することはまれである。前述のヘモグロビン...
21 KB (2,809 words) - 07:41, 22 February 2024
倦怠感などのほかに、重篤なものとして横紋筋融解症、末梢神経障害、ミオパシー、肝機能障害、血小板減少、心不全の発症、動脈硬化症などがある。このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあるため、投与時にはクレアチンキナーゼやミオグロビンなど筋原酵素の動態に注意を払う必要がある。アルコール中毒者や肝臓...
20 KB (2,440 words) - 10:49, 29 November 2024
coturnism と称される中毒を発症することがある。具体的には横紋筋融解症が発症し、大量のミオグロビンが血中に溶解することでミオグロビン尿症が見られる。最悪の場合、溶け出したミオグロビンが尿細管に詰まって細管の壊死を引き起こし、急性腎不全に陥いる。また他の臓器機能不全も同時に起きて、そう...
7 KB (839 words) - 22:50, 23 June 2023
食肉は空気中でミオグロビンがメトミオグロビンに酸化されて褐色に変色する。亜硝酸ナトリウムを添加すると食肉中の乳酸と反応して亜硝酸を生じるが、これがヘム鉄をニトロシル化して、ニトロシルミオグロビンやニトロシルヘモグロビンを生じる。これらは赤色の物質であり、食肉製品に鮮...
3 KB (470 words) - 14:24, 8 December 2023
グロビンやミオグロビンは酸素と結合した時としない時とで近赤外領域での吸光特性が異なる。これらの性質を利用して、生体の非侵襲計測に利用することができる。1940年代にGlenn Allan Millikanは、in vivoでの血中ヘモグロビン...
5 KB (683 words) - 17:48, 27 June 2024
反応が起こると、反応速度は異なった形になる。 血液中のヘモグロビンやミオグロビンへの酸素の結合親和性を評価する場合は、結合曲線を用いたモデリングが有用である。4つのヘム基を持つヘモグロビンは、協同的結合(英語版)を示す。すなわち、ヘモグロビン上のあるヘム基に酸素が結合することで、次のヘム基に対する酸...
28 KB (3,630 words) - 09:56, 8 April 2024