ホモロジー代数・圏論 > アーベル圏 アーベル圏(アーベルけん、英: abelian category)とは(コ)チェイン複体のホモロジー/コホモロジーと層のコホモロジーの双方を展開するのに十分な構造を備えた圏である。 アーベル圏となる圏の具体例としてはアーベル群の圏や環上の加群の圏、アーベル圏...
25 KB (3,886 words) - 12:05, 28 June 2024
数学の一分野である圏論におけるアーベル群の圏(あーべるぐんのけん、英: category of abelian groups)Ab は、アーベル群を対象とし群準同型を射とする圏である。アーベル群の圏はアーベル圏の原型であり、実際に任意の小さいアーベル圏は Ab に埋め込める。 アーベル群の圏 Ab の零対象は、単位元のみからなる自明群...
7 KB (978 words) - 09:04, 1 July 2024
ねじれのない群の理論を単純に合わせればよいという話にはならない。 アーベル群の圏 アーベル圏 [脚注の使い方] ^ 人名に由来する名称なので、通常は Abelian group と A を大文字にすべきところであるが、しばしばアーベル群は数学のあらゆるところに遍在するという意味を込めて "abelian"...
15 KB (2,298 words) - 11:18, 10 October 2023
R-加群の準同型でなければならない。表記の都合のため、アーベル群(より正確には、アーベル群の圏 Ab)に注意を制限しよう。名高いミッチェルの埋め込み定理によって、結果は任意のアーベル圏に一般化される。すべてのチェイン複体はさらに2つのアーベル群の列を定義する。サイクル (cycle) Zn = Ker...
31 KB (4,658 words) - 19:55, 10 September 2023
\mathbb {Q} } はねじれがないが自由アーベルでない。 有限生成アーベル群のすべての部分群と商群は再び有限生成アーベル群である。群準同型とともに有限生成アーベル群は、アーベル群の圏のセール部分圏であるアーベル圏をなす。 有限ランクのすべてのアーベル群が有限生成というわけではないことに注意せよ。ランク...
8 KB (1,110 words) - 13:53, 13 March 2023
の任意の射が自身の余核の核に等しいことは期待できない。 アーベル群の圏 Ab は群の圏 Grp の充満部分圏であるが、Ab がアーベル圏を成すのに対し Grp は非アーベルである。実際に、Grp は二つの群準同型の「和」を定義する自然な方法が存在しないから、加法圏ですらない。 実例として、三次対称群 S3 上の自己準同型全体の成す集合...
6 KB (922 words) - 11:56, 1 August 2022
完全関手 (category 加法圏)
も完全列となるとき、Gは完全であるという。 アーベル圏の全ての同値や双対は完全である。 もっとも基本的な例として、Hom関手は左完全である。すなわち、Aをアーベル圏とし、Aをその対象とするとき、FA(X) = HomA(A,X) はAからアーベル群の圏Abへの共変左完全関手を定める。この関手FAは...
7 KB (1,251 words) - 00:41, 14 January 2024
と書く記法に由来して、前加法圏を「Ab-圏」と呼ぶこともある。著者によっては前加法圏を加法圏と呼ぶこともあるが、ある特別な前加法圏(以下の#特別な場合を参照)のことを加法圏と呼ぶのが最近の傾向である。 前加法圏のもっとも明らかな例は圏Ab自身である。より詳しくいうと、Abは閉モノイダル圏である。注意すべきは可換性が重要な意味を持つこ...
11 KB (1,825 words) - 13:27, 1 May 2024
数学においてアーベル圏 A {\displaystyle {\mathcal {A}}} の導来圏(どうらいけん、英: Derived category、仏: Catégorie dérivée) D ( A ) {\displaystyle D({\mathcal {A}})} はホモロジー代数から構成されるもので、...
21 KB (3,444 words) - 01:34, 23 October 2023
である。二項等化子が射が引けない前加法でない圏においてさえ「差核」とよばれるのはこの事実のためである。 任意の核は,他の等化子がそうであるように,単射である。逆に,単射が正規(英語版)であるとは,ある射の核であることをいう。圏が正規であるとはすべての単射が正規であることをいう。 とくにアーベル圏...
8 KB (1,167 words) - 14:41, 11 August 2023
ミッチェルの充満埋蔵定理は、任意のアーベル圏が加群の圏の充満部分群として実現できることを述べるものである。 左加群の圏、右加群の圏、両側加群の圏それぞれにおいて射影極限および帰納極限が存在する。 可換環上の加群の圏は、加群のテンソル積 ⊗ を考えることで対称モノイド圏を成す。 アーベル群の圏 係数環 R として有理整数環...
5 KB (708 words) - 11:55, 1 August 2022
= 0 である。右導来関手は単射対象では 0 である。このことが以下の構成の動機である。 アーベル圏 A を考える上での重要な仮定は、圏 A が充分単射的であることである。この充分単射的とは、A の全ての対象 A に対し、A の単射対象 (injective object)...
23 KB (2,300 words) - 12:17, 1 August 2022
完全系列 (category 圏論)
は完全である。また、f, p はアーベル群の準同型で、im(f) = 2Z = ker(p) であることは明らかである。最後に Z/2Z → 0 は Z/2Z の全ての元を 0 とする準同型で、その核は Z/2Z 全体となるが、p は全射であるからこれも完全である。 一般に、考えているアーベル圏における零対象を 0...
7 KB (1,131 words) - 05:10, 17 May 2024
射影極限 (category 極限 (圏論))
アーベル圏 C に対して、逆極限函手 lim ← : C I → C {\displaystyle \varprojlim \colon C^{I}\to C} は左完全である。I が可算順序集合(単に半順序が入っているというのではない)で、C がアーベル群の圏 Ab のとき、ミッタークレフラー条件とは...
14 KB (2,133 words) - 08:07, 12 August 2024
isomorphic) であるという。 前加法圏 / 加法圏 / アーベル圏 完備圏 モノイド閉圏 / デカルト閉圏 トポス 圏が与えられているとき、そこからより複雑な高次圏を考えることができる。簡潔には、2 つの対象の間の射を「一方の対象からもう一方への対応関係」とみなすならば、これを高次圏...
24 KB (2,632 words) - 22:55, 11 September 2024
の中の点では 1 に等しい。 (X, OX) 上の連接層の圏はアーベル圏であり、(X, OX) 上の OX 加群のなすアーベル圏の充満部分圏である。 (同様に、環 R 上の有限生成加群の圏も、すべての R-加群の圏の充満アーベル部分圏である。) R により、大域切断のなす環 Γ(X, OX) を表すとすると、任意の...
22 KB (1,964 words) - 07:50, 11 June 2024
単射的対象 (category 対象 (圏論))
数学,特に圏論において,単射的対象(たんしゃてきたいしょう,英: injective object, あるいは移入的対象,入射的対象)の概念は単射的加群の概念の一般化である.この概念はホモトピー論とモデル圏の理論において重要である.双対概念は射影的対象である. C {\displaystyle {\mathfrak...
6 KB (833 words) - 16:28, 11 September 2023
がアーベル圏ならば DC もそうである; また次も成り立つ: C が任意の小さい圏ならば、前層(英語版)の圏 SetC はトポスである。 なので上の例から、有向グラフ、G 集合、位相空間上の前層の圏はすべて完備かつ余完備なトポスで、G の表現、環 R 上の加群、位相空間 X 上のアーベル群の前層の圏...
11 KB (1,554 words) - 01:35, 10 August 2023
の余核と呼ばれる。 アーベル群、ベクトル空間、加群といった抽象代数学の多くの状況において、準同型 f : X → Y の余核は Y の f の像による商である。ヒルベルト空間の間の有界線型作用素のような位相的な設定においては、典型的には商にいく前に像の閉包をとらなければならない。 圏...
8 KB (1,251 words) - 15:10, 11 September 2023
圏 C と C における射 f : X → Y {\displaystyle f\colon X\to Y} が与えられたとき,f の像(ぞう,英: image)は単射 h : I → Y {\displaystyle h\colon I\to Y} であって以下の普遍性を満たすものである: f =...
2 KB (351 words) - 14:45, 11 August 2023
抽象代数学において、自由アーベル群 (free abelian group) あるいは自由 Z-加群 (free Z-module) とは基底をもったアーベル群のことを言う。 アーベル群であるという条件は、結合的、可換、可逆な二項演算をもった集合であることを意味し、慣習的に演算は「加法」として、逆元...
32 KB (4,940 words) - 00:36, 27 September 2023
び無限)巡回群の直積として表されるという有限生成アーベル群の構造定理が知られている。アーベル群全体の成す圏 Ab はアーベル圏を成す(実は、アーベル圏はアーベル群の圏を原型として定義される概念である)。この逆は、任意のアーベル圏は適当な環上の加群の圏に埋め込まれるというミッチェルの充満埋め込み定理として知られる。...
16 KB (2,657 words) - 05:31, 24 June 2021
分解 (ホモロジー代数) (section アーベル圏における分解)
双対の余分解 (coresolution) あるいは右分解 (right resolution))は加群(あるいはより一般に、アーベル圏の対象)の完全列であり、加群あるいはこの圏の対象の構造を特徴づける不変量を定義するために用いられる。通常通り射が右向きのときは、列は(左)分解については左側に無限で、...
15 KB (2,322 words) - 05:44, 13 May 2023
群準同型 (category 圏論)
に成分を持つ m-次正方行列全体の成す環に同型である。上記の和と合成に関する両立性はアーベル群(と群準同型)の圏 Ab が前加法圏を成すことをも示している。直和の存在や核がよく振舞うことから、圏 Ab はアーベル圏の原型的な例となっている。 準同型定理 Lang, Serge (2002), Algebra...
12 KB (1,763 words) - 22:18, 25 January 2024
アーベル関数(英語版)、アーベル多様体上の有理型関数 アーベル積分(英語版)、第一種微分の不定積分に関連する関数 前アーベル圏(英語版)、核と余核を必ず持つ加法圏 アーベル圏、すべての単射が核でありすべての全射が余核である前アーベル圏 ゲージ理論が(非)アーベルとは、その対称性の群が(非)可換なことをいう アーベル (クレーター)...
3 KB (452 words) - 12:35, 12 March 2018
語版)のアイデアで始まるもの)が複体へ適用される。鎖複体は、アーベル圏で定義することも容易にできる。 鎖複体 ( A ∙ , d ∙ ) {\displaystyle (A_{\bullet },d_{\bullet })} は、アーベル群、あるいは加群の列 ..., A2, A1, A0, A−1...
13 KB (2,197 words) - 20:14, 10 September 2023
の余極限)を C の極限に写す。ある意味では、このことは極限や余極限の定義として採用することもできる。 A をアーベル圏、A を A の対象とすると、HomA (A, _) は、A からアーベル群の圏 Ab への左完全共変関手である。この関手が完全であることと、A が射影的対象であることとは同値である。...
9 KB (1,164 words) - 14:12, 11 August 2023
となることをいう.充満部分圏は S の対象の間のすべての射を含むものである.C の対象の任意の集まり A に対し,対象が A であるような C の充満部分圏が一意的に存在する. 有限集合の圏は集合の圏の充満部分圏をなす. 対象が集合で射が全単射な圏は集合の圏の充満でない部分圏をなす. アーベル群の圏は群の圏の充満部分圏をなす....
6 KB (941 words) - 09:01, 1 July 2024
、加群とは(ベクトル空間がそうであるように)加法的なアーベル群であって、その元と環の元との間に乗法が定義され、その乗法が結合的かつ加法に関して分配的となるようなものである。 任意のアーベル群は有理整数環上の加群であり、したがって環上の加群はアーベル群の一般化でもある。また、環のイデアルは環上の加群で...
19 KB (3,258 words) - 23:11, 18 July 2022
射影的対象 (category 対象 (圏論))
} が完全関手であることをいう.ただし A b {\displaystyle \mathbf {Ab} } はアーベル群の圏である. 射影的対象の双対概念は単射的対象の概念である:アーベル圏 C {\displaystyle {\mathcal {C}}} の対象 Q が単射的であるとは, C {\displaystyle...
3 KB (535 words) - 04:23, 13 March 2023
帰納極限 (category 極限 (圏論))
における表現対象を F の直極限と呼び、やはり lim → F {\displaystyle \varinjlim F} と書く。 C がアーベル圏ならば任意個(無限個でもよい)の対象の直和が存在する(グロタンディークの公理 AB3)から、 lim → F {\displaystyle \varinjlim...
10 KB (1,487 words) - 08:32, 15 February 2023