Œ
Œœ Œœ
歴史
[編集]古典ラテン語には二重母音 oe があり、主に古代ギリシア語からの借用語に使われた。古代においても現代においてもこの二重母音は合字ではなく2文字として分けて書かれるが、中世以来これを œ という合字で表すことが行われ、現在でも使われることがある(例: 「Annuit cœptis」、スイス・フラン硬貨に刻まれた「Confœderatio Helvetica」)。
正書法
[編集]以下の言語で使われる。
- フランス語
- œu という綴りで多く現れる。œu の2字または単独で eu と同じ[œ]・[ø]を表す。
- 例: cœur ([kœʁ] 心)、nœud([nø] 結び目)、œil([œj] 目(単数形))
- ギリシア語語源の語においては œ 単独で現れ、é と同様に c, g を軟音化し、[e] と発音される。
- 例:fœtus ([fetys] 胎児)、cœlioscope([seljɔskɔp] 腹腔鏡)
- œ でなく oe と書くと、[wa] という異なる発音になる。例: moelleux([mwalø] 柔らかい)
- 英語
- かつては diarrhœa(下痢)のように œ を使って書くことが行われていた。現在のイギリスでは通常 diarrhoea のように2字に分けて書かれる。アメリカ合衆国では大部分の語で diarrhea のように単なる e が書かれ、そうでないものはイギリスと同様分けて書かれる(amoeba、phoenix など)。
翻字
[編集]アングロサクソンルーン文字の24番目の字(ᛟ)を œ と翻字することがある。 文字名称は古英語でのこの文字の名称に従って eðel と言う。
発音記号
[編集]国際音声記号(IPA)では円唇前舌半広母音をあらわす。スモールキャピタルの [ɶ] は円唇前舌広母音を表す。
コンピュータでの使用
[編集]符号化文字集合 ISO/IEC 8859-1 には œ が含まれていなかったため、oe の2字に分けて書く必要があった。 ISO/IEC 8859-15 や Windows-1252 では Œ・œ が追加されている。
通常のフランス語キーボード配列には œ のキーが存在しないが、フランス語に対応したワープロソフトの多くは単に oeuvre のように分けて入力すれば自動的に œuvre に変換してくれる。
macOS ではキーボード配列にかかわらず、オプションキーを使って Option-Q で入力することができる。
Linuxのフランス語キーボード配列では、AltGr-O で入力することができる。
スマートフォンのアルファベット入力用ソフトキーボードでは、通常 O を長押しすると出てくるメニューの中に œ があるので、フリック入力できる。
符号位置
[編集]大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
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Œ | U+0152 | 1-11-11 | Œ Œ Œ | œ | U+0153 | 1-11-10 | œ œ œ |
関連項目
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