エイト・クイーン
エイト・クイーンとは、チェスの盤とコマを使用したパズルの名称である。
ルール
[編集]チェスの盤上に、8個のクイーンを配置する。このとき、どの駒も他の駒に取られるような位置においてはいけない。
クイーンの動きは、上下左右斜めの8方向に、遮る物がない限り進める。将棋の飛車と角行を合わせた動きである。
4駒で簡略に解説すると、
配置例 A
| 配置例 B
|
例Aではどの駒も他の駒に取られない位置にあるので正しい配置。例Bではの2駒が互いに取られる位置にあるので誤った配置となる。
歴史
[編集]このパズルは、1848年にチェスプレイヤーのマックス・ベッツェルによって提案された。ガウスを含む多くの数学者がこの問題に挑戦した。1874年に Gunther が行列式を用いて解く方法を提案し、イギリスのグレイシャー (en:Glaisher) が全解が12個であることを確認した。
解
[編集]基本解は12種類ある。下記の解1〜11は、回転と鏡像でそれぞれ8種類の変形がある。解12は点対称なので、4種類の変形しかない。したがって、解の総数は 92(=8×11+4)になる。
8
| 8
| 8
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8
| 8
| 8
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8
| 8
| 8
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
8
| 8
| 8
|
n-クイーン
[編集]一辺のマスをnとした変形版を「n-クイーン」パズルという。例えば「4-クイーン」では4×4のマスで4個の駒を使用する(他にも縦横比が1:1ではない矩形や、ペグ・ソリティアの盤面、不定形などいろいろ考えられるがここでは言及しない)。
- 2-クイーンと3-クイーンには解がない。
- 4-クイーン以上なら一辺のマス数に等しい数のクイーンが置ける。
単純に見てnが増えるのに従って、全マス数n2個に対し置く駒の数はn個であるから、置ける場所(の候補)の増え方により、解の数には組合せ爆発が起きる(ただしnが5から6に増える場合は解の数が減少する)。2009年にドレスデン工科大学で26-クイーンが計算された[1]。現在すべての解が判明している最大のものは、2016年にQ27 Projectによって計算された27-クイーンである[2]。
n=27までの解は次の通り[3]。
n | 基本解 | バリエーション解 |
---|---|---|
1 | 1 | 1 |
2 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 |
4 | 1 | 2 |
5 | 2 | 10 |
6 | 1 | 4 |
7 | 6 | 40 |
8 | 12 | 92 |
9 | 46 | 352 |
10 | 92 | 724 |
11 | 341 | 2 680 |
12 | 1 787 | 14 200 |
13 | 9 233 | 73 712 |
14 | 45 752 | 365 596 |
15 | 285 053 | 2 279 184 |
16 | 1 846 955 | 14 772 512 |
17 | 11 977 939 | 95 815 104 |
18 | 83 263 591 | 666 090 624 |
19 | 621 012 754 | 4 968 057 848 |
20 | 4 878 666 808 | 39 029 188 884 |
21 | 39 333 324 973 | 314 666 222 712 |
22 | 336 376 244 042 | 2 691 008 701 644 |
23 | 3 029 242 658 210 | 24 233 937 684 440 |
24 | 28 439 272 956 934 | 227 514 171 973 736 |
25 | 275 986 683 743 434 | 2 207 893 435 808 352 |
26 | 2 789 712 466 510 289 | 22 317 699 616 364 044 |
27 | 29 363 791 967 678 199 | 234 907 967 154 122 528 |
大衆文化
[編集]- コンピューターゲームのザ・セブンス・ゲストで、ヘンリー・ストーフの屋敷のゲームルームに、ザ・クイーンズ・ジレンマ(The Queen's Dilemma)という8番目のパズルがある、このパズルは、事実上のエイト・クイーンのパズルである。[4](pp48-49,289-290)
- ニンテンドーDS用ゲームのレイトン教授と不思議な町で、物語の結末を知る者の部屋にある「クイーンの問題5」という130番目のナゾは、事実上エイト・クイーンのパズルである[5]。
関連項目
[編集]出典
[編集]- ^ “QUEENS@TUD”. "2016-09-07"閲覧。
- ^ “Q27 Project: Facts”. "2018-02-10"閲覧。
- ^ “QUEENS@TUD: Facts”. "2016-09-07"閲覧。
- ^ DeMaria, Rusel (1993年11月15日). The 7th Guest: The Official Strategy Guide. Prima Games. ISBN 978-1-5595-8468-5 2021年4月22日閲覧。
- ^ “ナゾ130 クイーンの問題5”. ゲームの匠. 2021年9月17日閲覧。