オオカワウソ
オオカワウソ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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オオカワウソ Pteronura brasiliensis | ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1][a 1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Pteronura brasiliensis (Zimmermann, 1780)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
オオカワウソ[3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Giant otter[2] Giant river otter[4] | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布図 |
オオカワウソ(大獺、Pteronura brasiliensis)は、哺乳綱 食肉目イタチ科オオカワウソ属に分類される食肉類。本種のみでオオカワウソ属を構成する[2]。
分布
[編集]南アメリカ大陸のアマゾン川流域に分布する[2]。以前はより広範囲に分布していたが、個体数の減少に伴い分布域も断片的になっている[4]。アルゼンチンでは絶滅したと考えられていたが、2021年に再発見された[5]。
形態
[編集]体長(頭胴長)85–140cm[6]。尾長33–100cm[7]。体重オス26–34kg、メス20–26kg[7][6]。尾は大型で、幅広く(中央部が最も幅広い[7][6])扁平[7]。全身は0.4cmの短い体毛で密に被われる[6]。鼻面や上唇、下顎から胸部にかけて白や黄白色の斑紋や斑点が入る[8][7][6]。
眼と鼻孔は大型で、同時に水面に出せる位置にある[6]。吻端にある板状の皮膚(鼻鏡)は体毛で被われる[7][6]。歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上顎8本、下顎6本、大臼歯が上顎2本、下顎4本と計34本の歯を持つ[7]。指趾の先端まで水掻きが発達する[8][7][6]。指趾には鉤爪が発達する[8][7]。
出産直後の幼獣は体重約0.2kg[7][6]。乳頭の数は4[7]。
分類
[編集]南北の2亜種に分ける説もあるが、遺伝子学的研究では支持されていない[2]。
- Pteronura brasiliensis brasiliensis (Zimmermann, 1780)
- エクアドル東部、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア[8][7][6][a 1]
- Pteronura brasiliensis paranensis (Ranger, 1830)
- パラグアイ、ブラジル南部[7](パラナ川水系)[a 1]。アルゼンチン、ウルグアイでは絶滅したとされる[6][a 1]。
生態
[編集]流れの緩やかな大型河川[6]、湿原などに生息する[7]。昼行性[8][7][6]。雨期になると冠水林に産卵のために集まる魚類を求めて移動し、行動域も拡大する[8][7][6]。主にペアとその幼獣からなる4-10頭の群れを形成して生活する[6]。よく鳴き声をあげ、9種類の鳴き声を使い分けていると考えられている[7][6]。水辺の開けた場所に1.2-1.8mの長さがある寝床とトンネルからなる巣穴を作る[7][6]。
食性は動物食で、主に魚類(カラシン、ナマズ)、甲殻類などを食べる[8][7][6]。時に集団で小型のワニを襲うこともある[9](大型のワニは逆に天敵である)。獲物は口で捕え、肘を水底に付けて獲物を前肢で押さえながら頭部から食べる[8]。小型の獲物は水中で捕食するが、大型の獲物は陸上にあげてから食べる[6]。
繁殖形態は胎生。妊娠期間は65–70日[8][7][6]。ガイアナの個体群は8–10月に、1回に1-6頭[8]の幼獣を産む[7]。幼獣は生後30日で開眼する[6]。生後3–4ヶ月で離乳し[4]、硬い食物も食べ始める[6]。生後2年で性成熟する[6]。飼育下では14年以上生きる[4]。
人間との関係
[編集]毛皮目的の乱獲により生息数は激減している[8][6]。1960年代にブラジルから輸出された本種の毛皮は20,000枚に達する[8][6]。ブラジルでは1970年代に法的に毛皮取引が禁止されたが、密猟されることもある[8][6]。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- ^ Groenendijk, J., Leuchtenberger, C., Marmontel, M., Van Damme, P.A., Wallace, R. & Schenck, C. 2023. Pteronura brasiliensis (amended version of 2022 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2023: e.T18711A244867206. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2023-1.RLTS.T18711A244867206.en. Accessed on 03 December 2024.
- ^ a b c d e f Paula Noonan, Siobhan Prout & Virginia Hayssen, “Pteronura brasiliensis (Carnivora: Mustelidae),” Mammalian Species, Volume 49, Issue 953, American Society of Mammalogists, 2017, Pages 97–108.
- ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
- ^ a b c d Pat Morris & Amy-Jane Beer「オオカワウソ」『知られざる動物の世界 8 小型肉食獣のなかま』鈴木聡 訳・本川雅治 監訳、朝倉書店、2013年、62-63頁。
- ^ Caroline Leuchtenberger, Sebastián Di Martino, Augusto Distel, Matías Greco, Magalí Longo & Nicole Duplaix, “New Confirmed Records of the Giant Otter (Pteronura brasiliensis, Gmelin, 1788) in Argentina,”IUCN/SSC Otter Specialist Group Bulletin, Volume 40 Issue 3, IUCN/SCC Otter Specialist Group, 2023, Pages 131–136.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』、講談社、2001年、38-39、123-124頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、55頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編『動物大百科1 食肉類』、平凡社、1986年、138-141、143頁。
- ^ ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜 「ワニと対決!オオカワウソ大家族」 (2013年2月3日放送)
外部リンク
[編集]- ^ a b c d The IUCN Red List of Threatened Species
- Duplaix, N., Waldemarin, H.F., Groenedijk, J., Evangelista, E., Munis, M., Valesco, M. & Botello, J.C. 2008. Pteronura brasiliensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.1.
- ^ CITES homepage