カニンブラ級揚陸輸送艦
カニンブラ級揚陸輸送艦 | |
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基本情報 | |
艦種 | 戦車揚陸艦(LST) |
就役期間 | 1999年-2010年 |
建造数 | 2隻 |
次級 | キャンベラ級強襲揚陸艦 |
要目 | |
満載排水量 | 8,534 t |
全長 | 159.2メートル (522 ft) |
最大幅 | 21.2メートル (70 ft) |
吃水 | 5.3メートル (17 ft) |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | V型16気筒ディーゼルエンジン×6基 |
推進器 | |
出力 | 16,000shp |
速力 | 最大22ノット (41 km/h)以上 |
航続距離 | 14,000海里 (14kt巡航時) |
乗員 |
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兵装 | |
カニンブラ級揚陸輸送艦(カニンブラきゅうようりくゆそうかん; 英語: Kanimbla class landing platform amphibious)はオーストラリア海軍の揚陸艦。アメリカ海軍のニューポート級戦車揚陸艦を取得し、大規模改装を行った艦である。1994年に取得し、2011年までに退役した。同型艦は2隻。
取得
[編集]1990年に入る頃、オーストラリア海軍は、輸送艦「ジャービスベイ」の後継として、ヘリコプター運用が可能な練習艦兼用の艦船の取得を検討開始した[1]。そのための艦船建造には5億オーストラリアドルを要すると見積もられた[1]。1993年により低コストの手法を検討することとなった。ちょうどその頃、アメリカ海軍のニューポート級戦車揚陸艦は退役を開始し、友好国への譲渡が行われ始めていた[2]。
1994年に、オーストラリア海軍は2隻のニューポート級(「サギノー」(LST-1188)及び「フェアファックス・カウンティ」(LST-1193))を6,100万オーストラリアドルで購入し、その上で改装によりヘリコプター運用能力を付与し、両用戦能力を強化することとした[1][2][3]。1994年、「サギノー」はアメリカ海軍を退役後、直ちにオーストラリア海軍籍の「カニンブラ」となり、オーストラリア海軍クルーによりオーストラリアへと回航された。「フェアファックス・カウンティ」はアメリカ海軍クルーによりオーストラリアへ回航され、退役後に「マノーラ」となった[4]。オーストラリア海軍クルーはサギノー退役前にヴァージニア州ノーフォークにおいて訓練を受けていた[4]。
改装
[編集]オーストラリア海軍が取得した2隻は、シドニーの東部艦隊基地で係留されていたが、1996年よりニューカッスルにおいて、戦車揚陸艦を輸送揚陸艦へとする改装がされることとなった[3][5]。
改装は大規模であり、ニューポート級の特徴であった艦首のドアやデリック、戦車用ランプは取り払われた[5][6]。艦後部のヘリコプター甲板は拡幅・強化され、ヘリスポットが2か所設けられた。また、3機のシーキングまたは4機のブラックホーク・ヘリコプターが収納できる格納庫が追加されている[7]。搭載機としての運用はできないものの、後部甲板はチヌーク・ヘリコプターの離着艦も可能である[6]。前部甲板も拡幅され、LCM-8上陸用舟艇2隻を搭載し、70トン・クレーン1基を用いてはん水及び揚収を行う[7]。LCM-8を搭載していない場合は、前部甲板はヘリコプター甲板としても運用でき[6]、3ヶ所目のヘリスポットとなる。兵員450名を搭載でき、医療・給食設備も整えられた[3][8]。
改装の検討は1995年から1996年にかけて行われ、HMASマノーラより改装が行われた[1] 。しかし、両艦とも、広範な腐食が発見されており[1] 、改装費は両艦で4億オーストラリアドルまで増大し、その半分は修理費にとられることとなった[1]。両艦が運用に入るのは、1990年代末となった。
- 艦橋前クレーンとLCM。
- ヘリ甲板とハンガー。
運用
[編集]両艦は東部艦隊基地を母港とし、主に東南アジア地域が活動を行った。オーストラリア政府が緊急事態に際し派遣する初動部隊として用いられた[9]。アフガニスタンとイラクへの介入に際しても支援を行い、2006年の東チモール騒乱にも派遣された。また、2004年のスマトラ島沖地震の救援任務にも派遣されている。
2010年9月に両艦は東部艦隊基地に戻され、艦に関する問題のために作戦休止状態に置かれた[9][10]。広範な腐食に加え、クレーンや警報システムに不良が出、推進機関や電気設備、通信機器には大幅な修理が必要とされた[9]。艦の使用頻度が高いことに加え、老朽化とメンテナンスの遅れが要因とされる[10]。2010年11月1日に両艦の状態は不良で、二度と出港出来ないとの報告がなされたが[11]、その翌日に海軍は2011年の早い時期に修理したいとの意向も示していた[12]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f Spurling, Kathryn (2001). “The Era of Forward Defence”. In Stevens, David. The Royal Australian Navy. The Australian Centenary History of Defence. III. South Melbourne, VIC: Oxford University Press. p. 275. ISBN 0-19-554116-2. OCLC 50418095
- ^ a b Scherer, Ron (1994年7月18日). “Senate hampers sale of Navy ships to eager nations”. The Christian Science Monitor: p. 7
- ^ a b c “Contract puts Forgacs part of naval history”. Newcastle Herald (Fairfax Media): p. 8. (1998年5月13日)
- ^ a b “Put in our place”. Australia and World Affairs 22 (Spring): 43–45. (Spring 1994). ISSN 1033-6192.
- ^ a b Williams, Natalie (1998年9月11日). “$280m rust buckets – the true cost of Navy's $61m bargain buy”. Daily Telegraph (News Corporation): p. 17
- ^ a b c Macey, Richard (1994年6月27日). “Navy in $70M Copter Carrier deal”. Sydney Morning Herald: p. 6
- ^ a b Sharpe, Richard, ed (1997). Jane's Fighting Ships. Jane's Fighting Ships (110th edition (1997–1998) ed.). Surrey, UK: Jane's Information Group. ISBN 0-7106-1546-9
- ^ Kathryn Spurling (2001). The Royal Australian Navy, p. 276
- ^ a b c McPhedran, Ian (18 October 2010). “The rust never sleeps on pride of navy fleet”. The Herald Sun (Heraldsun.com.au) 23 October 2010閲覧。
- ^ a b Kerr, Julian (15 October 2010). “Operational tempo and neglect spell problems for ageing Australian amphibs”. Jane's Navy International (Jane's Information Group).
- ^ McPhedran, Ian (1 November 2010). “Warships ordered to go slower”. The Daily Telegraph 1 November 2010閲覧。
- ^ Dodd, Mark (2 November 2010). “Rusting warships HMAS Kanimbla and HMAS Manoora will sail again after refit: navy”. The Australian 9 November 2010閲覧。
関連項目
[編集]ウィキメディア・コモンズには、カニンブラ級揚陸輸送艦に関するカテゴリがあります。
- ニューポート級戦車揚陸艦 - アメリカ海軍の原型艦。
- キャンベラ級強襲揚陸艦 - 後継となる強襲揚陸艦。