スルフォロブス属
スルフォロブス属 | |||||||||||||||||||||
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“S. tengchongensis RT8-4”の電子顕微鏡写真 | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Sulfolobus Brock et al. 1972 | |||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||
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Sulfolobus(スルフォロブス属、サルフォロバス属)は、陸上の火山や温泉などに広く生息する好気・好酸・好熱性のクレン古細菌の一属である。一時は8種を数えたが、属の分割が進んで2018年現在は3種となっている。
属名は、硫黄を好むこと、細胞表面に頻繁に突出部を形成することから、ラテン語で、硫黄(Sulfur;スルフル)+ 丸・耳たぶ、葉よう(希:lobus;ロブス)という意味になっている。
分布
[編集]高温、低pH、硫黄に富む好気環境に分布する。比較的広範囲に生息する古細菌の一つで、世界中の温泉、火山、噴気孔、硫黄孔から分離されている。
採取や培養が比較的容易で、最初期の報告は1960年代末から1970年代初頭にかけてイエローストーン国立公園やイタリアにおいてなされた。Thermoplasmaと共に、1977年のカール・ウーズによる古細菌界(KIngdom Archaebacteria)提唱以前から知られていた、数少ない好熱性古細菌である。当初はペプチドグリカンを欠く珍しいタイプの細菌と報告された。
性質
[編集]形態
[編集]球形に近い不定形、大きさは2μmほど。細胞膜のコア脂質はテトラアーキオールであり、ほぼ完全な脂質一重膜になっている。細胞壁はS層(糖たんぱく質)であり、グラム染色では陰性である。鞭毛を持つ場合が多い。
生育条件
[編集]生育温度は50-97°C、生育pHは1-6程度。至適増殖温度はおおむね70-85℃、至適pHは2-3の範囲にあるものが多い。既知のクレン古細菌の中では最も好熱性が低いが、何種かは超好熱菌に属しており、同じような好熱好酸菌であるThermoplasma 属(ユーリ古細菌)よりは好熱性が高い(好酸性は低い)。
基質としては硫黄や硫化水素、あるいはアミノ酸や糖類を利用する。これらを酸化して独立または従属栄養的に増殖することができる。
利用
[編集]好熱性古細菌としては比較的扱いやすく、古細菌のDNA複製、細胞分裂、耐熱タンパク質の研究によく使用される。硫化水素を酸化することができるため、この処理に使われることがある。
ゲノム
[編集]単独の環状のゲノムを持ち、ゲノムサイズは2-3 Mbpの範囲にある。クレン古細菌としては比較的大きなサイズである。
S. acidocaldariusや未記載の"Sulfolobus islandicus"の複数株について全ゲノムが解読されている。
参考文献
[編集]- Brock, T. D., Brock, K. M., Belly, R. T., Weiss, R. L. (1972). “Sulfolobus: a new genus of sulfur-oxidizing bacteria living at low pH and high temperature”. Arch. Mikrobiol. 84: 54–68. doi:10.1007/BF00408082. pmid 4559703.