スーパー歌舞伎II ワンピース
『スーパー歌舞伎II ワンピース』(スーパーかぶきセカンド ワンピース)は、尾田栄一郎原作による少年漫画作品『ONE PIECE』の舞台化作品。4代目市川猿之助演出による舞台シリーズ「スーパー歌舞伎II」の2作目。ワンピース歌舞伎と俗称されることもある[1]。
スーパー歌舞伎II ワンピース | |
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脚本 | 尾田栄一郎(原作) 横内謙介(脚本・演出) 市川猿之助(演出) 市川猿翁(スーパーバイザー) |
初演日 | 2015年10月7日 |
初演場所 | 新橋演舞場 |
オリジナル言語 | 日本語 |
シリーズ | ONE PIECEシリーズ スーパー歌舞伎IIII |
ジャンル | スーパー歌舞伎(冒険活劇) |
舞台設定 | ONE PIECEの世界 (架空の世界) |
概要
[編集]先代猿之助(2代目猿翁)が創始したスーパー歌舞伎シリーズ(重厚な物語性や西洋楽器を取り入れた荘厳な音楽、煌びやかな衣装、アクロバティックな殺陣、現代語による演技などを特徴とする)を「スーパー歌舞伎II(セカンド)」として継承した4代目市川猿之助が、第1作『空ヲ刻ム者』に続き選んだ新作演劇。
「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス認定された[2]、国内のみならず海外でも幅広い人気を誇る漫画作品『ONE PIECE』の、初の本格的舞台化作品[注 1]である。具体的には『頂上戦争編』を主軸としており[3]、シャボンディ諸島、アマゾン・リリー、インペルダウン、マリンフォードなどの世界が描かれている[4]。
佐々木蔵之介ら、現代劇の俳優を主要キャストに起用した『空ヲ刻ム者』に続き、福士誠治(初演時)、平岳大(大阪公演以降)、浅野和之ら現代劇のキャストを登用したほか、市川猿之助の属する澤瀉屋門人のみならず、中村隼人や坂東巳之助ら門外の若手を多数起用。また、振付にも歌舞伎舞台作品を多く手掛ける尾上菊之丞と、JAZZ CONTEMPORARYダンスの気鋭穴井豪の両名を起用、作曲を藤原道山、作調を田中傳左衛門、主題歌提供をゆずの北川悠仁が担い、衣装を劇団☆新感線の竹田団吾が担当するなど、スタッフ・キャストの両面に歌舞伎人脈にとどまらない幅広い人材を集めた。
この作品の上演で、新橋演舞場は平成27年度(第70回)文化庁芸術祭賞・演劇部門関東参加公演の部で優秀賞を受賞[5]した。
また、2015年初演の翌2016年にはシネマ歌舞伎として全国劇場公開されたほか、2017年からは一部脚本・演出を変更して再演されている。
麦わらの挑戦
[編集]2017年公演時には「特別マチネ 麦わらの挑戦」と題して、若手俳優を中心とした配役での特別公演が企画された。尾上右近が主役のルフィ・ハンコックを演じ、巳之助・新悟が通常公演に加えて主要な役どころを演じる。猿之助は終盤シャンクス役でのみ登場するが、このシャンクスは初演時とも通常公演の平とも全く異なり、より歌舞伎風の衣装・隈取り・演出がなされた独特の役どころとなる[6]。しかし、公演4日目の10月9日昼公演のカーテンコールで、通常公演主演の市川猿之助が、舞台装置に衣装の袖を引き込まれ左腕を骨折する大けがに見舞われる。猿之助は終演まで復帰せず、以降は全公演が右近主演となった[7]。なお、代役の配役はほぼ「麦わらの挑戦」に近く、このため通常公演の前売り券購入者には観劇当日に「麦わらの挑戦」公演との差額分が返金されている[8]。
あらすじ
[編集]この作品記事はあらすじの作成が望まれています。 |
配役
[編集]キャラクター名 | 2015年演舞場 | 2016年松竹座 ・博多座 | 2017年演舞場 | 2017年 演舞場 《麦わらの挑戦》 | 2018年松竹座 ・御園座 | 備考 |
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モンキー・D・ルフィ ボア・ハンコック | 市川猿之助 | 尾上右近 | 市川猿之助 尾上右近 | 2017年演舞場公演では10月9日の昼公演で猿之助が左腕を骨折し降板、以降は右近が代役を務めた[7]。 2018年松竹座公演ではダブルキャスト[9] | ||
ロロノア・ゾロ ボン・クレー スクアード | 坂東巳之助 | |||||
サンジ イナズマ | 中村隼人 | |||||
ポートガス・D・エース | 福士誠治 | 平岳大 | ||||
ナミ サンダーソニア | 市川春猿 | 坂東新悟 | ||||
ニコ・ロビン マリーゴールド | 市川笑也 | |||||
エドワード・ニューゲート 《白ひげ》 | 市川右近(初代) | 市川右團次 | 市川右近(初代)は2017年1月に市川右團次(3代目)を襲名。 | |||
マルコ | (坂東八大) | 尾上右近 | 中村隼人 | 尾上右近 中村隼人 | 初演時は大きな見せ場はなかったが、尾上右近が出演した松竹座公演以降宙乗りで登場するなど主要な役どころとなった[10] | |
サディちゃん | (登場なし) | 尾上右近 | 坂東新悟 | 尾上右近 坂東新悟 | 初演当初は登場しない | |
センゴク | 浅野和之 | |||||
イワンコフ | 浅野和之 | 浅野和之 下村青 | 浅野は新橋演舞場初演時はこれに加えシルバーズ・レイリーを演じたが、松竹座公演以降は登場が削除され、2役になった。 | |||
ブルック | 嘉島典俊 | 下村青 | ||||
ニョン婆 | 市川笑三郎 | |||||
ジンベエ マーシャル・D・ティーチ《黒ひげ》 | 市川猿弥 | |||||
はっちゃん 戦桃丸 | 市川弘太郎 | |||||
アバロ・ピサロ | 市川寿猿 | |||||
マゼラン | 市川男女蔵 | |||||
大参謀つる | 市川門之助 | |||||
ベラドンナ | 坂東竹三郎 | |||||
トニートニー・チョッパー (人型時) | 石橋直也 | - | (2017年公演では登場はない) | |||
トニートニー・チョッパー (人獣型時) | 日下部大智 三瓶由騎 (交互出演) | 市川猿 | 市川猿 市川右近 (2代目) (交互出演) | 市川猿 | 日下部大智は本作出演を機に市川猿之助に入門。2016年大阪松竹座公演で市川猿を名乗る[11]。2016年松竹座・博多座公演では一人で勤めた。 | |
ウソップ | 井之上チャル | 嘉島典俊 | ||||
フランキー | 市川猿若 | 石橋直也 | ||||
シャンクス | 市川猿之助 | 平岳大 | ※市川猿之助 | 平岳大 市川猿之助 | 猿之助休演時には平が演じた | |
ガープ中将 | 市川段四郎 市川寿猿 (交互出演) | - | (2017年公演では登場はない) | |||
"赤犬"サカズキ | 嘉島典俊 | |||||
"青雉"クザン | 市瀬秀和 | |||||
"黄猿"ボルサリーノ | 市川猿四郎 | |||||
ダズ・ボーネス | 石橋直也 | |||||
ディスコ | 市川猿三郎 | |||||
チャルロス | 市川欣也 | |||||
ハンニャバル | 市川喜猿 |
スタッフ
[編集]- 原作:尾田栄一郎
- 脚本・演出:横内謙介
- 演出:市川猿之助
- スーパーバイザー:市川猿翁
- 主題歌提供:北川悠仁(ゆず)
- 歌:RUAN(初演時)、ゆず(再演時)
- 美術:堀尾幸男
- 照明:原田保
- 音楽:藤原道山
- 作調:田中傳左衛門
- 衣装:竹田団吾
- ヘアデザイン:宮内宏明
- 映像:上田大樹
- 音響:小寺仁
- 振付:尾上菊之丞、穴井豪
- 特殊効果:田中義彦
- 演出助手:杉原邦生、則岡正昭(初演時)
- 舞台監督:井口祐弘、林和宏
- 立師:市川猿四郎
- アクション:渡辺智隆
- 製作: 松竹
公演
[編集]2015年
[編集]- 2015年10月7日(水) - 11月25日(水)[12]
- 主催:スーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ、後援:朝日新聞社、
協賛:株式会社セブン-イレブン・ジャパン、大鵬薬品工業株式会社、日本生命保険相互会社、ショウワノート株式会社[13]
2016年
[編集]- 2016年3月1日(火) - 3月25日(金)[10]
- 主催:スーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ、後援:関西テレビ放送、朝日新聞社、
協賛:株式会社セブン-イレブン・ジャパン、大鵬薬品工業株式会社、日本生命保険相互会社、株式会社ダスキン[14]
2017年
[編集]- 新橋演舞場 - 「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」
- 2017年10月6日(金) - 11月25日(土)[16]
- 主催:スーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ、後援:朝日新聞社、協賛:日本生命
2018年
[編集]- 大阪松竹座 - 「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」
- 2018年4月1日(日) - 25日(水)[17]
- 主催:スーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ、後援:関西テレビ放送、朝日新聞社
受賞歴
[編集]- 第44回 平成27年度 大谷竹次郎賞(横内謙介)[19]
- 平成27年度(第70回)文化庁芸術祭賞優秀賞(新橋演舞場) - 「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』の成果」[20][5]
- デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー '15優秀賞(松竹株式会社とスーパー歌舞伎II『ワンピース』パートナーズ)[21][22]
展開
[編集]- 2016年10月22日、東劇、新宿ピカデリーほか全国劇場で公開されたのを皮切りに[23]、アメリカ合衆国・ハリウッド[24]やスリランカ・コロンボ[25]などでも上映された。シネマ歌舞伎版では、舞台上演時3時間超だったものが約2時間(118分[26])に再編集されている[1]。
- 収録内容は2015年11月新橋演舞場公演[23]
- 会期:2016年10月5日 - 18日
- 集英社刊 (2017/11/11) ISBN 978-4087808292
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 但し、これに先立つ2015年3月より、テーマパーク施設「東京ワンピースタワー」内のアトラクションとして『ONE PIECE LIVE ATTRACTION』が上演されている。
出典
[編集]- ^ a b 山崎春奈 (2016年10月22日). “松竹さん、どうして漫画「ワンピース」を歌舞伎にしたんですか? 製作秘話を聞く”. BuzzFeed Japan. 2022年7月29日閲覧。
- ^ “「ルフィが手に入れた世界一の証|『ONE PIECE』とギネス世界記録”. ギネスワールドレコーズ (2015年6月15日). 2015年7月1日閲覧。
- ^ “ワンピース:歌舞伎版の配役決定 猿之助がルフィ、ハンコックなど1人3役”. まんたんウェブ (2015年7月28日). 2015年7月28日閲覧。
- ^ “スーパー歌舞伎「ワンピース」開幕、猿之助が宙乗りで新アイテムのタンバリン鳴らす - ステージナタリー”. ステージナタリー. (2017年10月6日) 2017年10月31日閲覧。
- ^ a b 平成27年度(第70回)文化庁芸術祭賞の決定 (PDF, 302KB) - 平成27年度(第70回)文化庁芸術祭 | 文化庁
- ^ “『ワンピース』麦わらの挑戦も開幕”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2017年10月8日) 2017年11月1日閲覧。
- ^ a b 森脇孝 (2017年10月10日). “スーパー歌舞伎II「ワンピース」市川猿之助が降板/10月10日から尾上右近がルフィ役に”. エントレ (株式会社ヴィレッヂ発行) 2017年11月1日閲覧。
- ^ “猿之助休演で料金“割引” 復帰は来年の歌舞伎座公演で!?”. スポニチAnnex. (2017年10月11日) 2017年11月3日閲覧。
- ^ “市川猿之助、4月の大阪・松竹座「ワンピース」でルフィ役に復帰”. スポーツ報知. (2018年1月26日) 2018年2月21日閲覧。
- ^ a b “猿之助が語った、進化する『ワンピース』”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2016年2月24日) 2017年11月1日閲覧。
- ^ 歌舞伎俳優名鑑 現在の俳優編「市川猿」
- ^ “【新橋演舞場】スーパー歌舞伎II『ワンピース』公演情報を掲載しました”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2015年7月7日) 2017年11月1日閲覧。
- ^ チラシ裏面(.jpg) - 歌舞伎美人(かぶきびと)公演情報詳細
- ^ 公演チラシ(.jpg) - 歌舞伎美人(かぶきびと)公演情報詳細
- ^ a b スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース | 博多座 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
- ^ スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース | 新橋演舞場 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
- ^ スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース | 大阪松竹座 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
- ^ スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース | 御園座 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
- ^ “『あらしのよるに』『ワンピース』が大谷竹次郎賞受賞”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2016年1月27日) 2017年11月3日閲覧。
- ^ “幸四郎が文化庁芸術祭賞大賞受賞、優秀賞に『ワンピース』”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2016年2月10日)
- ^ “『ワンピース』がデジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー '15優秀賞受賞”. 歌舞伎美人 (2016年3月16日). 2016年4月10日閲覧。
- ^ 第21回 AMD Award '15 受賞作品一覧 - AMD 一般社団法人デジタルメディア協会
- ^ a b “シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎II ワンピース』10月公開決定”. 歌舞伎美人(かぶきびと) (松竹). (2016年4月26日) 2017年11月2日閲覧。
- ^ 【アメリカ】ハリウッドでの『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』上映決定! |ニュース|シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』公式サイト 2016年11月18日(2017年11月2日閲)
- ^ 【スリランカ】コロンボで初の『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』上映決定! |ニュース|シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』公式サイト 2017年2月2日(2017年11月2日閲)
- ^ スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース | 作品一覧 | シネマ歌舞伎 | 松竹
- ^ “「『スーパー歌舞伎II ワンピース』の世界展」が銀座三越で開催!初日にはエドワード・ニューゲート役の市川右近さんがテープカット!”. 電ホビ. (2016年10月9日) 2017年11月2日閲覧。
- ^ スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース <特設サイト> 主演 市川猿之助 - ウェイバックマシン(2019年7月26日アーカイブ分)
- ^ “伝説の舞台の興奮を完全収録!! 「スーパー歌舞伎II『ワンピース』〝偉大なる世界〟」11月11日発売”. アキバ総研 (カカクコム). (2017年11月9日) 2017年11月9日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース <特設サイト> 主演 市川猿之助 - ウェイバックマシン(2019年7月26日アーカイブ分)
- シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』公式サイト