ソクズ

ソクズ
福島県会津地方 2011年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: レンプクソウ科 Adoxaceae
: ニワトコ属 Sambucus
: ソクズ S. chinensis
学名
Sambucus chinensis Lindl. (1826)[1]
シノニム
和名
ソクズ(蒴藋)
英名
Chinese elder

ソクズ(蒴藋、学名: Sambucus chinensis)はスイカズラ科ニワトコ属多年草。別名、クサニワトコ(草接骨木)[5]。ニワトコ属は、新しいAPG植物分類体系ではレンプクソウ科に移されている。

分布と生育環境

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日本では、本州四国九州に分布し、山地や山野の林縁、道ばた、人家の付近に生育する[5]。世界では、中国、タイに分布する。

特徴

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木のようにも見える大型の多年草[5]地下茎を這わして繁殖する。は直立し高さは1 - 2メートル (m) ほどになり、褐色がかった緑色で、葉とともに特有の臭気がある[5]は対生し、奇数羽状複葉で、2 - 3対の小葉からなる。小葉は長さ5 - 17センチメートル (cm) 、幅2 - 6 cmの広披針形、狭卵形で、先端は鋭くとがり、縁には細鋸歯がある。

花期は7 - 9月ごろ[5]。茎の先端に大型の散房状集散花序をつけ、小さいを丸い平板状に集めて多数つける[5]花冠は白色で径3 - 4ミリメートル (mm) になり5裂する[5]雄蘂は5個。花序の中に杯状の黄色い腺体がある。果実は径4 mmの球形となり、赤色に熟す。壺形の腺体で蜜を貯めており、緑色、黄色、赤色を色合いを変化させながら、昆虫を集めている[5]。花と果実は混じっていて、往々にして全体が果実になっている状態を見かけることは少ない[5]。熟した果実は、食べると甘みがある[5]

薬用

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葉には、帯状疱疹中耳炎膀胱炎リウマチ神経痛に薬効があるといわれる[6]。鹿児島県に伝わる民間療法では、葉をドロドロに潰して、帯状疱疹などの痛みや腫れ物の患部に汁を塗ると効果があるという[5]むくみ改善の利尿薬としては、1日量10グラム (g) の葉を乾燥させたものを300ミリリットル (mL) の水で3分の1になるまで煎じて、飲む用法が知られる[5]。神経痛やリウマチには、乾燥した葉を煮詰めた汁を浴湯料として入浴する[5]

下位分類

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  • タイワンソクズ(オガサワラソクズ) Sambucus chinensis Lindl. var. formosana (Nakai) H.Hara -花序にある腺体が細く、九州南部から琉球、小笠原、台湾に分布する。ソクズのシノニムとする文献もある[7]

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sambucus chinensis Lindl. ソクズ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月19日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sambucus javanica Blume subsp. chinensis (Lindl.) Fukuoka ソクズ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月19日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sambucus javanica Blume f. chinensis (Lindl.) H.Ohashi ソクズ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月19日閲覧。
  4. ^ The Plant List Sambucus chinensis
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 川原勝征 2015, p. 105.
  6. ^ 川原勝征 2015, p. 130.
  7. ^ Sambucus chinensis Lindl. var. formosana (Nakai) H. Hara USDA

参考文献

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  • 川原勝征「クサニワトコ」『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、105頁。ISBN 978-4-86124-327-1