テレコムセンター

東京臨海副都心 > 青海 (江東区) > テレコムセンター
テレコムセンター
テレコムセンター
施設情報
所在地 東京都江東区青海2-38
状態 完成
着工 1993年4月[1]
竣工 1996年1月[1]
用途 事務所、通信施設、店舗、駐車場、地域冷暖房施設、地域内供給変電所[1]
地上高
高さ 99.0m[1]
最上階 21階[1]
各種諸元
階数 地下3階、地上21階、塔屋2階[1]
敷地面積 22,000 [1]
建築面積 13,466.52 [1]
延床面積 158,050.18 [1]
構造形式 地下SRC造 地上S造[1]
エレベーター数 24基[1]
駐車台数 485台[1]
関連企業
設計 日総建HOK設計共同企業体
石井幹子デザイン事務所(ライトアップ)[1]
構造エンジニア 日総建・HOK設計共同企業体[1]
施工 建設工事東工区JV(大成建設竹中工務店佐藤工業東急建設オーバーシーズ・ベクテル間組日産建設、共立建設)
建設工事西工区JV(鹿島大林組西松建設五洋建設、シャール・ボウィズ、東海興業西武建設勝村建設[1]
デベロッパー 東京テレポートセンター[1]
テンプレートを表示
地図
地図

テレコムセンターTelecom Center)は、東京都江東区青海にある、株式会社東京テレポートセンター(東京都などが出資した東京臨海ホールディングスによる第3セクター法人)のビルディングである。

概要

[編集]

臨海副都心における情報通信基盤機能を担う施設として、青海地区に計画されたもので、副都心の骨格であるシンボルプロムナードの一つであるウエストプロムナードの南端に位置する[2] 。当ビルに近接して同時期に青海フロンティアビル、タイム24ビルが建てられた[2] 。ビルの北側にはゆりかもめテレコムセンター駅が設けられ、連絡通路によって直接ビルの2階につながっている[2]

建物はウエストプロムナードの中心線を軸に東西対照形に配置され、その東側に青海地区を供給区域とする地域変電所と地域冷暖房施設および東京都の災害用備蓄倉庫で構成するエネルギー棟を併設している[2]。建物の形態は東西二つの高層棟の上部をブリッジで結んだ門型をしている。このブリッジは屋上にパラボラアンテナ搭載用のアンテナサイトのスペースを確保するためにつくられた[2]。また両高層棟間の下部には四層吹き抜けのアトリウム(テレコム・アリーナ)が置かれた[2][3]

外壁はテレコムセンターの先進性を表現するとともに、塩害等に考慮して全面的にアルミカーテンウォールフッ素樹脂焼付塗装)とし、スパン8.1メートル、階高4.05メートルとした結果、4.05メートルの正方形が得られ、それを9分割したり4分割したパターンと連窓を組み合わせ、電子機器基盤とも見える構成にした[4]

施設構成

高層棟は地下3階、地上21階建てで、東棟の21階には臨海副都心を一望できる展望室があり(当初は無料だったが、2004年7月17日から有料化)、初日の出には1000人もの一般客が来場し、東京タワー六本木ヒルズなどとともに「三大展望スポット」ともいわれる[5]。またブリッジのある20階には会議施設等が備えられた[6]

低層部の西棟には主として入居者を対象とするカフェテリアやその他飲食店、クリニック等が入る[6]。東棟には業務施設のほか、中央部に各種イベント等に多目的に利用されるテレコム・アリーナが配された。アリーナは他にはない広大な空間が魅力で、ドラマテレビコマーシャルの撮影をはじめ(詳細は下記「ロケ地」を参照)、メーカーの商品発表会やショーの開催などに利用されている[3]。標準タイプの事務室は東西両棟とも6階から19階まで配置され、アトリウム側のコアをコの字型に囲むように展開している[6]

屋上のアンテナサイトには衛星通信用地球局として共同利用されるアンテナ通信事業者が個別に設置するアンテナ、小笠原諸島難視聴対策用のアンテナ等が置かれ、7、8メートル級のパラボラアンテナが十基程度置けるスペースがある[6]。アンテナサイトの周囲には高さ13メートルの電波遮蔽壁をめぐらし、地上からのさまざまな電波を遮断して良好な電波環境を確保している[6](詳細は後述「放送施設」を参照)。

かつて20階には東京都青少年センター(卓球場や図書館、ネットサーフィンや東京湾を一望出来る休憩所)、NTTドコモのドコモタウンがあったが閉鎖となった。また、東京映像アーカイブなども入居し[6]郵政省の肝いりで都や各企業が参加して行われる21世紀を指向したマルチメディア実験も当ビルを舞台に行われた[6]

現在、関係者以外の観光客などが立ち入れるフロアは展望台のみとなる。

エレベーターは、西棟がオーチス製、東棟が日立製である。

設計
建物の設計は日総建と米国のヘルムース・オバタ・カッサバウム(HOK)との共同で行われた[4]。これは外国企業への建設市場解放の方針を受けて、設計者選定の段階から外国企業との提携が、第三セクター方式で設立された事業者であるテレポートセンターから各指名会社へ要請されたためであり、選定された日総建では、同様な組織設計事務所と提携すべきとの方針をたて、有力なる米国の組織設計事務所へ打診をはじめたところ、HOKが応じ共同の話がまとまった。HOKは主にアトリウム、エレベーターホール等のインテリア外構を担当した[4]

放送施設

[編集]

1995年10月3日には東京都を放送対象地域として地上独立テレビ局を運営している東京メトロポリタンテレビジョン株式会社=当時の愛称「MXテレビ」の本社が東京都港区虎ノ門一丁目の虎ノ門1丁目森ビル(現・虎ノ門ヒルズビジネスタワー)から当ビル西棟1〜4階に移転。この施設から約10年強の期間にわたり、東京都のニュースや情報番組などを東京都の視聴者に伝えてきた(一部の番組はテレビ神奈川(tvk)千葉テレビ放送(CTC、チバテレ)テレビ埼玉(TVS、テレ玉)三重テレビ放送(MTV)京都放送(KBS京都)などにも同時ネットされた)。東京MXテレビは2006年7月1日千代田区麹町一丁目にある新社屋・「半蔵門メディアセンター」に移転した。なお移転直後に愛称を「東京MXテレビ」から「TOKYO MX」に変更している。東京MXテレビが使っていた当ビルの放送局設備は後に『ディノススタジオ』のスタジオとなっていた。このスタジオでテレビショッピングが制作されフジテレビおよびその系列局、BSフジで放送されていた。東京MXテレビの本社が入っていた名残として、移転後数年間は展望室に東京MXテレビ→TOKYO MXを常時映すテレビが設置されていた。

また、BSデジタルラジオ放送を行っていたWorld Independent Networks Japan(WINJ)の演奏所も、当ビルの東棟4階に存在していた。BSアナログ放送を終了させた2005年春より放送設備を設置し、メンテナンス等を理由とする2006年10月末の放送休止まで約1年半放送されていた。その後WINJは、放送休止の長期化や経営難などにより総務省から放送免許取り消しがなされ、そのまま廃局を迎えることとなるが、複数の放送局が同じビルに存在していたことは(フジテレビとニッポン放送など両局が関連する場合を除き)異例である。

前述した屋上のパラボラアンテナ群からは、東京都が小笠原村向けに行っていた、NHKテレビ2波と在京民放テレビ6波の難視聴対策用衛星中継回線の送信も行われていたが、アナログ放送のみだったこともあり、2010年6月末をもってその役目を終えた。その後小笠原村ケーブルテレビの開局まで、BSデジタル放送による地デジ難視対策衛星放送(セーフティーネット)の直接受信に一時移行した。

沖縄県北大東村南大東村のNHK、民放テレビ中継局もこの回線を利用していたが、民放については沖縄県域局中継局の代替との位置付けであるため、TBSテレビ(=琉球放送)、フジテレビ(=沖縄テレビ放送)、テレビ朝日(=琉球朝日放送)の3波のみの利用となっていた。これは地デジへの完全移行により廃止され、以後は本来の沖縄県の民放各局の中継局が設置されたほか、難視聴地域については2015年3月31日まで、衛星のセーフティーネットを使った在京キー局の補完中継に事実上移行されていた。

ロケ地

[編集]

最近は、ドラマの撮影でテレコムセンターを使用することなどが増えている。例えば『花嫁は厄年ッ!』(TBSテレビ)において、テレビ局“首都テレビ”として使用された(放送時期はちょうどTOKYO MXが移転していった直後)。またテレビCMでも使用されたこともある(例・三菱鉛筆「ユニアルファゲル・スリム」)。

フィクションへの登場

[編集]

アクセス

[編集]

ギャラリー

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 近代建築 1996, p. 74.
  2. ^ a b c d e f 都政研究 1995, p. 31.
  3. ^ a b 東京人 2020, p. 85.
  4. ^ a b c 近代建築 1996, p. 70.
  5. ^ 東京人 2020, p. 84.
  6. ^ a b c d e f g 都政研究 1995, p. 32.
  7. ^ a b c 「暴走スポットガイド」『ゴジラVSデストロイア コンプリーション』ホビージャパン、2017年12月9日、63頁。ISBN 978-4-7986-1581-3 

参考文献

[編集]
  • 『都政研究』都政研究社、1995年11月。 
  • 『近代建築』近代建築社、1996年1月。 
  • 『東京人』都市出版、2020年6月。 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

座標: 北緯35度37分1.5秒 東経139度46分47.6秒 / 北緯35.617083度 東経139.779889度 / 35.617083; 139.779889