トキ (リンゴ)

‘トキ’
1. 果実
リンゴ属 Malus
セイヨウリンゴ M. pumila
交配王林’ × ‘ふじ[1]
品種 ‘トキ’[2] (‘Toki’)[3]
開発 日本の旗 日本 青森県五所川原市(土岐傳四郎)、2004年[2]
テンプレートを表示

‘トキ’: ‘Toki’)は、‘王林’と‘ふじ’を交配して育成された黄色いリンゴ(セイヨウリンゴ)の栽培品種である(図1, 2)。青森県五所川原市の土岐伝四郎によって育成され、2004年に登録された。中生品種であり日本での収穫は9–10月。果肉は緻密で果汁が多く、酸味が低いため食味が甘い。

特徴

[編集]

樹勢が強く、側枝が直立しやすい[1]。斑点落葉病に耐性がある[1]自家不和合性に関わるS遺伝子型はS2S9である[1][4]。生産力は中程度[1]。隔年結果性はほとんどみられない[1]。早期落果、後期落果はほとんどない[1]。中生品種であり、日本での収穫期は9月下旬から10月上旬[5]。果実の熟期がややばらつく[1]

2. ‘トキ’(左から2列目)は熟すと黄色くなり、同じ黄色系の‘王林’(際右列)よりも黄味が強い。

果実は円形から扁円形、重さは300–400グラムでややばらつく[1][5]。果皮は黄緑色から黄色、日に当たっていた面が紅色を帯びる[1][5][6]。こうあ部(果柄が生じている窪み)や側面にサビ(果皮のコルク化)がわずかに発生する[1]。果肉は緻密でシャキシャキしており、極めて多汁で食感がよく、芳香があり、糖度は高く(14–15%)、酸度は低い(0.2–0.3%)[1][5][3]。貯蔵期間は冷蔵で2ヶ月程度[5][3]

歴史

[編集]

青森県五所川原市の土岐伝四郎が育成し、2001年に原田種苗によって登録出願され、2004年に‘トキ’として品種登録された[1][7]。当初は、種子親が‘王林’、花粉親が‘紅月’としていたが、その後のDNA調査から花粉親は‘ふじ’と訂正された[1]。品種名は育成者の土岐傳四郎氏に由来し[8]、トキの交配育成の功労により2010年に木村甚彌賞が土岐氏に贈られている[9]。2021年の日本における‘トキ’の栽培面積は約417ヘクタール[6]

利用

[編集]

生食用として利用される[3]

台湾香港中秋節では、月に見立てた‘トキ’のような黄色の果物が贈答用に人気である[10]。ただし旧暦の8月15日に行われるため年度によって需要の時期が異なり、2013年には早く収穫された‘トキ’が流通し評判を落としてしまった[10]。また、‘トキ’は熟期が揃いにくいため、カラーチャートにより適期の収穫が呼びかけられている[11]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n リンゴ新品種「トキ」は黄色の中生種として有望である”. 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 (2017年). 2022年11月13日閲覧。
  2. ^ a b トキ - 品種登録迅速化総合電子化システム”. 農林水産省 (2004年11月8日). 2022年11月13日閲覧。
  3. ^ a b c d Toki”. Pomiferous. Pomiferous.com. 2024年11月8日閲覧。
  4. ^ 阿部和幸 & 荒川修 (2015). “リンゴ”. In 金浜耕基. 果樹園芸学. 文永堂出版. pp. 59–90. ISBN 978-4830041297 
  5. ^ a b c d e トキ”. りんご大学. 2024年11月8日閲覧。
  6. ^ a b トキ リンゴ”. 果物ナビ. 2024年11月8日閲覧。
  7. ^ トキ”. 旬の食材百科. フーズリンク. 2024年11月8日閲覧。
  8. ^ 水梨かおる (2016年10月18日). ““黄色いリンゴ”の時代が到来?増加の背景にある理由とは”. ウォーカープラス. 2022年11月13日閲覧。
  9. ^ 木村甚彌賞”. 一般社団法人青森県りんご対策協議会. 2022年11月13日閲覧。
  10. ^ a b 青森県が黄色リンゴ「トキ」の適期収穫呼びかけ 市場価値下落防ぐため”. 弘前経済新聞 (2022年9月25日). 2022年11月13日閲覧。
  11. ^ トキの熟度は平年並みからやや進んでいる!早もぎせずに、しっかり味をのせて収穫を!!”. 青森県「攻めの農林水産業」推進本部 (2019年9月13日). 2022年11月13日閲覧。

外部リンク

[編集]
  • トキ”. りんご大学. 2024年11月8日閲覧。
  • トキ リンゴ”. 果物ナビ. 2024年11月8日閲覧。