ドイツの地方行政区分

ドイツの地方行政区分(ドイツのちほうぎょうせいくぶん、ドイツ語: Land (Deutschland)

ドイツ連邦共和国は、『ドイツ連邦憲法』に基づき、16の半独立的な州(Landラント)で構成され、「ラント」が集合してドイツの国名「Deutschlandドイチュラントドイツ)」となる[1]。「ラント」は主権国のように大きな自治権やを持ち、独立の州憲法や州議会・州政府・州裁判所・地方公共団体を有しているが[2]、ドイツを国家連合のような体制にさせることはできず、その権限も必ずドイツの連邦国家の下に行使しなければならない。

「ラント」は日本語では「州」や「ドイツの構成国」「連邦州」とも訳される。ほかの「ラント」付きのドイツ語の単語と混同しないように、ドイツ人は日常生活では「Bundesland(ブンデスラント、連邦州の意)」や「Staat(シュタート、国家の意) 」と呼ぶことが多い[3]

現在の「ラント」は、ヴァイマル共和国の時代から第二次世界大戦が終わるまでの間(1920年~1945年)には「Bundesstaat(ブンデスシュタート、連邦構成国の意)」と呼ばれていたが、1990年東西ドイツ統一によってドイツは16の地域で構成することが確定され、統一の象徴として「Staat」を「Land」へと改称した。これには東西ドイツの「ラント」が平等に「1つのDeutschland」を取り組むという意味が込められており、この呼び方は今でも変わってない。

地方行政のピラミッド

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地方行政のピラミッド

州政府の行政組織は州首相府、財務省、内務省、法務省、環境・自然保護・農業・消費者保護省ほか総数で10数省があり、各省の監督下にRegierungsbezirk (「行政管区」あるいは「」とも訳される)、その下位のLandkreis (「郡」)、郡から独立した Kreisfreie Stadt (「独立市」)、郡の下位の Gemeinde (「市町村」)の階層毎に州行政が執行される。

首都ベルリンや中世以来の自由都市を起源とするハンブルクは各々単独で州としての行政権限が認められ、また同じく自由都市を起源とするブレーメンはその外港ブレーマーハーフェンと併せて一つの州として認められている。この3市は都市州 (Stadtstaat) とも呼ばれ、下位の行政区分として Stadtbezirk(「区」)がある。

都市州以外の州は以下の行政区分に細分される。

連邦州の一覧

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以下に16 ある連邦州の基本情報を示す。数字は地図の番号。

州名 面積
(km2)
人口 人口密度
(人/km2)
州都
01 バーデン=ヴュルテンベルク州 35,751.65 10,717,419 299 シュトゥットガルト
02 バイエルン自由州 70,549.19 12,443,893 177 ミュンヘン
03 ベルリン 891.75 3,387,828 3,812
04 ブランデンブルク州 29,478.63 2,567,704 87 ポツダム
05 自由ハンザ都市ブレーメン 404.23 663,213 1,642 ブレーメン
06 自由ハンザ都市ハンブルク 755.16 1,734,830 2,310
07 ヘッセン州 21,114.72 6,097,765 289 ヴィースバーデン
08 メクレンブルク=フォアポンメルン州 23,174.17 1,719,653 74 シュヴェリーン
09 ニーダーザクセン州 47,624.22 8,000,909 168 ハノーファー
10 ノルトライン=ヴェストファーレン州 34,083.52 18,075,352 530 デュッセルドルフ
11 ラインラント=プファルツ州 19,847.39 4,061,105 209 マインツ
12 ザールラント州 2,568.65 1,056,417 412 ザールブリュッケン
13 ザクセン自由州 18,414.82 4,296,284 233 ドレスデン
14 ザクセン=アンハルト州 20,445.26 2,494,437 121 マクデブルク
15 シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州 15,763.18 2,828,760 179 キール
16 テューリンゲン自由州 16,172.14 2,355,280 145 エアフルト
  • 人口は、2005年12月31日現在のもの。
ドイツの連邦州

州旗

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数字は地図の番号。

脚注

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注釈

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  1. ^ バイエルン州には州旗が2種ある: 横二色型のバイエルン州旗

出典

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  1. ^ Im Duden. Die deutsche Rechtschreibung, hrsg. von der Dudenredaktion, 23. Aufl., Mannheim/Leipzig/Wien/Zürich 2004, ISBN 3-411-04013-0, Stichwort: Bundesland, S. 250 findet sich kein Hinweis auf den Gebrauch (allein) in der Umgangssprache; nach Ulrich Ammon et al., Variantenwörterbuch des Deutschen. Die Standardsprache in Österreich, der Schweiz und Deutschland sowie in Liechtenstein, Luxemburg, Ostbelgien und Südtirol, Walter de Gruyter, Berlin 2004, ISBN 3-11-016574-0, S. 150 (Stichwort „Bundesland“) werde das Wort fast nur im Zusammenhang mit der Abgrenzung zwischen „alten“ und „neuen“ Bundesländern gebraucht.
  2. ^ 『ドイツの地方自治』(財)自治体国際化協会、2003年
  3. ^ "Föderalismus nach dem 2. Weltkrieg. Die Neugründung der Länder". Textarchiv. Deutscher Bundesrat. 28 June 2019. 2023年5月19日閲覧

参考文献

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  • 大西健夫(編)、『ドイツの政治;連邦制国家の構造と機能』、早稲田大学出版部、1992年、ISBN 4-657-92311-0
  • 木佐茂男(著)、『 豊かさを生む地方自治;ドイツを歩いて考える』、日本評論社、1996年、ISBN 4-535-51068-7
  • 大西健夫、U・リンス(編)、『ドイツの統合;分断国家から普通の国へ』、早稲田大学出版部、1999年、ISBN 4-657-99310-0
  • 片木淳(著)、『地方主権の国;ドイツ』、ぎょうせい、2003年、ISBN 4-324-07082-2
  • (財)自治体国際化協会(編)、『ドイツの地方自治』(PDF版)、(財)自治体国際化協会、2003年

関連項目

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