ナルニア国物語
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著者 | C・S・ルイス |
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原題 | The Chronicles of Narnia |
訳者 | 瀬田貞二 |
イラスト | ポーリン・ベインズ |
国 | イギリス |
言語 | 英語 |
ジャンル | ファンタジー 児童文学 |
出版社 | ジェフリー・ブレス (1–5巻) ボッドリー・ヘッド (6–7巻) ハーパーコリンズ (現在; 世界中) |
出版日 | 1950年10月16日 – 1956年9月4日 |
巻数 | 7巻 |
『ナルニア国物語』(ナルニアこくものがたり、原題: The Chronicles of Narnia)は、アイルランドの作家、C・S・ルイスの全7巻からなる子供向け小説シリーズ。1950年から1956年にかけて出版された。英米児童文学第3の黄金期というべき1950年代に、イギリスのジョフリー・ブレス(Geoffry Bles)社などからポーリン・ベインズの挿絵をつけて上梓された。
日本では石井桃子、いぬいとみこ、鈴木晋一、瀬田貞二、松居直、渡辺茂男が第二次世界大戦後の児童文学についての研究結果を発表した『子どもと文学』(中央公論社、1960年)の影響もあり、1966年に岩波書店より瀬田貞二の訳で刊行され、現在まで版を重ねている[注 1]。
構成と執筆の経緯
[編集]出版順に次の7作からなる。
- ライオンと魔女(1950年)
- カスピアン王子のつのぶえ(1951年)
- 朝びらき丸 東の海へ(1952年)
- 銀のいす(1953年)
- 馬と少年(1954年)
- 魔術師のおい(1955年)
- さいごの戦い(1956年)
内容は創造主のライオン「アスラン」により開闢された架空の世界ナルニアを舞台に、20世紀のイギリスの少年少女が異世界と往復しながら、与えられた使命を果たす冒険を描いている(『馬と少年』のみナルニアの隣国の少年が主人公)。登場人物に関してはナルニア国ものがたりに登場する人物一覧を参照。
ルイスはアメリカ人の少年から読む順番についての手紙があった際、手紙の送り主がナルニアの始まりから終わりまでの出来事を順番にして読むことを提案した際には、良いものだと返事を書いた[1]。すなわち、年代記(Chronicles)としては
の順となる。
1948年に『ライオンと魔女』を友人のJ・R・R・トールキンの前で読み聞かせたところ酷評され、しばらく原稿には手をつけなかったが、別の友人から勧められて再び書き始めた。緻密に構想を練るトールキンは、ルイスが神話や聖書の存在を混在させ、あまつさえサンタクロースを登場させた点に我慢ができなかったとされる[2]。
ルイスの観点
[編集]キリスト教弁証家であるC・S・ルイスが子供に向けてキリスト教の基礎を専門用語を使わずに書いた最初で最後の小説であり、自身の最も有名な仕事となった。アメリカの子供たちから「ナルニア国物語はアレゴリーか(ここでは Christian allegory としての意)」という質問があった際に、例えばジョン・バニヤンの『天路歴程』はまさしくアレゴリーだが『ナルニア』は違うと手紙で返事をした。
また『別世界にて』(中村妙子訳/みすず書房)では以下の説明をしている(引用参照)。前述の『子どもと文学』の中で、石井桃子はファンタジーの形式が優れた文学者の哲学を表現するのに適した形式であった点を指摘しているが、ルイスも『別世界にて』の中でフェアリー・テールの効用に発言している。
Some people seem to think that I began by asking myself how I could say something about Christianity to children; then fixed on the fairy tale as an instrument, then collected information about child psychology and decided what age group I’d write for; then drew up a list of basic Christian truths and hammered out ‘allegories’ to embody them. This is all pure moonshine. I couldn’t write in that way. It all began with images; a faun carrying an umbrella, a queen on a sledge, a magnificent lion. At first there wasn’t anything Christian about them; that element pushed itself in of its own accord.
日本語訳
[編集]日本では2013年11月22日をもってC・S・ルイスの作品はパブリックドメインとなったため、多数の出版社から出版されている。ただしポーリン・ベインズが描いた挿絵は未だ保護下[注 2]にあり、掲載されているのは岩波書店版のみである。
- 瀬田貞二訳『ナルニア国ものがたり』(全7巻)、岩波書店、1966年5月-1966年12月。岩波少年文庫、1985年10月-1986年3月。カラー版、2005年5月-2005年11月。
- 土屋京子訳 『ナルニア国物語』(全7巻)、光文社古典新訳文庫、2016年9月-2018年3月。挿絵:YOUCHAN
- 原作の出版順ではなく、物語の時系列順に並べ替え刊行された。
- 河合祥一郎訳 『ナルニア国物語 新訳』(全7巻)、角川つばさ文庫、2017年10月-2021年10月。角川文庫、2020年8月-2023年7月。挿絵:ソノムラ
- 小澤身和子訳 『ナルニア国物語』(全7巻)、新潮文庫、2024年11月-。電子書籍も刊
映画化
[編集]ウォルデン・メディア製作による実写映画化がなされた。Netflix製作でシリーズが再映画化される予定[3]。
- 『ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女』は2005年12月アメリカ公開。日本公開は2006年3月4日(日本配給:ブエナ・ビスタ・インターナショナル・ジャパン)。2005年アカデミーメイクアップ賞を受賞。
- 『ナルニア国物語/第2章: カスピアン王子の角笛』は、アメリカで2007年12月[4]、日本では2008年5月に公開された。この作品とその後の『朝びらき丸 東の海へ』、『銀のいす』とを合わせて3部作として制作する予定もあったが[5]、2008年12月24日、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーは2010年公開予定だったシリーズ第3作の制作から撤退すると発表した。同社は理由について、予算の都合と他事業の計画を考慮した結果だとしている[6]。
- 『ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島』が、20世紀フォックスの配給により2010年12月10日に全米公開、2011年2月25日に日本公開された。制作は前2作から引き続き、ウォルデン・メディアが手掛け、主要キャストも続投された。
- 2011年3月22日、次回作は原作第6巻の『魔術師のおい』を予定していることが明かされた[7] が、後に諸々の事情により、原作第4巻の『銀のいす』に変更になった。
- 2018年10月3日、Netflixがシリーズ全作の映像化権を取得し、再映画化およびドラマシリーズ化をすると報じられた[8]。アニメ映画『リメンバー・ミー』の脚本家の1人であるマシュー・オルドリッチが主導する[9]。ただし、2020年5月時点で続報はなかった[10]。
- 2023年7月4日、Netfllixによる実写化のリメイク企画が始動。『バービー』の監督グレタ・ガーウィグが少なくとも2本の長編を監督する。2026年12月IMAX公開を目標としている[11]。
TVドラマ
[編集]1988年にイギリスBBCで制作された(第1章〜第3章)。
Netflixによるドラマシリーズ化がなされる予定[8]。
- 第一章 ライオンと魔女
- 第二章 カスピアン王子のつのぶえ/朝びらき丸、東の海へ
- 第三章 銀のいす
アニメ
[編集]- 『ナルニア国物語〜ライオンと魔女〜』(原題:『The Lion, the Witch, & the Wardrobe』)。1979年にイギリス・アメリカ合作で制作された。同年エミー賞を受賞。
漫画
[編集]- ナルニア国物語 1 魔術師のおい 1[12]
- ナルニア国物語 1 魔術師のおい 2[13]
- ナルニア国物語 1 魔術師のおい 3[14]
- ナルニア国物語 1 魔術師のおい 4[15]
- ナルニア国物語 1 魔術師のおい 5[16]
関連本
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 過去には『ナルニア国ものがたり』の表記が用いられていたが、現在の版では『ナルニア国物語』となっている。
- ^ 2022年の著作権法では2078年8月1日まで保護される。
- ^ ターキッシュ・デライトとプリンは全く別種の菓子であるが、『ライオンと魔女』の訳者あとがきによると、ターキッシュ・デライトは日本では全く馴染みが無いと判断したために、敢えてプリンと訳したとある。
出典
[編集]- ^ 『子どもたちへの手紙』中村妙子訳/新教出版社
- ^ B・シブリー『ようこそナルニア国へ』中村妙子訳 岩波書店
- ^ 「『ナルニア国物語』Netflixが再映像化へ ― シリーズ作品、映画作品の両方を製作予定 | THE RIVER」『THE RIVER』2018年10月4日。2018年10月4日閲覧。
- ^ Walden Media — 2006 Press Releases — Walt Disney Pictures and Walden Media Begin Pre-Production on ... , February 6, 2006.
- ^ Walden Media — 2006 Press Releases — The Family Business, Entertainment Weekly, Jeff Jensen, April 28, 2006.
- ^ ロイター通信社,2008.12.24発信
- ^ Narnia 4 Will Be 'Magician's Nephew,' Not 'Silver Chair'
- ^ a b Otterson, Joe (2018年10月3日). “‘Chronicles of Narnia’ Series, Films in the Works at Netflix” (英語). Variety 2018年10月4日閲覧。
- ^ “Netflix版「ナルニア国物語」は「リメンバー・ミー」脚本家が主導”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2019年7月10日) 2020年10月14日閲覧。
- ^ Labonte, Rachel (11 May 2020). "Narnia Producer Hopes Reboot is Episodic But Hasn't Heard From Netflix". Screen Rant (英語). 2023年5月20日閲覧。
- ^ “新『ナルニア国物語』映画、2026年12月IMAX公開目標か ─ 原作に忠実な再現を目指す | THE RIVER”. theriver.jp (2024年12月26日). 2024年12月26日閲覧。
- ^ "「ナルニア国物語 1 魔術師のおい 1」発売". 2023年7月25日閲覧。
- ^ "「ナルニア国物語 1 魔術師のおい 2」発売". 2023年7月25日閲覧。
- ^ "「ナルニア国物語 1 魔術師のおい 3」発売". 2023年7月25日閲覧。
- ^ "「ナルニア国物語 1 魔術師のおい 4」発売". 2023年7月25日閲覧。
- ^ "「ナルニア国物語 1 魔術師のおい 5」発売". 2023年7月25日閲覧。