ネムロコウホネ
ネムロコウホネ | ||||||||||||||||||
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1. 浮水葉と花 | ||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Nuphar pumila (Timm) DC. (1821)[2] | ||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||
ネムロコウホネ[4][3][4]、 エゾコウホネ[3][4] | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
least water-lily, least yellow water-lily[1] |
ネムロコウホネ[注 2](根室河骨、学名: Nuphar pumila)はスイレン科コウホネ属に属する水草の1種である。エゾコウホネともよばれる。ふつう水中にある沈水葉と水面に浮かぶ浮水葉をつけ、浮水葉は長さ6–17センチメートル (cm)、葉柄が細い(図1)。花は黄色、直径 1–4.5 cm、柱頭盤は深く切れ込み、ふつう黄色だがときに赤色(図1)。ユーラシア北部に広く分布しており、日本では北海道から本州北部で見られる[注 3]。観賞用に栽培されることがあり、また薬用植物としても用いられる[6][7]。
日本では、柱頭盤が赤いものを変種オゼコウホネ(Nuphar pumila var. ozeensis)として扱うことが多い。
特徴
[編集]多年生の水生植物であり、基本的に沈水葉と浮水葉をもつが、まれに抽水葉をつける[3][4][8] (下図2)。根茎は直径 1–3 cm[8][9]。沈水葉は膜質で広卵形から円心形、8–15 × 8–13 cm[4][10]。浮水葉は卵形から広卵形、11–22 × 8–15 cm、基部は深く切れ込み (3–6.3 cm)、側脈は10–21対、裏面にはときに細かい毛が密が生える[3][8][9][10] (下図2b, c)。葉柄は直径1–5ミリメートル (mm)[8]。
花期は夏 (日本では7–8月)、花は直径 1–4.5 cm[3][4][9]。花柄は長さ 40–50 cm、直径 2.5-5.5 mm[8][9]。萼片は5枚、1–2.5 cm、黄色[3][9] (下図3a, b)。花弁は多数、5–7 mm、黄橙色[8][9] (下図3b)。雄しべの葯は黄色、長さ 1.5–4 mm、花糸は葯の2–3倍長[3] (下図3a, b)。柱頭は8–14個[8] (15–20個との記述あり[4])、柱頭盤の色はふつう黄色だがときに赤色、直径 4–7.5 mm、深く切れ込んで星形、中央の窪みの中にしばしば突起がある[3][4][8][9] (下図3a, b)。果実はふつう緑色、卵形〜つぼ形、長さ 2–4 cm、表面は平滑、17–90個の種子を含む[3][8] (下図3c)。種子は長さ 3–5 mm、褐色〜緑褐色[3]。染色体数は 2n = 34[3]。
分布・生態
[編集]ヨーロッパからシベリア、極東ロシア、中国、朝鮮半島、台湾、日本 (北海道と本州北部) にかけて、ユーラシア北部に広く分布している[2][3][8][9]。湖沼や湿原の池塘に生育する[4][8] (下図4)。
保全状況評価
[編集]絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
日本では生育環境の減少などによって少なくなり[11]、基変種である狭義のネムロコウホネ (Nuphar pumila var. pumila) および変種のオゼコウホネ (Nuphar pumila var. ozeense) はいずれも絶滅危惧II類に指定されている (2022年現在)[12][13]。また下記のように、個々の都道府県でも絶滅危惧種に指定されている。以下は2022年現在の各都道府県におけるレッドデータブックの統一カテゴリ名での危急度を示している[12][13]。
ネムロコウホネ[注 4]
オゼコウホネ
分類
[編集]亜種
[編集]Padgett (2007) は、本種の中に以下の3亜種を認めている[8](下表1)。ただしこれらは独立種として扱われることもある。
表1. ネムロコウホネの種内分類[8]
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オゼコウホネ
[編集]ネムロコウホネの種内分類群として、変種オゼコウホネが認められることがある[3][4]。ただし、これは分類学的に分けられないこともある[2][15]。
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雑種
[編集]セイヨウコウホネの分布と重なる地域では雑種が形成され、Nuphar × spenneriana Gaudin (1828) とよばれる。一方、日本ではコウホネとの雑種が形成され、ホッカイコウホネ (Nuphar x hokkaiensis Shiga & Kadono (2007)) とよばれる。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b GBIF Secretariat (2021年). “Nuphar pumila (Timm) DC.”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年9月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “Nuphar pumila”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 志賀隆 (2015). “コウホネ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 46–48. ISBN 978-4582535310
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 角野康郎 (1994). “コウホネ属”. 日本水草図鑑. 文一総合出版. pp. 112–116. ISBN 978-4829930342
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックスYList”. 2021年8月27日閲覧。
- ^ “Nuphar pumila”. Practical Plants. 2021年9月2日閲覧。
- ^ 「根室河骨」『動植物名よみかた辞典 普及版』 。コトバンクより2021年8月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m Padgett, D. J. (2007). “A monograph of Nuphar (Nymphaeaceae)”. Rhodora 109 (937): 1-95. doi:10.3119/0035-4902(2007)109[1:AMONN]2.0.CO;2.
- ^ a b c d e f g h Flora of China Editorial Committee (2001年). “Nuphar pumila”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月27日閲覧。
- ^ a b c 角野康郎 (2014). “ネムロコウホネ”. 日本の水草. 文一総合出版. p. 47. ISBN 978-4829984017
- ^ “ネムロコウホネ”. 十勝の川の生き物たち. 帯広開発建設部 治水課
- ^ a b c “ネムロコウホネ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2022年7月21日閲覧。
- ^ a b “オゼコウホネ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2022年7月21日閲覧。
- ^ a b c d e 角野康郎 (2014). “オグラコウホネ”. 日本の水草. 文一総合出版. pp. 45–46. ISBN 978-4829984017
- ^ a b GBIF Secretariat (2021年). “Nuphar pumila var. ozeensis (Miki) H.Hara”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年8月24日閲覧。
- ^ a b c d 高橋英樹, 山崎真実 & 佐々木純一 (2005). “オゼコウホネ (スイレン科) の1新品種”. 植物研究雑誌 80 (1): 48-51. NAID 40006644248.
外部リンク
[編集]- 波田善夫. “ネムロコウホネ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2021年8月25日閲覧。
- “ネムロコウホネ”. 十勝の川の生き物たち. 帯広開発建設部 治水課
- “オゼコウホネ”. 日光植物園. 東京大学. 2021年8月26日閲覧。
- “オゼコウホネ”. 尾瀬マウンテンガイド. 2021年8月26日閲覧。
- “Nuphar pumila”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月24日閲覧。