ハタハタ寿司
ハタハタ寿司(ハタハタずし)とは、秋田県の郷土料理で、ハタハタ(鰰)を用いた飯寿司(イズシ)の一種、発酵ずしである。ハタハタ漬けとも。
概要
[編集]江戸時代においてハタハタは安価な魚であり、貴人には好まれなかったものの民衆の間で人気を得ていた[1]。ハタハタ寿司は海岸部だけでなく秋田全域で食べられており、昭和初期の東部山地といった普段は海産物を口にする機会が少ない地域でも年末になると箱に多く詰められた塩ハタハタが寿司にされた[1]。
一匹の姿のまま漬ける「一ぴきずし」、頭だけ落として漬ける「全(まる)ずし」、切り身にして漬ける「切りずし」とがある。祝宴の場で供される一ぴきずしが最も格式が高いが、店舗で販売されるハタハタ寿司は全ずしが多い[1]。
下処理して塩漬けにしたハタハタを水に漬けて塩出しする。麹を混ぜた飯とカブやニンジンなどの野菜、昆布などとともに桶に詰めて重石をして漬ける。3~4週間くらいで食べられる。出来上がった寿司は生で食べられるほか、炙って食べられることもある[1]。塩出しした後で酢にくぐらせる、漬け込みの際にどぶろくを振り掛けるというのは新しい技法で、古い漬け方では酢や酒は用いないと思われる[1]。
秋田と同じくハタハタの産地である鳥取県の賀露地区にも祭の際に振る舞われる郷土料理としてハタハタ寿司が存在する。ハタハタを塩漬けにした後塩抜きをし、酢・塩・砂糖で味を調えたおからに漬け込んで作る。[2]
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 日比野光敏『すしの歴史を訪ねる』(岩波新書, 岩波書店, 1999年10月)