バクー市街地コース
2018年の空撮より | |
所在地 | アゼルバイジャン・バクー |
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標準時 | GMT+4 |
座標 | 北緯40度22分21秒 東経49度51分12秒 / 北緯40.37250度 東経49.85333度座標: 北緯40度22分21秒 東経49度51分12秒 / 北緯40.37250度 東経49.85333度 |
収容人数 | 28,000 |
FIAグレード | 1 |
オープン | 2016年6月17日 |
設計者 | ヘルマン・ティルケ |
主なイベント | F1世界選手権 ヨーロッパGP (2016年) アゼルバイジャンGP (2017年-) GP2,FIA F2 (2016年-) |
グランプリコース | |
コース長 | 6.003 km (3.73 mi) |
コーナー数 | 20 |
レコードタイム | 1:40.203 ( シャルル・ルクレール, フェラーリ, 2023年) |
バクー・シティ・サーキット(英: Baku City Circuit、アゼルバイジャン語: Bakı Şəhər Halqası、バクー市街地コース)は、アゼルバイジャンの首都バクーに仮設される市街地サーキット。2016年にフォーミュラ1(F1)ヨーロッパグランプリ(2017年からはアゼルバイジャングランプリ)が開催されている。
概要
[編集]2014年7月にF1開催契約が発表され[1]、同年10月にバクー市街地を利用するコースレイアウトが発表された[2]。設計は、近年のF1開催サーキットのデザインを一手に引き受けているヘルマン・ティルケ事務所が担当する。
カスピ海に面するバクーの新旧市街地を舞台にした左回りのコース。1周約6kmは、F1開催コースの中ではベルギーGPが行われるスパ・フランコルシャン(約7km)に次ぐ長さとなる。設計者のヘルマン・ティルケは「世界最速の市街地コースとなる[3]」と語り、平均速度211km/h、最高速度340km/hを記録すると予想されたが[4]、2016年のF1ヨーロッパGPではバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)が予選中に378km/hを記録した。なお、F1の公式最高速度記録(決勝中の計測)は2005年イタリアGPでファン・パブロ・モントーヤ(マクラーレン)が記録した372.6km/hである[5]。
近年のバクーはユーロビジョン・ソング・コンテスト2012、2015年ユーロオリンピック、サッカーのUEFA EURO 2020などの国際的イベントの誘致に熱心な姿勢を見せている[6]。モータースポーツでは、F1に先立ちGTカーの公道レースが開催されている。2012年の「バクーシティチャレンジ」はガバメントハウス (Government House, Baku) 周囲の約2.14kmのコース。2013年のFIA GTシリーズ最終戦、2014年のブランパンスプリントシリーズ最終戦は「バクーワールドチャレンジ (Baku World Challenge) 」としてフラッグ・スクエア (National Flag Square) 周辺の約4.38kmのコースで行われた。
初年度の2016年は予選・決勝とも現地時間午後5時スタートのトワイライトレースとなるが、日没が午後9時以降であるため照明設備は用意されない。ただし、伝統のル・マン24時間レースと日程が重なった上に[7]、2時間の時差がある都合上、ル・マンのフィニッシュ時刻とヨーロッパGPのスタート時刻が重なる形となった[8]。
翌2017年は「アゼルバイジャングランプリ」と名称を変更して開催される。なお、日程の移動によりル・マン24時間レースとの重複は解消されている[9]。
コースレイアウト
[編集]ピット施設は「バクーシティチャレンジ」の時に使われたガバメントハウス周辺の敷地に設けられる。
セクター1(スタート〜ターン7)は直線と90度コーナーを組み合わせた典型的なストリートコース。ターン6〜7間の直線は防護壁を隔ててターン19〜20間の直線と対面走行するような格好になる[10]。
セクター2(ターン7〜ターン16)はユネスコの世界遺産に認定されている旧市街地「イチェリ・シェヘル (Old City (Baku)) 」の城壁の周囲を巡る。北側のシェマハ門付近にあるターン8から11にかけてのスラロームセクションは、車1台がやっと通れるほどの狭さ(道幅7.6m)である[4][11]。ターン14から先は下り坂となり、ターン15の出口はアウト側の壁にヒットしやすい。
セクター3(ターン16〜フィニッシュ)は海岸沿いのブールバール (Baku Boulevard) に沿って走る高速セクションで、約2.2kmに渡って加速区間が続く[2]。
一部区間は旧市街地の石畳の道路を使用するので、保護シートの上に簡易舗装工事を行い、レース後はまた元の状態に戻す[12]。
本来、市街地コースではダウンフォースを稼ぐ空力セッティングを施すが、バクーは直線区間が長いため、ドラッグを減らす妥協点を見つける必要がある[13]。
バクーの名はペルシャ語で「風の街」を意味し、その名の通り強風が吹くと空力的依存度の強いF1マシンでは走行に影響を受けやすい[14]。
2016年ヨーロッパグランプリと2019年アゼルバイジャングランプリでマンホールの蓋が外れるトラブルに見舞われており、予選から番狂わせが起きることで有名なコースである。
脚注
[編集]- ^ "アゼルバイジャンGP決定。ティルケの公道コースで". AUTO SPORT Web. (2014年7月30日) 2016年6月5日閲覧。
- ^ a b "バクー市街地サーキットのレイアウト発表". ESPN F1. (2014年10月8日) 2016年6月5日閲覧。
- ^ "F1初開催のバクーは世界最速の市街地コースに". AUTO SPORT Web. (2016年3月25日) 2016年6月5日閲覧。
- ^ a b "【動画・画像】バクー市街地サーキット映像公開 車1台分の狭い路地コーナーも". Topnews. (2016年2月28日) 2016年6月5日閲覧。
- ^ "F1最高速記録、11年ぶりの更新なるか". Topnews.(2016年09月01日)2017年06月25日閲覧。
- ^ 2016年夏季オリンピックと2020年夏季オリンピックの開催地にも立候補したが、ともに1次選考で落選した。
- ^ "トッド会長、F1とル・マンのバッティングを謝罪". AUTOSPORT Web. (2015年11月9日) 2016年5月7日閲覧。
- ^ "F1初開催のバクー、レース開始時間変更でル・マン24時間とバッティング". AUTOSPORT Web. (2016年4月5日) 2016年6月7日閲覧。
- ^ “バクー、F1アゼルバイジャンGPへの名称変更の理由を説明”. F1-Gate.com (2016年12月2日). 2016年12月3日閲覧。
- ^ "初開催なので恒例のサーキット・ウォークを@ヨーロッパGP現地情報". AUTOSPORT Web. (2016年6月18日) 2016年6月19日閲覧。
- ^ "アロンソ“世界最速市街地コース”バクーを視察 「腕試ししたくなる!」". AUTOSPORT Web.(2016年3月11日)2016年6月14日閲覧。
- ^ "GP topic:安心してください、旧市街地の石畳はアスファルトの下にあります". AUTOSPORT Web. (2016年6月18日) 2016年6月19日閲覧。
- ^ "レッドブル、カナダGPと初開催アゼルバイジャンのヨーロッパGPプレビュー「市街地サーキットにワクワク」". Topnews. (2016年6月5日) 2016年6月7日閲覧。
- ^ 秒速16m以上!?『風の街』バクーの暴風を怖れるドライバーたち - motorsport.com(2018年4月29日)
関連項目
[編集]- 城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔(旧市街地の世界遺産)
外部リンク
[編集]- 公式サイト
- Baku City Circuit (@bakucitycircuit) - X(旧Twitter)
- Baku City Circuit (bakucitycircuit) - Facebook