パイレート・ベイ
パイレート・ベイのロゴ | |
URL | thepiratebay |
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言語 | 35の言語が使用可能 主に英語とスウェーデン語 |
タイプ | インデックスサイト |
設立者 | ゴットフリート・スヴァルトホルム フレドリック・ネーイ ピーター・スンデ |
収益 | 広告 寄付 商品 暗号通貨のマイニング |
登録 | 任意 |
開始 | 2003年9月15日 |
現在の状態 | オンライン |
プログラミング言語 | HTML JavaScript PHP |
パイレート・ベイ (The Pirate Bay、略称:TPB)は、デジタルコンテンツのトレントファイルを検索できるインデックスサイトである。2003年に、スウェーデンの反著作権団体Piratbyrånによって設立された。利用者はマグネットリンクおよびトレントファイルの検索、ダウンロード、掲載が可能である。マグネットリンクとトレントファイルは、BitTorrentプロトコルを用いたP2Pファイル共有に使用される。
サイトは何度か閉鎖されドメインは差し押さえられたが、新しいアドレスに切り替えて稼働を続けている[1]。
2009年4月、著作権侵害の幇助に関してスウェーデンで行われたPirate Bay裁判において、サイトの設立者らは有罪となり、懲役1年と罰金の支払いを宣告された[2]。設立者らは全員、短縮された刑期を終え、2015年までに釈放された[1]。
ISPによってこのサイトへのアクセスがブロックされている国もあり、これを回避するために、プロキシウェブサイトが提供されている[3][4][5][6][7]。
歴史
[編集]パイレート・ベイはスウェーデンの反著作権団体Piratbyrånによって2003年9月に設立された。2004年10月からは独立した組織として運営されている。当初はゴットフリート・スヴァルトホルム (anakata)とフレドリック・ネーイ (TiAMO)の二人によって運営されていた。この二人は、「著作権保護されたコンテンツを入手可能にすることを幇助した」として、アメリカ映画協会によって告訴された。2006年5月31日、ストックホルムにあるサーバーにスウェーデン警察の捜査が入り撤去され、3日間アクセスできなくなった[8]。
パイレート・ベイは原告としても被告としても、多くの裁判に関わってきた。2009年4月17日には、9日間の裁判の後、ピーター・スンデ、フレドリック・ネーイ、ゴットフリート・スヴァルトホルム、カール・ルンドストレームが著作権侵害の幇助で有罪となり、懲役1年および3,000万 SEKの罰金支払いを宣告された。被告らは上訴し、政治的圧力に屈したとして裁判官を非難した[9][10]。2010年11月26日、スウェーデンの高等裁判所は判決を支持し、元の刑期は短縮されたが、罰金は4,600万 SEKに増額された[11]。2012年5月17日、プロバイダに対する禁止命令により、サイトはオフラインになった[12]。サイトへのアクセスは後に、禁止命令を馬鹿にするメッセージをフロントページに載せ、回復された。2010年6月23日、共同設立者であるイビ・コピミ・ボタニの死により、Piratbyrånは解散した[13]。
パイレート・ベイは数年間、スウェーデンに基盤のあるPRQという会社によってホストされていた。この会社は、パイレート・ベイの設立者であるゴットフリート・スヴァルトホルムとフレドリック・ネーイによって所有されている[14]。2011年5月からは、Serious Tubes Networksがパイレート・ベイへの接続の提供を開始した[15]。2012年1月23日、Physiblesという新たなカテゴリが追加された。これは、3Dプリンターを用いて「形をもつことができるデータオブジェクト」である[16]。2012年5月、Googleが新たに開始した「透明性レポート」の一部として、Google 検索のインデックスからパイレート・ベイのリンクを削除するよう求める、6,000を超える正式なリクエストがあったことが報告された。これらのリクエストは、80,500件を超えるリンクをカバーしていた[17]。2013年8月10日、パイレート・ベイはPirateBrowserのリリースを発表した。このブラウザは、インターネットの検閲を回避するのに使われる[18]。サイトは2003年から2014年11月まで、World Wide Webで最も訪問者の多いトレントディレクトリだった[19]。2014年12月8日、Googleは、タイトルに"The Pirate Bay"とつくほとんどのアプリをGoogle Playから削除した。
2014年12月9日、パイレート・ベイにスウェーデン警察の捜査が入り、サーバー、コンピューターおよびその他の装置が押収された[20][21][22][23][24]。それから数日の間に、いくつかのコピーサイトがオンラインになった。有名なコピーサイトとしては、isoHuntによって作られたoldpiratebay.orgがある[25][26]。
2015年5月19日、パイレート・ベイの.seドメインは、スウェーデンの裁判所の決定に従って差し押さえる命令が下された[27]。サイトは新たに6件のドメインを追加して対応した[28][29]。2015年5月26日、上訴が行われた[30]。2016年5月12日、上訴は退けられ、裁判所は、サイトのドメインがスウェーデン国家に引き渡されるべきであると決定した[31][32]。2016年5月、サイトは元の.orgドメインを使用するようになった[33]。2016年8月、アメリカ政府によってKickassTorrentsが閉鎖され、パイレート・ベイは再び、最も訪問者の多いBitTorrentサイトになった[34]。
ウェブサイト
[編集]コンテンツ
[編集]パイレート・ベイではマグネットリンクの検索ができる。マグネットリンクは、P2Pネットワークを通じてダウンロード可能なリソースを参照するのに使用され、BitTorrentクライアントで開くと、コンテンツのダウンロードが開始される。元々は[35]、データファイルを他のユーザーからダウンロードするのに必要なメタデータを含む、トレントファイルをダウンロードできた。コンテンツのカテゴリとしては、「オーディオ」「ビデオ」「アプリケーション」「ゲーム」「ポルノ」「その他」がある[36]。登録にはメールアドレスが必要で、無料である。登録を行ったユーザーは自身のトレントのアップロードおよびトレントへのコメントができる。TorrentFreakが行った、2013年に新たにアップロードされたファイルの調査によると、アップロードのうち44 %をテレビ番組および映画、35 %をポルノ、9 %をオーディオが占めていた[37]。
ウェブサイトには検索機能がある。「オーディオ」「ビデオ」「ゲーム」といった大カテゴリの検索や、「オーディオブック」「高解像度映画」「漫画」といったサブカテゴリの検索ができる。2012年1月から、3Dプリント可能なオブジェクトに対してPhysiblesというカテゴリがある[38][39]。コンテンツは、ファイル名、シーダーやリーチャーの数、投稿日などで並び替えることができる。
Piratbyrånはパイレート・ベイを、パフォーマンスアートの長期プロジェクトであると評した[40]。通常、パイレート・ベイのフロントページには、海賊船の絵が掲載されている。この海賊船の帆には、1980年代の反著作権侵害運動Home Taping Is Killing Musicのロゴが描かれている。
技術詳細
[編集]当初、パイレート・ベイの4台のLinuxサーバーは、Hypercubeと呼ばれる独自のウェブサーバーを稼働させていた。古いバージョンのHypercubeはオープンソースである[41]。2005年6月1日、パイレート・ベイは、帯域の使用を減らすためにウェブサイトのアップデートを行った。アップデート前には、4台のウェブサーバーそれぞれに、1ミリ秒につき2件のHTTPリクエストがあった[42]。また、このアップデートには、ウェブサイトのフロントエンドをよりユーザーフレンドリーなインタフェースにするという目的もあった。ウェブサイトは現在、動的フロントエンドにLighttpdとPHP、データベースのバックエンドにMySQL、二つの検索システムにSphinx、SQLクエリとPHPセッションのキャッシュにMemcached、静的なコンテンツをキャッシュするためLighttpdのフロントにVarnishを使用している。2008年9月時点では、パイレート・ベイは31台のサーバーからなる。これには、9台の動的ウェブフロント、1台のデータベース、2台の検索エンジン、8台のBitTorrentトラッカーが含まれる[43]。
2007年12月7日、パイレート・ベイは、BitTorrentトラッキングソフトウェアとして、HypercubeからOpentrackerへの移行を完了した。また、HypercubeがサポートしていなかったUDPトラッカープロトコルの使用も可能となった[44]。これにより、複数のサーバーが相互に同期を取るのにUDPマルチキャストを使用できるようになり、同期処理が以前よりも高速にできるようになった[45]。Opentrackerはフリーソフトウェアである[46][47]。
2008年6月、パイレート・ベイは、スウェーデンの新たな通信傍受法に応じて、サーバーをSSL暗号化に対応させるだろうと発表した[48]。2009年1月19日、IPv6バージョンのOpentrackerを使用し、トラッカーシステムでのIPv6のサポートを開始した[49]。2009年11月17日、パイレート・ベイは、トラッカーサービスを停止した。分散ハッシュテーブル (DHT)、ピア交換 (PEX)およびマグネットリンクを用いれば、非中央集権的なやり方でピアやコンテンツを見つけることができるので、中央集権的なトラッカーはもはや必要ない、と述べている[50]。
2012年2月20日、パイレート・ベイはFacebookの投稿で、2月29日以降はトレントファイルを提供せず、代わりにマグネットリンクのみを提供するだろう、と発表した。「トレント(ファイル)を持たないことで我々は少し安く済み、また、敵が我々を止めるのが難しくなるだろう」とコメントした。10人未満で共有されているトレントについては、マグネットリンクをサポートしない古いソフトウェアとの互換性を保証するため、トレントファイルが保持されるだろう、とも述べた[51]。
資金
[編集]初期資金
[編集]2007年4月、スウェーデンのトークショーBertにおいて、パイレート・ベイが右翼事業家カール・ルンドストレームから資金援助を受け取ったことが明かされた。ルンドストレームはヴァーサブルード社の財産の相続人で、スウェーデン民主党やBevara Sverige Svenskt (Keep Sweden Swedish, スウェーデンをスウェーデンのものに)といった極右政党・運動に資金提供を行っていることで知られている。トークショーで、Piratbyrånのスポークスマンであるトビアス・アンデションは、「ルンドストレームの支援なしではパイレート・ベイは始まらなかった」と認め、ほとんどの資金はサーバーと帯域の確保に充てられると述べた[52][53]。
寄付
[編集]2004年から2006年まで、パイレート・ベイには寄付ページへつながる「寄付」リンクがあった。寄付ページにはいくつかの支払方法がリストされていた。資金はトラッカーのサポートのみに使用されると述べた。寄付を行うと、広告がなくなったり"VIP"ステータスが得られたりといった期間限定の特典が提供された[54][55]。その後、リンクはホームページから削除された[56]。寄付ページは「地元の海賊版推進団体に」寄付することを薦める旨を表示するのみとなり[57]、しばらくするとサイトのメインページにリダイレクトされていた。Billboardは、サイトが2009年に「サービスを継続するために寄付を募っている」と主張した[58]。2006年、スウェーデンの政治リアリティーショーToppkandidaterna (The Top Candidates, トップ候補者たち)に出演した候補者ペッター・ニルソンは、パイレート・ベイに35,000 SEKを寄付し、この資金は新しいサーバーの購入に用いられた[59][60]。
2007年、サイトはシーランド公国を購入するための基金を運営した[61]。2009年、有罪判決を受けたパイレート・ベイの設立者らは、罰金を支払うつもりはないので罰金の支払いのために寄付を行うのはやめるよう、ユーザーらに要請した[62][63]。2013年、パイレート・ベイは、フロントページにBitcoin[64]およびLitecoin[65]のアドレスを公開した。
商品
[編集]パイレート・ベイは、サイト関連の商品を販売するオンラインストアへリンクしている。2006年にスヴェンスカ・ダーグブラーデットにおいて初めて言及された[66]。
広告
[編集]2006年から、パイレート・ベイは結果ページの広告を通じて資金を得ている。スヴェンスカ・ダーグブラーデッドの推測によると、広告によって毎月600,000 SEKを得ている[67][68]。2006年の調査では、警察は、パイレート・ベイが毎年広告から120万 SEKを得ていると結論づけた[69]。検察側は2009年の裁判で、Eメールとスクリーンショットから、広告によって毎年1,000万 SEK以上を得ていると見積もったが[70]、起訴では警察の見積りが使われた[71]。サイト管理者の弁護士らは、2006年の収益は725,000 SEK程度だと見積もった[72]。しかしながら、最初の裁判の判決では、予備調査の見積りが引用された[73]。
2008年時点で、IFPIによると、パイレート・ベイは多大な利益を得ており、人々の権利を支援するよりも利益を得ることに重きを置いている[74]。パイレート・ベイは、これらの主張は真実ではないと主張した。「この規模のウェブサイトを運営するのは無料ではなく」、「もし我々がたくさんのお金を稼いでいるなら、私、スヴァルトホルムは、今夜オフィスで遅くまで働いていないだろうし、どこかのビーチで座って、日焼けでもしているだろう」と述べている[75]。IFPIによってなされた、年間収益が300万 USDを超えるという主張に対して、サイトのスポークスマンであるピーター・スンデは、ウェブサイトの多大な帯域、電力、およびハードウェアのコストが収益の可能性をなくしている、と述べた。パイレート・ベイは、彼の言うところによると、究極的には赤字運営の可能性がある[74]。2009年の裁判では、弁護側は、サイトの年間支出を800,000 SEKと見積もった[76]。
意図しない広告主もあった。2007年には、広告代理店によって、ウォルマートのザ・シンプソンズのDVDの広告が「シリーズのダウンロードを含む検索結果に加えて」設置された[77]。2012年には、カナダの財務省の経済行動計画のバナー広告が検索結果のトップに、より大きな「メディア購入」の一部として設置されたが、「すぐに」引き下げられた[78][79]。
料金
[編集]サイトの利用規約によると、パイレート・ベイは商業規約の違反者に対して、「5,000ユーロの基礎料金および違反によって生じる帯域とその他のコスト」を請求する権利を有する[80]。共同設立者のピーター・スンデは、著作権保護されている本の情報をサイトからスクレイピングしたスウェーデンの出版社を、利用規約に違反したとして非難し、データベースに対するパイレート・ベイの著作権を主張した[81]。
出典
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