パルモア学院専門学校

パルモア学院専門学校
国公私立 私立
学校種別 専門学校
設置者 準学校法人パルモア学院
創立者 ジェームス・ウィリアム・ランバス
創立年 1886年
閉校年月日 2021年
共学・別学 男女共学
所在地 =669-1321
兵庫県三田市けやき台4丁目30番地6(法人所在地)[1]
Portal:教育
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パルモア学院専門学校(パルモアがくいんせんもんがっこう、Palmore Institute)は、日本の専門学校。設置者は準学校法人パルモア学院(法人所在地 兵庫県三田市けやき台4丁目30番地6[1])。関西学院啓明学院の母体であり[2][3][4]パルモア病院を設立した[5]1886年に設立され、2020年に閉校を決定した[6](再開の予定なし[7])。

概要

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1886年アメリカ南メソヂスト監督教会の宣教師ジェームス・ウィリアム・ランバス一家によって神戸外国人居留地47番に開設された英語塾「読書館」が起源[8]。学校名は、読書館の活動を経済的に支援したアメリカミズーリ州の宣教師ウイリアム・ビバリー・パルモアに由来する[8][9]

1887年8月に神戸外国人居留地から山二番(後の神戸市中央区北長狭通)へ移転し、ジェームス・ウィリアム・ランバスによる英語の夜間授業が行われた[10]。翌1888年9月にN・W・アトレーが昼間部を作り[11]1889年にジェームスの子ウォルター・ラッセル・ランバスが昼間部を母体として関西学院を設立した[12]。発足当初のパルモア学院は所在地を転々とし、授業を行う場所が定まらず、メソヂスト教会の年会において毎年廃止が検討され、一度は廃止が決定されたが、ジェームスの妻メアリーの働きかけにより存続した[13]

1910年に宣教師ジェイムズ・サミュエル・オックスフォードが赴任すると、実用英語科、速記科、タイプライター科を設置するなど実業教育を展開し[8]、実践的英語教育の担い手として戦前期の阪神間で名を轟かせ[14]、「関西一の英語専門夜学校」と呼ばれた[15]太平洋戦争中は事実上活動を休止するが、戦後専門学校としての活動を再開[8]。本格的な英語教育をする場として一世を風靡し[16]、3000人を超える生徒が在籍した[17]。戦前から戦後にかけては厳しい教育で知られ[14][18]、卒業できる生徒は戦前期で3%強[14]、戦後は1割ほどであった[18]

1956年、学院長の石井卓爾が学内に反対意見のある中[19]、義弟の医師三宅廉を病院長に据え[5]、設立資金全額をパルモア学院と学院の宣教師・職員・生徒からの寄付金で賄い、さらにパルモア学院所有の土地を無償貸与する形でパルモア病院(医療法人財団パルモア病院)を設立した[20]。後に学院と病院は断絶し[21]、金銭や土地を巡って法的紛争を展開した[22]。学院は病院と関係する大手都市銀行とも係争し[23]、存続の危機に陥ったが卒業生新山尭夫の下[16]経営危機を克服[8]した。一方病院は訴訟に伴う不動産評価替えなどが原因となって赤字に転じ[22]2013年民事再生法の適用を申請した[24]2014年に医療法人社団純心会パルモア病院として再生[25])。

2020年7月、休校を発表[7]。同年8月、姉妹校関西学院の経営計画書において「2020年度末の閉校」が明記された[26]。同年12月に閉校を決定[6]。再開の予定はなく[7]。運営法人は2021年春以降に解散する[6]。最後の約10年間は年間数千万円の赤字を計上し、最終年度の専門学校生徒数は1名であった[6]

沿革

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  • 1886年 - 米国人宣教師J.W.ランバス博士により創立。「パルモーア英学院Palmore Institute)」と称す。
  • 1889年 - 昼間部を分離独立、関西学院を設立。
  • 1923年 - タイプ科女子生徒を分離独立、女子パルモア(啓明女学院→啓明学院)を設立。
  • 1945年 - 神戸大空襲により校舎消失[27]
  • 1947年 - 夜間英語授業再開[28]
  • 1951年3月 - 法人として認可[29]
  • 1956年 - パルモア病院を設立。
  • 1990年 - パルモア学院専門学校開校(1月20日認可[30])。
  • 1995年 - 昼間英語科開設(現在、現代総合英語科・昼間)
  • 2002年 - 夜間英語科を現代総合英語科・夜間に改称。
  • 2007年 - 神戸市中央区北長狭通からJR神戸駅前(神戸市中央区相生町4丁目5番16号)へ移転。
  • 2008年 - 専門学校の名称を「パルモア学院英語専門学校」に変更[31]
  • 2008年 - 英語学校「カプラン」と提携。
  • 2020年 - 閉校を決定。
  • 2020年12月22日 - 最後の卒業式を実施[18]
  • 2021年4月 - 法人所在地が神戸市中央区相生町から兵庫県三田市けやき台4丁目30番地6に変更[32][33][34]
  • 2021年7月16日 - 「令和3年度第1回兵庫県私立学校審議会」にて当校の廃校および当校設置法人である準学校法人パルモア学院の解散の認可相当との答申を受ける[35]

関係者

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学院長

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理事長

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  • ジョン・B・カブ[43]
  • モース・サイトウ[42]
  • 新山尭夫[16] (パルモア病院と係争・卒業生)
  • 小西和雄[6] (閉校を決定・卒業生)

専門学校長

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  • 香西豊[42]
  • モース・サイトウ[42]
  • 新山あやこ[44][45](卒業生)
  • 内田州[30](閉校・元在校生[46]

理事

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評議員

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職員

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教師

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卒業生・在籍生

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卒業生

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在籍生

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姉妹校・関係機関

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脚注

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  1. ^ a b 準学校法人パルモア学院 - gBizINFO
  2. ^ あなたを輝かせる学校(尾崎八郎、月刊神戸っ子 2012年4月号)
  3. ^ 130年以上にわたって発展してきたランバスファミリー校 - 啓明学院
  4. ^ パルモア学院 - キリスト教学校教育同盟
  5. ^ a b 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 95-96頁
  6. ^ a b c d e 英語なら「パルモア」134年に幕 (朝日新聞、2020年12月22日 夕刊 10面)
  7. ^ a b c d 1886年創立 神戸・パルモア学院が閉校へ
  8. ^ a b c d e [1]関西学院事典 増補改訂版 「パルモア学院」
  9. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 5-6頁
  10. ^ 神戸栄光教会七十年史出版委員会『神戸栄光教会七十年史』(日本基督教団神戸栄光教会、1958年) 9-10頁
  11. ^ 神戸栄光教会七十年史出版委員会『神戸栄光教会七十年史』(日本基督教団神戸栄光教会、1958年) 11頁
  12. ^ パルモア学院の歴史
  13. ^ 学校法人啓明学院 創立の背景と歴史 青山学院大学ソーパー・プログラム
  14. ^ a b c 黒澤一晃「戦時下の英語教育神戸での-体験-」『日本英語教育史研究』第14巻、日本英語教育史学会、1999年、27頁、doi:10.11222/hisetjournal1986.14.0_15 
  15. ^ 朝日新聞神戸支局編「夜明けの人びと - 兵庫百年」(中外書房、1967年)91頁
  16. ^ a b c d e 石渡誠発 Language Teaching for a Better World 「パルモア学院 121年祭 1」
  17. ^ 石渡誠発 Language Teaching for a Better World 「パルモア学院 121年祭 3」
  18. ^ a b c 英語なら「パルモア」134年に幕 (朝日新聞、2020年12月22日 夕刊 10面)
  19. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 91頁
  20. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 96頁
  21. ^ パルモア病院移転問題 第2回説明会 [後編] 彦録" 安井俊彦BLOG 2010年3月4日
  22. ^ a b (医)財団パルモア病院 神戸市 東京経済ニュース 2013年11月1日
  23. ^ 新山尭夫「PALMORE REPORT」(パルモア学院 2015年)
  24. ^ 「プロジェクトX」にも登場 神戸・パルモア病院が民事再生申請 産経WEST 2013年10月31日
  25. ^ パルモア病院 病院概要・沿革 パルモア病院 病院紹介
  26. ^ 関西学院 - 長期戦略:テーマ「「総合学園」の枠組み再構築」
  27. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 81頁
  28. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 88頁
  29. ^ 法人概要
  30. ^ a b 学校概要
  31. ^ 兵庫県 - 学校(園)名の変更・男女共学化について
  32. ^ 準学校法人パルモア学院 - 全国法人情報データベース
  33. ^ 準学校法人パルモア学院 - 法人検索システム
  34. ^ 準学校法人パルモア学院 - 全国法人リスト
  35. ^ 令和3年度第1回兵庫県私立学校審議会開催結果 兵庫県私立学校審議会 2021年7月16日 2023年5月15日閲覧
  36. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 59頁
  37. ^ 宮崎明治 (1983). "オックスフォード". In 神戸新聞出版センター (ed.). 兵庫県大百科事典. pp. 410(上). ISBN 4-87521-100-7
  38. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 58・76・79頁
  39. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 80-81頁
  40. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 88-89頁
  41. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 58頁
  42. ^ a b c d e キリスト教学校教育同盟 加盟校動静
  43. ^ 大加茂巧 「石井卓爾の時代と英語教育」 (学校法人パルモア学院出版部 2012年3月) 89頁
  44. ^ 田辺眞人のまっこと!ラジオ ラジオレクチャー 人物事典:パルモア学院英語専門学校 校長 新山あやこさん
  45. ^ クリスチャン情報ブックweb
  46. ^ From Kobe to the World 第4回・5回・6回 ゲスト:内田州さん
  47. ^ a b c d 新山尭夫「PALMORE REPORT」60頁(パルモア学院 2015年)
  48. ^ a b Yoko Sawada - Linked in
  49. ^ 政尾藤吉伝補遺香川孝三、Journal of International Cooperation Studies, Vol.15, No.1(2007.7)
  50. ^ 創立記念礼拝 & Reunion2013(同窓会)
  51. ^ 2011年11月26日 パルモア学院125周年 記念音楽礼拝
  52. ^ 卒業生の声 後藤田輝雄さん
  53. ^ 卒業生の声 枇杷木賢生さん
  54. ^ 2012年10月6日 パルモア学院特別セミナー『Learn the American Way』
  55. ^ 卒業生の声 澤田洋子さん
  56. ^ ゆうかりに乾杯 第96回放送の概要
  57. ^ From Kobe to the World 第7回・8回・9回 ゲスト:藤原規代さん
  58. ^ BOOKSCANインタビュー 「国民一人ひとりの成熟化に繋がる情報発信を」
  59. ^ 関西学院事典 増補改訂版 「神戸栄光教会」

関連項目

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外部リンク

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