ファンダム
ファンダム(fandom)は、趣味・アニメ・漫画・小説・スポーツなどの分野の熱心なファンたち[1][2]、また熱心なファンによる世界[1]、彼らによって形成された文化である。fanとkingdomの造語[3]。
概要
[編集]サブカルチャーとしてのファンダムは、ファンが共通の主題に関心のある他者と共感し同志として意識を築く点、対象の微細な特徴にも目を配り、往々にしてSNSへの投稿などに時間と労力を惜しまず注ぐ点などでたんなるファンとの差別化ができる。対象となる関心のエリアは人類の文化のあらゆる側面であり、細分化は特定の著名人(セレブリティ)まで集約するか、ある趣味の領域すべて、対象のジャンル、またはファッション界ほど広くも把握される。
宮風耕治はロシアのSFファンダムについて、同人誌に視点を据えてまとめた文献を紹介している[注釈 1]。
ファンダム間にはしばしば重複が見られる。映画・漫画・アニメ・テレビ番組・コスプレなどファンダムの大型イベント(コンベンション)は催事として定着し、個人の作品の発表や交換から、関連商材の取引の場としても成功している。ジャンルを超えたファンダムに向けて開かれる恒例の大型コンベンションは、アメリカ開催のものからサンディエゴの国際コミコン(サンディエゴ・コミコン)、ワンダーコム、ドラゴン・コン、ニューヨーク・コミコンが挙げられる。2000年にシカゴで開かれた「ChiCon」ではSFファンダムが新しい時代を開こうとしている[5]。
熱心なファンは、自分が選んだファンダムの世界観とキャラクターに基づいたストーリーでファン・フィクション(二次創作)を書くことがある。
ファンダムに係わる負の要素は、執着と不健康または人間関係への悪影響をもたらすほど過剰に熱狂しているファンたちがいること、それぞれ興味のあるファンダムの世界の中でしか人間関係を築けないファンたちが多いことなどである[要出典]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ Халымбаджа И.Г. (Khalymbadzha I.G.)Фантастический самиздат Если. 1998. No.9. 仮題『素晴らしいサミズダート』2007年10月13日時点、[4]。
出典
[編集]参考文献
[編集]- 「第58回世界SF大会「ChiCon 2000」レポート」『SFマガジン』第41巻第13号、早川書房、2000年12月、4-7,8,201-208、doi:10.11501/4411372、全国書誌番号:00000563。
- 宮風耕治「1980年代ロシアSFファンダムの構造と変動」『共産圏の日常世界』北海道大学スラブ研究センター〈スラブ・ユーラシア研究報告集 (1)〉、2008年、73-95頁 。2021年7月31日閲覧。
関連資料
[編集]凡例 公開の制限。※1=国立国会図書館/図書館送信参加館内公開。※2=国立国会図書館内公開。
- 書籍
- 宮風耕治『ロシア・ファンタスチカ(SF)の旅』東洋書店〈ユーラシア・ブックレット ; no.90〉、2006年。全国書誌番号:21082437、ISBN 4-88595-617-X。
- エルナンデス・アルバロ「メキシコの日本アニメファンダム」谷川建司、王向華、須藤遙子、秋菊姫(編著)『コンテンツ化する東アジア : 大衆文化/メディア/アイデンティティ』青弓社、2012年。
- 「第50章 K-POPアイドルの誕生とファンダム ソテジの革命」石坂浩一、福島みのり(編著)『現代韓国を知るための60章』第2版、明石書店〈エリア・スタディーズ ; 6〉、2014年、245頁–。全国書誌番号:22483178、ISBN 978-4-7503-4082-1
- 柴野拓美「日本ファンダムの現況」『柴野拓美SF評論集 : 理性と自走性-黎明より』牧眞司(編)、東京創元社〈KEY LIBRARY〉、2014年。初出は早川書房『SFマガジン』第11巻第2号(1970年2月)、116-121頁。
- 須川亜紀子「オーディエンス、ファン論〈ファンダム〉」『アニメ研究入門 応用編』現代書館、2018年。全国書誌番号:23141067、ISBN 978-4-7684-5840-2。別題『Study of Animation アニメを究める11のコツ』
- 山村高淑、フィリップ・シートン(Seaton, Philip A. 編著・監訳)『コンテンツツーリズム : メディアを横断するコンテンツと越境するファンダム』北海道大学出版会、2021年。全国書誌番号:23528327、ISBN 978-4-8329-6867-7。原題『Contents Tourism and Pop Culture Fandom』 。
- 早川書房『SFマガジン』
- 「てれびっぷ・ファンダム・レポート」第3巻第12号、1962年11月、p10頁(コマ番号0006.jp2)。全国書誌番号:00000563、doi:10.11501/4410893※2。
- ロバート・ブロック「異色未来世界譚 人間の道 核戦争で荒廃に帰した地上の復興に立ちあがったのは熱烈なSFファンダムだった!」第8巻第4号、1967年4月、127-143頁(コマ番号0064.jp2)。全国書誌番号:00000563、doi:10.11501/4410948※2。
- 準星、安田均ほか「ファンダム・スポット」第19巻第12号–第21巻第6号(1978年11月–1980年6月)に不定期掲載※2。
- 安田均「ファンダムの黒幕、アメリカを乗っ取る!?」第25巻第5号、1984年5月。doi:10.11501/4411148※2。
- 牧眞司「アメリカSFファンダム風雲録」2-5頁(コマ番号0003.jp2-)第25巻第5号、1984年5月。全国書誌番号:00000563、doi:10.11501/4411148※2。
- その他の雑誌
- 紫野拓美「日本SFファンダム史」『SFの手帖』東京:恐怖文学セミナー、1965年、38頁(コマ番号0021.jp2)。全国書誌番号:65002359、doi:10.11501/1347347※1。
- 小鷹信光「特集 殺人芸術入門 アメリカのファンジン&ファンダム」『ミステリマガジン』第14巻第10号(通号162)、早川書房、1969年10月、33-41頁(コマ番号0017.jp2)。全国書誌番号:00022768、doi:10.11501/7931405※2。
- 巽孝之「コラム 世界の文学 SF ファンタジー&サイエンス・フィクション シアトル・ファンダムに会った日」『ユリイカ』第21巻第15号(通号288)、青土社、1989年12月、268-269頁(コマ番号0139.jp2)。ISSN 1342-5641、全国書誌番号:00023823、doi: 10.11501/7936193※2
- 赤田祐一「漫画ファンダムの源流 : 青柳誠(石ノ森章太郎FC)に聞く--(コミックマーケット創成期と同人誌)」『20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を創った雑誌たち』誠文堂新光社、2014年4月、176-177頁。
関連項目
[編集]- 界隈 - 日本でのファンダム。こちらは分野や文化を指すことが多い。
- サイエンス・フィクション
- おたく
- コミックマーケット