フィリドール・ディフェンス

フィリドール・ディフェンス
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
g8 black knight
h8 black rook
a7 black pawn
b7 black pawn
c7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
d6 black pawn
e5 black pawn
e4 white pawn
f3 white knight
a2 white pawn
b2 white pawn
c2 white pawn
d2 white pawn
f2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
b1 white knight
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

フィリドール・ディフェンス (Philidor Defence) は、チェスオープニングの1つ。非公式の世界チャンピオンだったフランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリドールが考案し研究したことから「フィリドール・ディフェンス」と名づけられた[1]。書籍等によっては、「フィルドール・ディフェンス」と表記されている場合もある。

右図は、その基本形となっている。基本形までの手順は1. e4 e5 2.Nf3 d6である[2]。黒の2手目の2.… d6で黒のキング側のビショップがe7にしか動けなくなるので、自ら攻撃せず白からの攻撃に対して反撃するオープニングであるといえる[1]。フィリドール自身は「自分が研究したオープニングを用いなくても勝てる」と豪語し、1度もこのオープニングを指したことはなかった[1]第二次世界大戦後のグランドマスターたちには殆ど指されなかったが[1]1970年代半ばにリバイバルしたことがある[3]

主な変化

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3.d4 Nd7 4.Bc4 c6 5.0-0 Be7 6.a4 Ngf6 7.Nc3 Qc7 8.Qe2 0-0 9.h3 h6[4]

この変化は形勢互角[5]

白の3手目では3.Bc4が他にあるくらいで、大抵3.d4と指す[6]。なおレガルのメイトは3.Bc4の変化である[7]。3.Bb5+?とチェックをかけるのは悪手[8]。3.… c6とポーンをビショップに当てられ白は1手損する[8]

黒の3手目では他に3.… Nf6がある[6]。3.… Nf6に対しては4.dxe5と4.Nc3の2つの応手があり[6]、4.dxe5なら4.… Nxe4 5.Nbd2 Nc5 6.Nc4 d5 7.Bg5 Qd7 8.Ne3 c6と進行する[6]。4.Nc3なら4.… Nbd7 5.Bc4 Be7 6.0-0 0-0 7.Qe2 c6と進行する[6]

4.… Be7?は5.dxe5 Nxe5 6.Nxe5 dxe5 7.Qh5で黒が不利[6]。この変化の途中で5.… dxe5??は6.Qd5で白の勝ち(黒はチェックメイトから逃げることが出来ない)[6]

4.… Ngf6は5.dxe5 Nxe5 6.Nxe5 dxe5 7.Bxf7+ Kxf7 8.Qxd8 Bb4+ 9.Qd2でポーンを1つ損する[6]。この変化の途中で5.… dxe5?とするのは6.Ng5!が好手[6]

4.… h6は5.dxe5 dxe5 6.Bxf7+! Kxf7 7.Nxe5+ Kf6 8.Qd4 c5 9.Nxd7+ Ke7 10.Qxc5+ Kxd7 11.Qb5+となり白はビショップを犠牲にした代償としてポーンを3つ取り、攻撃が続くので白有利[9]

5.Ng5とf7を狙っても5.… Nh6で失敗[5]

6.a4は6.… b5を防いだ手[5]

8.… Nb6は9.dxe5 dxe5 10.Bxf7+ Kxf7 11.a5 Nbd7 12.Qc4+ Ke8 13.Ng5で黒の形が悪くなる[5]

参考文献

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脚注・出典

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  1. ^ a b c d 『定跡と戦い方』、36頁。
  2. ^ 『定跡と戦い方』、35頁。
  3. ^ 『図解 早わかりチェス』、180頁。
  4. ^ 『定跡と戦い方』、36-38頁。
  5. ^ a b c d 『定跡と戦い方』、38頁。
  6. ^ a b c d e f g h i 『定跡と戦い方』、37頁。
  7. ^ 1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.Bc4 Bg4?! 4.Nc3 g6 5.Nxe5! Bxd1?? 6.Bxf7+ Ke7 7.Nd5#や1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.Bc4 Nc6 4.Nc3 Bg4?! 5.h3 Bh5? 6.Nxe5! Bxd1?? 7.Bxf7+ Ke7 8.Nd5#或いは1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.Bc4 Nc6 4.Nc3 Bg4?! 5.0-0 Nd4? 6.Nxe5! Bxd1?? 7.Bxf7+ Ke7 8.Nd5#等の手順があるがいずれも「レガルのメイト」と呼ばれる。
  8. ^ a b 『やさしい実戦集』、198頁。
  9. ^ 『定跡と戦い方』、37-38頁。
  10. ^ ISBNコードは新装版のもの。