フィンランドの大統領
フィンランド共和国 大統領 Suomen tasavallan presidentti Republiken Finlands president | |
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大統領旗 | |
庁舎 | 大統領官邸 |
官舎 | メンティニエミ クルタランタ(夏季別荘) |
任命 | 直接選挙 |
任期 | 6年(3選禁止) |
根拠法令 | フィンランド基本法 |
創設 | 1919年7月27日 |
初代 | カールロ・ユホ・ストールベリ |
職務代行者 | 首相 (ペッテリ・オルポ) |
俸給 | 年額126,000ユーロ |
ウェブサイト | www |
フィンランドの大統領(フィンランドのだいとうりょう、フィンランド語: Suomen tasavallan presidentti, スウェーデン語: Republiken Finlands president)は、フィンランドの国家元首たる大統領である[1]。
概要
[編集]大統領は内閣(国家評議会)とともに行政権を行使する[2]。フィンランド内戦後の1919年に新たな憲法(基本法群)が定められ、大統領職が設置された[1]。1980年代以降は、大統領の権限が縮小され、議院内閣制への移行が図られた[1]。2000年及び2012年の憲法改正(フィンランド基本法制定)によって議院内閣制への移行が決定的なものとなり、現在では大統領の権限は形式上のものに制限されている[3]
大統領は国民の直接選挙によって選出され、1回目の投票で過半数の票を得る候補者がいない場合、上位2名による決選投票が行われる(二回投票制)[4]。候補者は18歳以上[5]の、生来のフィンランド国民に限られ[4]、国会に議席を有する政党もしくは2万人以上の有権者団体の推薦が必要[4]。任期は6年間で1回のみ再選可能[4]。国会議員との兼職はできない[6]。非常時の代理が必要な場合については、首相が行う[7]。
大統領は、エドゥスクンタ(議会)で選出された首相を任命する[8]。また、首相の指名に基づき大臣の任命を行う[8]。国家公務員や外交官の任命権も大統領の職責である[9]。
このほかいくつかの布告権を持ち、法の承認と特命議会の招集を行うことができる。また、議会が可決した法案に対して拒否権を有しているが、議会はこの決定を覆すことができる。
外交については形式上は大統領が行う[10]とされるが、実質的には首相及び内閣が行う[11]。また、大統領はフィンランド国防軍の最高司令官であり、士官の形式上の任免権を有するが[12]、これも形式的なものである。軍の動員については、内閣の提案により大統領が行う[13]。
大統領の一覧
[編集]代 | 大統領 | 所属政党 | 期 | 在任期間 | 備考 | ||
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1 | カールロ・ユホ・ストールベリ Kaarlo Juho Ståhlberg | 国民進歩党 | 1 | 1919年7月27日 - 1925年3月2日 | 5年 + 218日 | ||
2 | ラウリ・クリスティアン・レランデル Lauri Kristian Relander | 農民同盟 | 2 | 1925年3月2日 - 1931年3月2日 | 6年 + 0日 | ||
3 | ペール・スヴィンフヴュー Pehr Evind Svinhufvud | 国民連合党 | 3 | 1931年3月2日 - 1937年3月1日 | 5年 + 364日 | ||
4 | キュオスティ・カッリオ Kyösti Kallio | 農民同盟 | 4 | 1937年3月1日 - 1940年12月19日 | 3年 + 293日 | 在任中に死去 | |
5 | リスト・リュティ Risto Heikki Ryti | 国民進歩党 | 5 | 1940年12月19日 - 1943年 | 3年 + 229日 | ||
6 | 1943年 - 1944年8月4日 | 任期満了前に辞任 | |||||
6 | カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム Carl Gustaf Emil Mannerheim | 無所属 (軍人) | 7 | 1944年8月4日 - 1946年3月8日 | 1年 + 216日 | 任期満了前に辞任 | |
7 | ユホ・クスティ・パーシキヴィ Juho Kusti Paasikivi | 国民連合党 | 8 | 1946年3月8日 - 1950年3月1日 | 9年 + 359日 | ||
9 | 1950年3月2日 - 1956年3月1日 | ||||||
8 | ウルホ・ケッコネン Urho Kaleva Kekkonen | 農民同盟 | 10 | 1956年3月2日 - 1962年3月1日 | 25年 + 331日 | ||
11 | 1962年3月1日 - 1965年 | ||||||
中央党 | 1965年 - 1968年3月1日 | 党名変更 | |||||
12 | 1968年3月1日 - 1978年3月1日 | 任期を4年延長 | |||||
13 | 1978年3月1日 - 1982年1月27日 | 任期満了前に辞任 | |||||
9 | マウノ・コイヴィスト Mauno Henrik Koivisto | フィンランド社会民主党 | 14 | 1982年1月27日 - 1988年3月1日 | 12年 + 33日 | ||
15 | 1988年3月1日 - 1994年3月1日 | ||||||
10 | マルッティ・アハティサーリ Martti Oiva Kalevi Ahtisaari | フィンランド社会民主党 | 16 | 1994年3月1日 - 2000年3月1日 | 6年 + 0日 | ||
11 | タルヤ・ハロネン Tarja Kaarina Halonen | フィンランド社会民主党 | 17 | 2000年3月1日 - 2006年3月1日 | 12年 + 0日 | ||
18 | 2006年3月1日 - 2012年3月1日 | ||||||
12 | サウリ・ニーニスト Sauli Väinämö Niinistö | 国民連合党 | 19 | 2012年3月1日 - 2018年3月1日 | 12年 + 0日 | ||
20 | 2018年3月1日 - 2024年3月1日 | ||||||
13 | アレクサンデル・ストゥブ Cai-Göran Alexander Stubb | 国民連合党 | 21 | 2024年3月1日 - (現職) | 302日 |
関連項目
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “各国憲法集9 フィンランド憲法”. 国立国会図書館調査及び立法考査局 (2015年3月). 2017年6月25日閲覧。
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第3条
- ^ 山崎博久 2020, p. 40-43.
- ^ a b c d 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第54条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第14条及び第27条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第27条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第59条
- ^ a b 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第61条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第126条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第93条
- ^ 山崎博久 2020, p. 42-43.
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第128条
- ^ 2000年フィンランド基本法(2011年最終改正) 第129条
参考文献
[編集]- 山崎博久「半大統領制から議院内閣制へ : フィンランドの経験から」『高岡法学』第38巻、高岡法科大学法学会、2020年、1-50頁、doi:10.24703/takahogaku.38.0_1、ISSN 0915-9339、CRID 1390848250107389952。