ブラック・フォン
ブラック・フォン | |
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The Black Phone | |
監督 | スコット・デリクソン |
脚本 | スコット・デリクソン C・ロバート・カーギル |
原作 | ジョー・ヒル 『黒電話』 |
製作 | ジェイソン・ブラム スコット・デリクソン C・ロバート・カーギル |
製作総指揮 | ジョー・ヒル ライアン・トゥレク クリストファー・H・ワーナー |
出演者 | イーサン・ホーク |
音楽 | マーク・コーヴェン |
撮影 | ブレット・ユトキーヴィッチ |
編集 | フレデリック・トラヴァル |
製作会社 | ブラムハウス・プロダクションズ |
配給 | ユニバーサル・ピクチャーズ 東宝東和 |
公開 | 2021年9月25日(ファンタスティック映画祭)[1] 2022年6月24日[2] 2022年7月1日[3] |
上映時間 | 107分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $18,800,000[4] |
興行収入 | $90,123,230[5] $161,448,677[5] 7300万円[6] |
次作 | The Black Phone 2 |
『ブラック・フォン』(The Black Phone)は、2022年のアメリカ合衆国のサイコスリラー映画。スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒル原作の短編ホラー小説「黒電話」の映画化。監督はスコット・デリクソン、主演はイーサン・ホーク[7]とメイソン・テムズ[8]など。
ストーリー
[編集]1978年。コロラド州デンバー郊外に住むフィニーは気弱な少年で、家庭では高圧的な父親に怯え、学校では、いじめグループの標的にされていた。フィニーの町では、“グラバー”と呼ばれる謎の犯人による、少年の連続誘拐事件が続いていた。
フィニーの妹グウェンは、亡き母親譲りの予知夢を見る能力があり、誘拐現場を描写して刑事たちを驚かせた。しかし、父親は超能力を頭から否定し、夢の話をすると折檻されるのがグウェンの悩みだった。
手品師を名乗る“グラバー”に拐われ、地下室に監禁されるフィニー。その部屋には断線した黒電話とマットレスしか無かった。繋がらないのに鳴る黒電話。かけて来たのは、この部屋で殺された少年たちの霊だった。各々、自分が試した脱出方法を伝える少年たち。
妹のグウェンは予知夢によって、フィニーの監禁場所を探していた。殺された少年たちの手を借りて、“グラバー”の家を探し出すグウェン。パトカーも集まる中、“グラバー”を倒したフィニーが現れた。
キャスト
[編集]※括弧内は日本語吹替。
- フィニー・ブレイク: メイソン・テムズ(ニケライ・ファラナーゼ) - 主人公。少年野球のピッチャーで、自作ロケットの打ち上げが趣味。
- グウェンドリン・ブレイク: マデリーン・マックグロウ(工藤夕希) - フィニーの妹。予知夢を見ることができる。愛称はグウェン、グウェニー。
- テレンス・ブレイク: ジェレミー・デイヴィス(あべそういち) - フィニーとグウェンの父親。核施設のロッキーフラッツに勤務している。
- グラバー: イーサン・ホーク(咲野俊介) - 誘拐犯。原作での本名はアルバート。
- マックス: ジェームズ・ランソン(伊丸岡篤) - グラバーの弟。
- ライト刑事: E・ロジャー・ミッチェル(片山公輔) - 誘拐事件を捜査している。
- ミラー刑事: トロイ・ルードシール(石川貴大) - ライトの相棒。
- ロビン・アレラーノ: ミゲル・カサレス・モーラ(内藤有海) - フィニーの親友。ケンカが強い。
- ブルース・ヤマダ: トリスタン・プラヴォン(篠田渚王也) - 少年野球の選手。
- ヴァンス・ホッパー: ブレイディ・ヘプナー(植田恭司) - ブロンドパーマの不良少年。
- ビリー・ショーウォルター: ジェイコブ・モーラン(蝦名彩香) - 新聞配達の少年。
- グリフィン・スタッグ: バンクス・レペッタ(飯野美紗子) - グラバーの犠牲者の一人。
- ムース: ジェイコブ・ゲイヴン・ワイルド(木村太飛) - ロビンとケンカをする少年。
- ドナ: レベッカ・クラーク(井田愛里紗) - フィニーが片思いしている少女。
- マット: ブレイディ・M・ライアン(大平あひる) - マッティ、パズとともにフィニーをいじめる少年。
- マッティ: ジョーダン・アイザイア・ホワイト(池田朋子)
- バズ: スペンサー・フィッツジェラルド(戸張琴子)
作中作
[編集]本作の舞台となる1978年までに製作された映像作品が、作中作として登場している。
- ハッピーデイズ - 登場人物のリッチーとフォンジー、ポッツィーについて言及されている。
- パートリッジ・ファミリー - 主演俳優の一人であるダニー・ボナデュースについて言及されている。
- 悪魔のいけにえ - 1974年のホラー映画。
- 燃えよドラゴン - 1973年のカンフー映画。
- ティングラー 背すじに潜む恐怖 - 1974年のホラー映画。
- デイビーとゴリアテ - 1961年から1975年まで放映されたクレイアニメ。
- エマージェンシー! - 1972年から1978年まで放映されたテレビドラマ。
原作
[編集]ジョー・ヒルの原作短編『黒電話』は、2004年に英国のホラー雑誌であるサード・オルタナティブ誌に掲載され、その後、2005年に彼の短編集『20世紀の幽霊たち』[9][10]に収録され、イギリスの出版社より発刊された。この短編集は3種類[注 1]の形態の限定版として発売された。その後、2007年にアメリカの出版社より、普及版[注 2]のハードカバーも発売されている。 日本語訳は2008年に小学館より発刊。
本短編は、必要以上に長くしたくないというヒルの意向で、雑誌掲載時に最終章の数ページが削除されている。この削除部分は『黒電話[削除部分]』として、200部限定のハードカバー版にボーナス・マテリアル[注 3]として収録された。日本語訳版にもこの削除部分は収録[注 4]されている。
また、収録作品についてのノートのなかで、この短編がSF作家のジャック・フィニイと関連があることを挙げている。
相違点
[編集]原作の舞台はイリノイ州ゲイルズバーグで、誘拐犯は“ゲイルズバーグの人さらい”[注 5]と呼ばれている。犯人の本名はアルバートで、外見は肥満体の男となっている。また、主人公はジョン・フィニイという名前の13歳の少年で、両親ともに健在。妹のグウェンは登場せず、替わりに3歳年上のスザンナという名の姉が登場する。物語は主人公が誘拐される場面から始まり、学校内などでの描写はない。主人公が断線した電話で通話をするのは、原作ではブルース・ヤマダのみであるなどの違いがある。
原作の物語は、地下室内の描写と主人公の回想や想像のみで展開し、事件を捜査する刑事などは登場しない。ただし、映画版での主人公と誘拐犯のやり取りは、原作の会話の内容を、ほぼそのまま踏襲している。
削除部分
[編集]雑誌掲載されなかった削除部分では、3年後、16歳になった主人公が描かれる。彼が携帯電話を持つことから、原作の時代背景は、携帯電話の普及後である1990年代以降であることが分かる。
また、誘拐犯のフルネームがアルバート・クロスで、パーティー用品店の副支配人であったことなども明らかとなる。
評価
[編集]Rotten Tomatoesによれば、255件の評論のうち高評価は83%にあたる211件で、平均点は10点満点中7.1点、批評家の一致した見解は「『ブラック・フォン』はもっと怖くできたかもしれないが、恐ろしいほど優れた原作を、いい演技でおもしろく映画化したものであることに変わりはない。」となっている[11]。 Metacriticによれば、38件の評論のうち、高評価は23件、賛否混在は12件、低評価は3件で、平均点は100点満点中65点となっている[12]。
続編
[編集]2023年4月のシネマコンで、ジェイソン・ブラムは本作をブラムハウス・プロダクションズのフランチャイズの1つとし、続編の計画を発表した[13]。2023年10月、続編はユニバーサル・ピクチャーズ配給で、2025年6月27日に公開予定だと報じられた[14]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 200部限定のスリーブケース付きサイン入りハードカバー、500部限定のサイン入りハードカバー、1,000部限定のペーパーバック。
- ^ 収録作は1,000部限定ペーパーバック版に準ずるが、新たに『ボビー・コンロイ、死者の国より帰る』(Bobby Conroy Comes Back from the Dead)を追加収録。
- ^ 短編『救われしもの』(The Saved)、解説『収録作品についてのノート』(Story Notes)も同じくボーナス・マテリアル。
- ^ ほかの2つのボーナスマ・テリアルと普及版に追加の『ボビー・コンロイ、死者の国より帰る』も収録。
- ^ 英語原書では、映画と同じ"Grabber"。
出典
[編集]- ^ “The Black Phone - Release info” (英語). IMDb. 2023年2月1日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (December 16, 2021). “Blumhouse's The Black Phone Will Now Ring In The Summer” (英語). Deadline Hollywood December 17, 2021閲覧。
- ^ “連続誘拐犯から逃れる術は死者からの電話&予知夢 イーサン・ホーク×ブラムハウス「ブラック・フォン」7月1日公開”. 映画.com. (2022年3月31日) 2022年6月4日閲覧。
- ^ Callison, Jenny (March 11, 2021). “WilmingtonBiz Talk: Bustling Film Industry Activity Continues” (英語). WilmingtonBiz. オリジナルのMarch 19, 2021時点におけるアーカイブ。 March 19, 2021閲覧. "Static will likely spend about $18.8 million in North Carolina"
- ^ a b “The Black Phone” (英語). The Numbers. 2023年2月1日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2023年3月下旬特別号 p.35
- ^ “イーサン・ホークが不気味な仮面男に!ブラムハウス製作『ブラック・フォン』7月公開”. cinemacafe.net. (2022年3月31日) 2022年6月4日閲覧。
- ^ “『ブラック・フォン』で主演、注目の子役2名はマーベル映画が大好き”. THE RIVER. (2022年6月29日)
- ^ ジョー・ヒル『20世紀の幽霊たち』小学館、2008年9月5日。
- ^ Joe Hill (2005). 20th Century Ghosts. PS Publishing
- ^ "The Black Phone". Rotten Tomatoes (英語). 2023年2月1日閲覧。
- ^ "The Black Phone" (英語). Metacritic. 2023年2月1日閲覧。
- ^ “Blumhouse Confirms Their Next Big Horror Franchises” (英語). Horror. 2023年11月1日閲覧。
- ^ Moreau, Jordan (2023年10月27日). “‘The Black Phone 2’ Ringing in Summer 2025 From Universal and Blumhouse” (英語). Variety. 2023年11月1日閲覧。