ヘビイチゴ

ヘビイチゴ
ヘビイチゴの果実
ヘビイチゴの果実
(東京都町田市・2006年5月)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: キジムシロ属 Potentilla
: ヘビイチゴ P. hebiichigo
学名
Potentilla hebiichigo Yonek. et H.Ohashi (2008)[1]
シノニム
和名
ヘビイチゴ(蛇苺)
品種

ヘビイチゴ(蛇苺[5]学名: Potentilla hebiichigo Yonek. et H.Ohashi)は、バラ科キジムシロ属分類される多年草の1和名語源については実が食用にならずヘビが食べるイチゴ[6]、ヘビがいそうな所に生育する[7][8]、イチゴを食べに来る小動物をヘビが狙うことからなど諸説がある。があるという俗説があり、ドクイチゴとも呼ばれるが、無毒。以前はヘビイチゴ属に分類されDuchesnea chrysanthaと呼ばれていた。ヘビイチゴは人間が食べても体に害はない。

特徴

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畦道や野原などの湿った草地に自生し、群生していることが多い[8]アジア南東部と日本全土に広く分布する[6][7]

多年生の草本[5]は短く、を根出状につけるが、よく匍匐茎を伸ばして地面を這って広がる[5]。匍匐茎が地面に触れたところからを出して、そこから長い柄のある葉が伸び出る[5]。葉は三出複葉[9]菱形に近い楕円形小葉は、上半分に細かい鋸歯がある[5]

花期は春から初夏にかけて(4 - 6月)[6][7]。葉のわきから顔を出すように黄色いを付ける[5]。花は直径1.5センチメートル (cm) ほどで、花弁の数は5枚ですべて上向きに咲く[5][10]

花後に光沢のない花床(花托という)が薄紅色の球状に膨らんで[6]、その上に皺の多い小さな果実痩果)が多数つき[5][6]、イチゴに多少似たものがなる。このようなつくりをイチゴ状果とよび、偽果ともいう[8]。毒は含まれないので食用可能だが、スポンジ状のぼそぼそとした食感で、あまり味が無いため食用(特に生食)には好まれない[5][6][7][11]

よく似たヤブヘビイチゴが混生するが、花床に強い光沢があるので、ヘビイチゴと容易に見分けがつく[5]

利用

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ヘビイチゴの果実はジャムに加工可能。全草や果実を乾燥させたものは生薬として利用される。赤く熟した果実を集めて容器に入れ、ホワイトリカーなど度数の強い焼酎に漬けこんで1か月ほど置き、布袋で果実をつぶしながら液体だけを集める[5]。これを痛み、かゆみ、虫刺され、腫れ物、やけどなどに塗って外用薬にする[5]

分類

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2003年に示された遺伝的証拠は、ヘビイチゴ属 (Duchesnea) はキジムシロ属 (Potentilla) に含めたほうがよいことを示している。[12]

品種

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  • ヘビイチゴ Potentilla hebiichigo f. hebiichigo
  • シロミノヘビイチゴ Potentilla hebiichigo f. leucocephala (Makino) Yonek. et H.Ohashi

雑種

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ヘビイチゴとヤブヘビイチゴとの交雑種はアイノコヘビイチゴPotentilla × harakurosawae(Naruh. & M. Sugim.)H. Ohashi )と呼ばれる。ヘビイチゴは染色体数が14本の2倍体(2n = 2x = 14)であり、染色体数が84本の12倍体(2n = 12x = 84)であるヤブヘビイチゴとの雑種には、7倍体(2n = 7x = 49)あるいは8倍体(2n = 8x = 56)のものがある[13]。7倍体雑種は両種の中間的な形質を示し、偽果痩果もできない[14]

近縁種

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ヤブヘビイチゴ Potentilla indica (Andrews) Th.Wolf
ヘビイチゴに比べ、葉の色が濃い。果実に光沢がある。花の副萼片が花弁と同じくらい長い[5]
オヘビイチゴ Potentilla anemonifolia Lehm.
葉は5小葉からなる。花はヘビイチゴに似ているが、イチゴ状の果実をつくらない。
ヒメヘビイチゴ Potentilla centigrana Maxim.
ノウゴウイチゴ Fragaria iinumae Makino
オランダイチゴ属高山植物。葉は3小葉からなり、花は白く、径 8mm程の果実をつくる。

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Potentilla hebiichigo Yonek. et H.Ohashi ヘビイチゴ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月11日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Duchesnea chrysantha (Zoll. et Moritzi) Miq. ヘビイチゴ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月11日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Duchesnea indica (Andrews) Focke var. leucocephala Makino f. japonica (Kitam.) M.Mizush. ヘビイチゴ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月11日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Duchesnea formosana Odash. ヘビイチゴ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月11日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 川原勝正 2015, p. 103.
  6. ^ a b c d e f 日本の野草 (2009)、398-399頁
  7. ^ a b c d 季節の野草・山草図鑑(2005)、128頁
  8. ^ a b c 亀田龍吉 2019, p. 28.
  9. ^ 久志博信『「山野草の名前」1000がよくわかる図鑑』主婦と生活社、2010年、20ページ、ISBN 978-4-391-13849-8
  10. ^ 亀田龍吉 2019, p. 29.
  11. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0  p.166
  12. ^ Torsten Eriksson, Malin S. Hibbs, Anne D. Yoder, Charles F. Delwiche, and Michael J. Donoghue (2003). “The Phylogeny of Rosoideae (Rosaceae) Based on Sequences of the Internal Transcribed Spacers (ITS) of Nuclear Ribosomal DNA and the trnL/F Region of Chloroplast DNA”. Int. J Plant Sci. 164 (2): 197–211. doi:10.1086/346163. 
  13. ^ Naruhashi, N.; Iwatsubo, Y. (1991). “Cytotaxonomic study on two putative hybrids in the genus Duchesnea (Rosaceae)”. J. Plant Res. 104 (2): 137-143. doi:10.1007/BF02493254. 
  14. ^ uotak. “ヘビイチゴ Duchesnea chrysantha バラ科 Rosaceae ヘビイチゴ属”. 三河の野草. 2012年8月9日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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