ヘルベルト・アイメルト

ヘルベルト・アイメルトHerbert Eimert1897年4月8日 - 1972年12月15日)は、ドイツ作曲家音楽学者ジャーナリスト電子音楽現代音楽の理論的発展に大きな影響を及ぼした。語りと電子的に変換された音声による『久保山愛吉の墓碑銘』で世界的に知られている。

教育

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ヘルベルト・アイメルトはバート・クロイツナハに生まれた。1919年から1924年までケルン音楽院で音楽理論と作曲をヘルマン・アーベントロート、フランツ・ベルシェ (de:Franz Bölsche、アウグスト・フォン・オテグラーフェン (August von Othegravenに学んだ。1924年、学生時代のアイメルトは『無調音楽論』を著し、また期末試験のコンサートのために十二音技法で書かれた弦楽四重奏曲を作曲したが、このことが原因でベルシェと口論になった。ベルシェはその四重奏曲をプログラムから除き、アイメルトを彼の作曲のクラスから追い出した[1]

1924年からアイメルトはケルン大学で音楽学をエルネスト・ビュッケン (Ernst Bücken、ヴィリ・カール (Willi Kahl、ゲオルク・キンスキー (Georg Kinskyに、哲学をマックス・シェーラーニコライ・ハルトマンに学び、1931年に学位論文『17世紀および18世紀の音楽の形式構造』によって博士の学位を取得した。

経歴

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1927年から1933年までケルン・ラジオ局で働き、また『メロス』、『新音楽時報』などの音楽雑誌のために記事を書いた。1930年から『ケルン市アンツァイガー』の音楽批評家、1935年から1945年まで『ケルン新聞』の編集者をつとめた。

1945年、イギリス占領軍によって管理されるケルン・ラジオ局(北西ドイツ放送(NWDR)、1955年からは西部ドイツ放送(WDR)に改組)の最初の従業員として雇用された。1947年に北西ドイツ放送の文化報道部門の担当になった。1948年には『音楽の深夜番組』を開始し、1965年まで同番組のディレクターをつとめた[2]

1950年、『十二音技法の教科書』を出版した。この書物はシェーンベルク派十二音技法の入門書で、イタリア語・スペイン語・マジャル語に翻訳された。

1951年、アイメルトはヴェルナー・マイヤー=エプラー英語版とともに北西ドイツ放送のディレクターであるハンス・ハルトマンにかけあってケルン電子音楽スタジオを設立した。アイメルトは1962年までスタジオの所長だった。1953年にアイメルトはカールハインツ・シュトックハウゼンをスタジオに招いた[3]。1963年以降シュトックハウゼンはアイメルトの後継のディレクターになった[1]

ケルンのスタジオは1950年代から1960年代にかけて世界でもっとも影響の強い電子音楽スタジオであり、ここで作業した人々にはシュトックハウゼンのほかにミヒャエル・フォン・ビール、コンラート・ベーマー、ヘルベルト・ブリュン、ジャン=クロード・エロワエトヴェシュ・ペーテルフランコ・エヴァンジェリスティリュック・フェラーリヨハネス・フリッチュ、ロルフ・ゲールハール、カレル・フイヴァールツ、ヘルマン・ハイス、ヨーク・ヘラー石井眞木、デイヴィッド・ジョンソン、マウリシオ・カーゲルゴットフリート・ミヒャエル・ケーニヒ、ペトル・コティク、ヴォジミエシュ・コトンスキ、エルンスト・クルシェネク、ラディスラフ・クプコヴィチ、ジェルジ・リゲティメシアス・マイグアシュカ、ボー・ニルソン、アンリ・プッスール、ロジャー・スモーリー、ディミトリー・テルツァキスヤニス・クセナキスベルント・アロイス・ツィンマーマンらがあった[4]コーネリアス・カーデューも1958年からここで働いた[5]

1951年から1957年まで、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会の講師をつとめた。

1955年から1962年にかけて、アイメルトはシュトックハウゼンと共同で現代音楽の雑誌『ディー・ライエ  (Die Reihe』を編集した。

1964年に『セリー音楽技法の基礎』を出版した。

1965年にケルン音楽大学の教授に就任し、1971年まで同大学の電子音楽スタジオの所長をつとめた[2]。アイメルトは後継の所長であるハンス・ウルリッヒ・フンパート (de:Hans Ulrich Humpertとともに『電子音楽辞典』の編纂にあたったが、原稿の完成を目前にして、1972年12月15日、デュッセルドルフ[1]あるいはケルン[2]で没した。『電子音楽辞典』は1973年にbosse musik paperbackから出版された[6]

主な楽曲

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  • 弦楽四重奏曲 (1923-25)
  • サクソフォーン、フルートおよび専用の騒音楽器による『白鳥』 (1926)
  • 5台の楽器のための室内協奏曲 (1926)
  • 室内オーケストラのための組曲 (1929)
  • ヴァイオリンとチェロのための音楽 (1931)
  • 弦楽四重奏曲第2番 (1939)
  • ピアノのための変奏曲 (1943)
  • ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロのための三重奏曲 (1944)
  • 管楽器のための音楽 (1947)
  • 4つの小品(ロベルト・バイアーと合作)(1953)
  • 電子音楽『構造8』 (1953)
  • 電子音楽『グロッケンシュピール』(1954)
  • 電子音楽『音の混合』(1954)
  • 電子音楽『5つの小品』(1956)
  • 『イーゴリ・ストラヴィンスキーを讃えて』(1957)
  • 『選択1』(1960)
  • 語りと電子的に変換された音声による『久保山愛吉の墓碑銘』(1962)
  • 電子音楽『6つの小品』(1962)

主な著書

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  • 1924. Atonale Musiklehre. Leipzig: Verlag von Breitkopf & Härtel. (無調音楽論)
  • 1932. Musikalische Formstrukturen im 17. und 18. Jahrhundert; Versuch einer Formbeschreibung. Augsburg: B. Filser. (17世紀および18世紀の音楽の形式構造)
  • 1950. Lehrbuch der Zwöfltontechnik. Wiesbaden: Breitkopf & Härtel. (十二音技法教本)
  • 1964. Grundlagen der musikalischen Reihentechnik. Bücher der Reihe. Wien: Universal Edition. (セリー音楽技法の基礎)
  • 1973. Lexikon der elektronischen Musik. Regensburg: Bosse.(電子音楽辞典、ハンス・ウルリッヒ・フンパートと共著。没後出版)

脚注

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注釈

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出典 

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  1. ^ a b c Anon. n.d.
  2. ^ a b c Wilson 2001.
  3. ^ 高橋智子, ケルン電子音楽スタジオ, アートスケープ, https://artscape.jp/artword/index.php/%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%B3%E9%9B%BB%E5%AD%90%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA 
  4. ^ Morawska-Büngeler 1988, pp. 103–108.
  5. ^ Custodis 2004, pp. 110 n244.
  6. ^ Herbert Eimert und Hans Ulrich Humpert. “[https://web.archive.org/web/20231120071124/https://m.media-amazon.com/images/I/51XQ7Yxm2OL._AC_UF1000,1000_QL80_.jpg   『電子音楽辞典』]”. m.media-amazon.com. m.media-amazon.com. 2023年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月20日閲覧。

参考文献

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  • Anon. n.d. "Herbert Eimert: * 8. April 1897 † 15. Dezember 1972". Elektropolis website. (Accessed 29 October 2010.)
  • Custodis, Michael. 2004. Die soziale Isolation der neuen Musik: Zum Kölner Musikleben nach 1945. Supplement to Archiv für Musikwissenschaft 54. Stuttgart: Franz Steiner Verlag. ISBN 3-515-08375-8.
  • Morawska-Büngeler, Marietta. 1988. Schwingende Elektronen: Eine Dokumentation über das Studio für Elektronische Musik des Westdeutschen Rundfunk in Köln 1951–1986. Cologne-Rodenkirchen: P. J. Tonger Musikverlag.
  • Wilson, Charles. 2001. "Eimert, Herbert". The New Grove Dictionary of Music and Musicians, second edition, edited by Stanley Sadie and John Tyrrell. London: Macmillan Publishers.