マクスウェルの関係式(マクスウェルのかんけいしき、英: Maxwell relations)とは、熱力学における温度、圧力、エントロピー、体積という4つの状態量の間に成り立つ関係式[1]。ジェームズ・クラーク・マクスウェルによって導出された。これらの関係式によって、測定が困難なエントロピーの変化量を、圧力、温度、体積の変化という、測定がより簡単な量で置き換えることができる[2] 。
化学ポテンシャルを無視するものとして、次の4つの関係式が成立する。
これをマクスウェルの関係式と呼ぶ。
ここで、P :圧力、V :体積、T :温度、S :エントロピーである。
ヤコビアンを用いると、これら4式をまとめて
と表すことができる[3]。
マクスウェルの関係式は、内部エネルギー U、ヘルムホルツエネルギー F、ギブズエネルギー G、エンタルピー H の4つの熱力学ポテンシャルにおいて、2階偏導関数が連続で偏微分の順序が交換できるとすれば導かれる。実際、内部エネルギーに対する偏微分
において、関係式
に注意すれば、第一式を得る。他の三つの導出についても同様である。
- ^ P. A. Atkins; J. de Paula 著、千原秀昭、中村亘男 訳『物理化学(上)』(8版)東京化学同人、2009年、105–106頁。ISBN 9784807906956。
- ^ 和達三樹; 十河清; 出口哲生『ゼロからの熱力学と統計力学』岩波書店、2005年、77頁。ISBN 4-00-006700-1。
- ^ 夏目雄平『やさしい化学物理』朝倉書店、2010年、46頁。ISBN 978-4-254-14083-5。