ヤツワクガビル
ヤツワクガビル | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
採集した個体(60cm水槽にて) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Orobdella octonaria Oka, 1895[1] |
ヤツワクガビル Orobdella octonaria Oka は、ヒルの1種。和名は八輪陸蛭の意であり、陸生で後述の様に1つの体節が8つの体環に分かたれていることに由来する。大型で30センチメートルにも達し、ミミズを丸のみして捕食する。
特徴
[編集]体はやや扁平な円柱形をなし、後端近くが特に平らになっている[2]。長さは100ミリメートル程度だが、300ミリメートルに達する例がある。前吸盤は大きく、その長さは第6体環までを占めている。口はとても幅広くなっている。他の分類群のヒルで体液を吸うのに用いられる顎と牙は欠いている。後吸盤は小さく、完全に退化する個体もある。肛門は後吸盤の背面側、最後の体環よりほんの少しだけ後ろに開く。
体環の幅はすべて同じようで、1つの体節には8つの体環がある。眼は1対、体の背面最前端、第2体環上の両側にある。
体色は背面中央が濃緑色で、両縁沿いが黄色、また腹面は全体に橙黄色をしている。
- やや伸びた状態
- 丸まった状態
- 体の前端
分布
[編集]本州、四国、九州に分布する[3]。
習性など
[編集]湿った場所に住み、ミミズを捕食する[3]。大きなミミズでも丸飲みにし[4]、特に本種とほぼ同大になる大型のミミズであるシーボルトミミズを丸飲みにするのが目撃されている[5]。動きはとても速い[6]。
また北海道では同じクガビル科のカワカツクガビルがミミズではなく外来種のマダラコウラナメクジを捕食する例が確認されている。[7]
利害
[編集]実質的な利害は何もない。大きさと色などの点でしばしば強く気味悪がられる。梅谷編(1994)では、「雨の山道でこのヒルを見かけ、ゾッとした経験を持つ人も少なくないであろう」と記されている[4]。
ただし、和歌山県の話では滅多に見つからないと記されている一方、トンネル工事現場でセメントにやられたらしいこのヒルが複数見つかり、見つかりにくいが意外に数多いかもしれないとも記されている[6]。
出典
[編集]- ^ Nakano, Takafumi (2012). “Redescription of Orobdella octonaria (Hirudinida: Arhynchobdellida: Orobdellidae) with designation of a lectotype”. Species diversity 17 (2): 227-233. NAID 110009561664.
- ^ 以下、主として岡田他(1969),p.575
- ^ a b 岡田他(1969),p.575
- ^ a b 梅谷編(1994),p.258
- ^ 渡辺(2003),p.29
- ^ a b 南紀生物同好会編(1979),p.132
- ^ 森井悠太 (2018年6月13日). “ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合 | academist Journal”. 2021年9月25日閲覧。
参考文献
[編集]- 岡田要他、『新日本動物圖鑑 〔上〕』第二版(訂)、(1969)、北隆館
- 渡辺浩之、『ミミズ 嫌われものの はたらきもの』、(2003)、東海大学出版会
- 梅谷献二、『原色図鑑 野外の害虫と不快な虫』、(1994)、全国農村教育協会
- 南紀生物同好会編、『わかやまの生物』、(1972)、帯伊書店