リングア・フランカ・ノバ

リングア・フランカ・ノバ
Lingua Franca Nova
創案者 ジョージ・ブレー
創案時期 1965年
設定と使用 国際補助語
話者数 970人にFacebookでは (2017年)
目的による分類
表記体系 ラテン文字
キリル文字
参考言語による分類 ロマンス諸語系統のクレオール言語
公的地位
公用語 なし
統制機関 La Asosia per LFN
言語コード
ISO 639-3 lfn
Linguist List lfn
Glottolog ling1267[1]
 
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リングア・フランカ・ノバ英語: Lingua Franca Nova)とは、1965年米国ペンシルベニア州シッペンスバーグ大学の心理学者ジョージ・ブレー博士によって考案された国際補助語である。この人工言語は頭文字のLFNからエレフェン(語)とも言う。 フランス語イタリア語ポルトガル語スペイン語およびカタルーニャ語をもとにした語彙を持ち、ロマンス諸語系統のクレオール言語を参考に、非常に簡素化された文法から構成されている。後置修飾で、基本語順はSVOである。 リングワ・フランカとは、イタリア語フランク語フランク王国の言葉を意味する言葉から派生した言葉である。漢字表記は新共通語(しんきょうつうご)。

アルファベット

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リングア・フランカ・ノバは、ラテン文字またはキリル文字で表記する。

リングア・フランカ・ノバ アルファベット
A B C D E F G H I J L M N O P R S T U V X Z (TS) (TX)
a b c d e f g h i j l m n o p r s t u v x z (ts) (tx)
А Б К Д Е Ф Г Х И Ж Л М Н О П Р С Т У В Ш З Ц Ч
а б к д е ф г х и ж л м н о п р с т у в ш з ц ч
音声 a b k d e f g h i ʒ l m n o p r s t u v ʃ z t͡s t͡ʃ

car (ア)、boy (バ)、cat (カ)、dog (ダ)、cake (エィ)、fun (ファ)、go (ガ)、ha (ハ)、see (イ)、azure (ジャ)、low (滑らかなラ)、mama (マ)、new (ナ)、coat (オゥ)、pen (パ)、ray (滑らかでないラ、ッラ)、see (サ)、tea (タ)、food (ウゥ)、view (ヴァ)、ash (シャ)、zoo (ザ)。

アクセントは語の最後の子音 (複数形語尾を除く) の直前の母音で、そのような母音がない場合は語の最初の母音。ai、au、oi、euは二重母音としてそれぞれ先頭の母音にアクセントが移るが、難しければ別々の母音として発音してもよい。

両唇 唇歯 歯音 歯茎 後部
歯茎
硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂
閉鎖音 p b     t d k g
鼻音   m   n  
摩擦音 f v s z ʃ ʒ
接近音       r      
側面接近音   l    

文法

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語順

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主語 -- 動詞 -- 目的語

  • la fema ama la casa "その女はその家を愛する"

冠詞 (群) -- 名詞 -- 形容詞 (群)

  • la casa grande "その大きな家"

助動詞 (群) -- 動詞 -- 副詞 (群)

  • me debe pasea atendente "私は注意深く歩かねばならない"

品詞など

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名詞の複数形は -s (子音の後ろでは -es) を付けて示す

  • omes e femas "男たちと 女たち"

動詞の過去時制は助動詞 ia で示す

  • tu ia labora "あなたは働いた"

動詞の未来時制は助動詞 va で示す

  • tu va labora "あなたは働くだろう"

動詞に -nte を付けて作る能動分詞は、形容詞および名詞として使える

  • donante "与えている" (形容詞)

動詞に -or を付けると “をする人” という名詞となる

  • usa “使う” - usor “利用者”, usores (複数)

動詞に -da を付けて作る受動分詞は、形容詞および名詞として使える

  • donada "与えられた" または "贈り物"

動詞はそのままで名詞としても使える

  • nos dansa "私たちは踊る" と la dansa "その踊り"

形容詞も同じく名詞としても使える

  • un om saja "ある賢い男" と la sajas "賢者たち"

副詞は形容詞と同形である

  • un om felis "ある幸せな男" と el dansa felis "彼/彼女は幸せに踊る"

自動詞は、単純に目的語を続けるだけで使役動詞になる

  • me senta "私は座っている" > me senta la familia "私はその家族を座らせる"

動詞は人称による変化をしない。

創る 見る 聞く
不定形 crea vide oi
現在形・命令形  crea vide oi
過去形 ia crea ia vide ia oi
未来形  va crea va vide va oi
条件形  ta crea ta vide ta oi
現在分詞  creante vidente ointe
過去分詞  creada videda oida

人称代名詞は格変化をしない。

単数 複数
1人称 me - 私 nos - 私たち
2人称 tu - 君 vos - 君たち
3人称 el - 彼、彼女
lo - それ
los - 彼ら/彼女ら、それら

1人称と2人称の所有格はmea, tua, nosa, vosaを対象となる名詞の前に置くか、前置詞deで表現する。

  • mea gato / la gato de me − 私の猫
  • vosa can / la can de vos − 君たちの犬

3人称の所有格はseを用いるか、el, lo, losと前置詞deを組み合わせる。

  • se casa / la casa de los − 彼らの家
  • se auto / la auto de el − 彼(彼女)の車

3人称代名詞は性を区別しない。性を明示する場合は名詞句を用いる。

  • la auto de la om − その男の車
  • la mone de la fem − その女の金
  • la besta mas ama la fem bela − 野獣のような男は美しい女を愛する

再帰代名詞 se - 自分自身

  • el ama el − 彼(彼女)は彼(彼女)を愛する (前後のelは別人)
  • el ama se − 彼(彼女)は自分自身を愛する
  • el demanda se − 彼(彼女)は自分自身に尋ねる(=自問する)

不定代名詞 on - 人々(英語 one; 独語 man; 仏語 on)

  • on memora multe bon se esperias personal − 人は自らの個人的経験をよく覚えているものだ

よく用いられる接頭辞

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des- -- その動詞による結果を元に戻す

  • infeta、感染させる > desinfeta、殺菌する

re- -- さらにまたは再び行う

  • lua、雇う > relua、再雇用する

non- -- 否定、正反対

  • felis、幸福な > nonfelis、不幸な

よく用いられる接尾辞

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-or -- 役割または仕事としてその行為をする者

  • dirije、指揮 (ディレクト) する > dirijor、指揮者 (ディレクター)
  • carne、肉 > carnor、肉屋 (人)

-ador -- その行為をする道具

  • lava、洗う > lavador、洗浄機
  • umida、湿った > umidador、加湿機

-eria -- その行為が定期的にされる場所

  • carne、肉 > carneria、肉屋 (店)
  • flor、花 > floreria、花屋

-able -- その行為の対象たり得る

  • ama -- 愛する > amable -- 愛され得る (もの)

-eta -- 小型版、子、下着

  • flora、花 > floreta、小花

-on -- 大型版、上着

  • avia、鳥 > avion、大鳥・飛行機

-i -- 分数、例えば

  • un desi、1/10

-ia 名詞・形容詞を抽象名詞化

  • madria "母性" や vania "虚栄"

-i -- 〜になる・〜にならしめる

  • verde、緑色 > verdi、緑色になる・緑色 にする

-a -- 道具の目的行為を具現する

  • telefon、電話 > telefona、電話する

リングア・フランカ・ノバの文例

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La Declara Universal de Diretos Umana 世界人権宣言

Preambul

〈前文〉

Considerante ce la reconose de la dinia inerente e la diretos egal e nonalienable de tota la membros de la familia umana es la funda de libria, justia, e pas en la mundo,

人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、

Considerante ce la desconose e la despresa de la diretos umana ia porta atas de barbarie ce ofende la consiente de umania, e ce la veni de un mundo do la esentes umana va es libre per parla e crea e librida de temia e de miseria, es proclamada como la aspira plu alta de esentes umana,

人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、

Considerante ce es esensal ce la diretos umana es protejeda per un sistem de diretos, a fin ce no person es forsada, com recurso ultima, a la rebelia contra tirania e oprimi,

人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権を保護することが肝要であるので、

Considerante ce es esensal promove la developa de relates bonvolente entre nasiones,

諸国間の友好関係の発展を促進することが肝要であるので、

Considerante ce en la Carta, la poplas de la Nasiones Unida proclama se fide en la diretos umana fundal, en la dinia e la valor de la person umana, en la egalia de diretos de omes e de femas, e ce los ia deside promove la progresa sosial e leva la cualia de vita con un libria plu completa,

国際連合の諸国民は、国連憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、

Considerante ce la statos membros promete securi, en coopera con la Nasiones Unida, la respeta e la oserva universal de direto umana e libria fundal,

加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、

Considerante ce un conseta comun de esta diretas e librias es la plu importante per la completa plena de esta promete,

これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、

La Asemblea Jeneral

よって、ここに、国連総会は、

Proclama esta Declara Universal de Diretos Umana como un ideal comun per tota la poplas e nasiones aspira, a fin ce cada person e cada organo sosial, con esta Declara en mente constante, va promove la respeta de esta diretos e librias per ensenia e instrui, per mesuras progresante, nasional e internasional, e va securi la reconose e aplica universal e efetente, ambos entra la poplas de la statos membro e entra la teritorios su se autoria legal.

社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この人権宣言を公布する。

脚注

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  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Lingua Franca Nova”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/ling1267 

関連項目

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外部リンク

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