中院通村

 
中院 通村
中院通村像(京都大学総合博物館蔵)
時代 江戸時代前期
生誕 天正16年1月26日1588年2月22日
死没 承応2年2月29日1653年3月28日
改名 通貫(初名)→通村
別名 中院内府
戒名 後十輪院虚観妙空
墓所 京都府京都市上京区寺町通広小路上ル北之辺町の廬山寺
官位 正二位内大臣
主君 後陽成天皇後水尾天皇明正天皇後光明天皇
氏族 中院家
父母 父:中院通勝、母:細川幽斎の養女[1]
兄弟 通村北畠親顕仲子
正室:瑞亭院溝口秀勝の娘)
継室:広橋兼勝の娘
通純清閑寺共綱
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中院 通村(なかのいん みちむら)は、江戸時代前期の公卿歌人権中納言中院通勝の子。官位正二位内大臣後水尾天皇の第一の側近で、反幕府派の公卿。小倉藩細川忠興とは義兄弟。最終官職の唐名から中院内府とも呼ばれる。

経歴

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慶長5年(1600年)に13歳で叙爵。右近衛中将や参議などを経て、元和3年(1617年)1月に正三位・権中納言に進む。ついで元和6年(1620年)閏12月従二位に昇叙し、元和9年(1623年)10月武家伝奏に補され、寛永6年(1629年)11月に権大納言に昇った。後水尾天皇の信任が厚く、たびたび江戸に下っては朝幕間の斡旋に努めたが、同年11月、天皇が突如興子内親王譲位すると、この謀議を関知しながら武家伝奏として幕府に報告しなかったとの理由で、寛永7年(1630年)武家伝奏を罷免された。そして、寛永12年(1635年)3月に江戸へ召されて寛永寺に幽閉されたが、天海の請によって赦免されて帰京。正保4年(1647年)7月には内大臣となるが、まもなくこれを辞し、承応2年(1653年)2月29日に薨去した。享年66。

古今伝授を受けた歌人として評価が高く、天皇御製の添削を命じられたほどであった。家集『後十輪院内府詠藻』には、1600余首が収められる。また、父の通勝の源氏学を継承し、天皇や中和門院などに対してしばしば『源氏物語』の進講を行っている。世尊寺流能書家としても著名で、絵画などにも造詣を見せるなど、義父の細川幽斎に劣らぬ教養人であった。日記に『中院通村日記』がある。

逸話

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  • 第3代将軍・徳川家光に古今伝授を所望されたが、これを断ったという硬骨漢である。
  • 後水尾天皇の譲位を幕府に報告しなかった理由について、京都所司代板倉重宗から問われた通村は「洩らすな」との勅命があったことを告白。これに対し重宗は「内々に知らせるべきであった」としたが、通村は「勅命に背いて君臣仁義を破り、人に内応する者がありましょうか。もしそなたが、関東から都の人に知らせるなと聞かれましたら、そなたも洩らしはなさるまい。我らは天子の臣でござる。関東の臣ではござらぬ」と答えた。これには重宗も言葉がなかったという。

略譜

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和暦 西暦 月日 事柄
天正16年 1588年 1月26日 生誕。
慶長5年 1600年 5月10日 叙爵。通貫から通村に改名。
12月27日 侍従に任官。
12月28日 元服禁色昇殿
慶長6年 1601年 3月20日 加賀介を兼任。
慶長7年 1602年 1月6日 従五位上に昇叙。
慶長12年 1607年 1月6日 正五位下に昇叙。
慶長13年 1608年 1月6日 従四位下。侍従如元。
慶長14年 1609年 1月11日 左近衛少将に遷任。
慶長16年 1611年 12月30日 従四位上に昇叙。
慶長18年 1613年 1月6日 正四位下に昇叙。
1月12日 右近衛中将に転任。
慶長19年 1614年 12月29日 参議に補任。
慶長20年 1615年 1月5日 従三位に昇叙。
元和3年 1617年 1月5日 正三位に昇叙。
1月11日 権中納言に転任。
元和6年 1620年 8月16日 土御門泰重と共に『立后次第』の撰定を命じられる。
閏12月28日 従二位に昇叙。
元和9年 1623年 10月28日 武家伝奏に補任。これ以降、たびたび江戸に下向。
寛永元年 1624年 11月28日 中宮権大夫を兼任(中宮は徳川和子)。
寛永6年 1629年 11月2日 権大納言に転任。中宮権大夫如元。
11月9日 中宮権大夫を辞任(前日の後水尾天皇譲位に伴う中宮職廃止)。
寛永7年 1630年 9月15日 謀議参画の罪で武家伝奏を罷免される。
寛永8年 1631年 12月11日 正二位に昇叙。
寛永12年 1635年 3月 子の通純と共に江戸に召し出され、寛永寺に幽閉される。
10月2日 天海の願いで赦免され、帰京。
寛永19年 1642年 12月22日 権大納言を辞任。
正保4年 1647年 7月28日 内大臣に転任。
11月18日 内大臣を辞任。
承応2年 1653年 2月29日 薨去。享年66。廃朝3日。

代表的な歌

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  • 朝露も こぼさで匂ふ 花の上は 心おくべき 春風もなし
  • あつからぬ ほどとぞいそぐ のる駒の あゆみの塵も 雨のしめりも
  • 一夜あけて 四方の草木の めもはるに うるふ時しる 雨の長閑さ
  • いろどらぬ ただ一筆の すみがきを 都のをちに かすむ峰かな
  • たれとなく 草の枕を かりそめに 行きあふ人も 旅はしたしき
  • 春の夜の みじかき軒端 あけ初めて 梅が香しろき 園の朝風

系譜

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登場作品

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脚注

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  1. ^ 一色義次の娘