久保田博南

久保田 博南(くぼた ひろなみ、1940年昭和10年〉10月10日 - )は、群馬県太田市出身の医療機器開発コンサルタントサイエンスライターである[1]生体情報モニタの創始を手始めとして[2]心電図モニタパルスオキシメーターなどのワイヤレス化、小型・省エネ化、ポータブル化などによる関連機器群の普及活動に尽力している。

人物

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1963年群馬大学工学部電気工学科を卒業後、日本光電工業株式会社に入社し医療機器の研究開発に従事した。1965年に生体情報モニタ[2]、1975年にワイヤレス式の生体情報モニタを商品化し[3]、ともに世界初の開発だったことから「ミスタモニタ」や「生体モニタの父」と呼ばれる[4]。このとき開発された初号機「MBM-40」は現在麻酔博物館に展示されている[2]。1988年、イギリスのコントロンインスツルメンツにスカウトされ、ミスタモニタの頭脳流出と話題となった[5]。コントロンインスツルメンツでは、経皮血液ガスモニタ、パルスオキシメーターなどの開発援助、輸入・販売に従事した[6]。1993年に、パルスオキシメーターの超小型化・ポータブル化を提唱し、その後の普及を予見した。1994年、ケイアンドケイジャパン株式会社設立、代表取締役就任、医療機器開発コンサルタントとしての業務を遂行している。この間、国際標準化機構(ISO)委員、日本医療機器工業会誌編集長、日本医療機器学会誌編集委員、医工連携推進機構理事、城西大学現代政策学部非常勤講師などを歴任。医療機器業界人として活動し、関連の著書多数を執筆。医療機器関連のセミナー・講演等の講師としての活動も多い。近年では無線通信技術を応用した「ワイヤレス・ホルタ心電計」や、サイズ・重量・消費電力が世界で最小の「心電図テレメトリー」に関してGM3社の開発協力を行った。科学技術振興機構(JST)の科学番組サイエンスチャンネルにおいて、医療機器を分かりやすく紹介する番組「いらっしゃいませ、仁術堂です。」の監修なども行っている。現在、日経BPの「デジタルヘルス」サイトに「久保田博南の医療機器トレンドウオッチ」、『医科器械』誌に「器具・器械を創った人びと」を連載中。また、趣味のBCL[7] や辞書収集を題材にしたサイエンスライター[8] として一般向けの著書も多い。

略歴

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表彰

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  • 1981年、ダーラム市(アメリカ合衆国)名誉市民 - デューク大学との無線テレメータ式生体情報モニタの協同研究による
  • 1985年、『呼吸モニタ』に関し、日本ME学会から「新技術開発賞」を受賞
  • 1987年、アドベンチスト・ワールド・ラジオ日本語放送、第1号受信感謝状
  • 2001年、防衛省陸上自衛隊衛生学校、部外講師5年勤続表彰
  • 2004年、著書『医療機器の歴史』、日本医科器械学会(現:日本医療機器学会)著述賞受賞
  • 2009年、著書『生体情報モニタ開発史』、国立国語研究所の『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に採録
  • 2009年、著書『いのちを救う先端技術』、日本医療機器学会著述賞受賞

主な出演番組

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著書

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  • 『生体情報モニタ50年』(薬事日報社、2016年刊)
  • 『ヘルスケアを支えるバイオ計測』(シーエムシー出版、共著2016年刊)
  • 『磁力の科学』(日刊工業新聞社、共著2014年刊)
  • 『パーソナル・ヘルスケア』(NTS、共著2013年刊)
  • 『医療機器』(真興交易、2010年刊)
  • 『いのちを救う先端技術』(PHP新書、2008年刊)
  • 『バイタルサイン収集論』(真興交易、2006年刊)
  • "Collective Theory of Vital Signs"(真興交易、2006年刊)
  • 『電気システムとしての人体』(点字図書、2005年刊)
  • 『生体情報モニタ開発史』(真興交易、2004年刊)
  • 『医療機器の歴史』(真興交易、2003年刊)
  • 『電気システムとしての人体』(講談社ブルーバックス、2001年刊)
  • 『電子辞典の楽しみ方』(PHP新書、2000年刊)
  • 『バイタルサインモニタ入門』(秀潤社、2000年刊)
  • 『ナースのための医用機器』(コロナ社、共著、1999年刊)
  • 『視点オピニオン21』(上毛新聞社、共著、1999年刊)
  • 『健康を計る』(点字図書、1998年刊)
  • 『8カ国科学用語事典』(講談社・ブルーバックス、1997年刊)
  • 『科学のことば雑学事典』(講談社・ブルーバックス、1995年刊)
  • 『健康を計る(第1巻~第3巻)』(点字図書、1994年刊)
  • 『健康を計る』(講談社・ブルーバックス、1993年刊)
  • 『電波で巡る国ぐに』(コロナ社、1991年刊)

論文・文献

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  • 2015-2,医療機器 はじめ物語 第5回パルスオキシメータ

 久保田 博南 クリニカルエンジニアリング

  • 2013-8,特集のねらい(<特集>非接触モニタリングの時代)

 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2011-2,モニタリング技術の変遷と展望

 久保田 博南 日本臨床麻酔学会

  • 2010-12,血圧測定の歴史

 History of blood pressure measurement (特集 血圧計のすべて)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2007-02-01,特集のねらい(<特集>続・パルスオキシメータのすべて)

 An Aim for the Special Issue(Global Aspects on Pulse Oximeter: Part 2)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2007-02-01,パルスオキシメータの商品化論(<特集>続・パルスオキシメータのすべて)

 Commercialization on Review of Pulse Oximeter(Global Aspects on Pulse Oximeter: Part 2)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2006-12-01,生体情報モニタの歴史と将来展望(<特集>非侵襲検査の最前線)

 History and Future View of Vital Sign Monitor(The Forefront of Noninvasive Test)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2005-12-01,反射型センサの特徴(<特集>パルスオキシメータのすべて)

 The Feature of Reflection-type Sensors(<Special Issue>Global Aspects on Pulse Oximeter)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2005-12-01,特集のねらい(<特集>パルスオキシメータのすべて)

 An Aim for the Special Issue(<Special Issue>Global Aspects on Pulse Oximeter)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2004-12,治療及び手術用機器 (日医機協創立20周年記念特集号) (医療機器産業(分野別)の課題と展望)

 久保田 博南 日本医療機器産業連合会

  • 2004-07-01,特集のねらい(<特集>医科器械のオリジナリティー)

 An Aim for the Special Issure(<Special Issue>Originality of Medical Instruments)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2003-05-01,特集のねらい(<特集>ISO-TC121(麻酔装置及び医療用呼吸器)の動向)

 An Aim for the Special Issure(<Special Issure>ISO-TC 121, Anaesthetic and Respiratory Equipment)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 2003-05-01,SC4麻酔学用語(<特集>ISO-TC121(麻酔装置及び医療用呼吸器)の動向)

 SC4 Anaesthesiology-Vocabulary(<Special Issure>ISO-TC 121, Anaesthetic and Respiratory Equipment)
 久保田 博南 宮坂 勝之 日本医療機器学会

  • 2000-12-01,センサ技術の進歩と生体情報モニタへの応用 (<特集>20世紀の技術進歩と医科器械への応用)

 Advance in Sensor Technology and Application for Patient Monitoring Systems (<Special Issue> Advance of Technologies in the 20th Century and its Application to Medical Products)
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 1986-06-01,ISO/TC 121(麻酔用と呼吸用機器に関する国際標準化機構)中間会議出席の報告

 A Report of ISO/TC 121 Interim Meeting in Milan
 佐藤 暢 久保田 博南 中島 太郎 根本 幾 日本医療機器学会

  • 1986-06-01,生体情報伝送システム(<特集>診療所・病院を支援するニューメディア)

 Communication Systems for Patient Information
 竹内 英夫 久保田 博南 長岡 俊治 田中 正二 日本医療機器学会

  • 1986-03-01,1985年ISO/TC121(麻酔用と呼吸用機器に関する国際標準化機構)の報告

 A Report from 1985 ISO/TC 121 (Technical Committee of the International Organization for Standardizatin on Anesthetic and Respiratory Equipment) Meeting
 佐藤 暢 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 1985-08-01,警報の標準化 : ISOロンドン会議に出席して

 Standardization for Worning Signals : Report of the ISO Meeting in London
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 1984-12,オンライン入力とセンサ (患者監視<特集>)

 久保田 博南 日本学会事務センター

  • 1983-07-01,救急患者モニタ(<特集>救急医療用機器シリーズ)

 Acute Patient Monitoring
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 1977-08-01,患者監視装置の動向

 Progress of Patient Monitoring System
 久保田 博南 日本医療機器学会

  • 1974-10,非観血電気血圧計(Senior course 生理)

 久保田 博南 医学書院

脚注

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  1. ^ 『新訂現代日本人名録2002』、日外アソシエーツ
  2. ^ a b c 日本麻酔科学会・ニューズレター、2015年第23巻第2号「世界初、唯一現存するモニタ「ベッドサイドモニタMBM-40」」
  3. ^ 『日経エレクトロニクス』、2013年4月15日号、「飛び立つワイヤレス・ヘルスケア」欄
  4. ^ 『日経産業新聞』、2015年4月13日号「メディカルの騎手」欄
  5. ^ 『朝日新聞』、1988年4月24日号、「ウイークエンド経済」欄
  6. ^ 『上毛新聞』、1993年7月14日号、「がんばってます」欄
  7. ^ 『短波』、1983年6月号、「OM探訪、久保田博南さん」
  8. ^ 『日本紳士録』、第八十版、交詢社出版局、2007年刊

関連項目

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外部リンク

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