前田浩 (化学者)
まえだ ひろし 前田 浩 | |
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生誕 | 1938年12月22日 日本・兵庫県宍粟市(旧・山崎町)川戸 |
死没 | 2021年5月18日(82歳没) 日本・熊本県熊本市 |
居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 | 生化学 微生物学 |
研究機関 | 熊本大学 崇城大学 |
出身校 | 東北大学農学部食糧化学科卒業 カリフォルニア大学デービス校大学院修了 東北大学大学院 博士課程修了 |
主な業績 | がん組織における高分子薬剤の血管透過性・滞留性亢進 (EPR) 効果の発見 |
主な受賞歴 | #学術賞参照 |
プロジェクト:人物伝 |
前田 浩(まえだ ひろし、1938年12月22日[1] - 2021年5月18日)は、日本の化学者。熊本大学医学部名誉教授。
兵庫県宍粟市(旧・山崎町)出身。熊本大学医学部教授、崇城大学薬学部教授などを歴任した[2]。
業績
[編集]1979年にネオカルジノスタチンをスチレン-マレイン酸共重合体に結合させた高分子化制がん剤「スマンクス」を開発してさらに研究を進めて、1986年に高分子薬剤が選択的にがん局所に留まりやすい現象である「EPR効果 (Enhanced Permeability and Retention effect)」 (en) を、松村保広と共に提唱した[3]。また、ウイルスや細菌学などの感染局所において生体側の応答としてスーパーオキサイドや一酸化窒素などラジカル分子が大量に生成し、細胞や核酸に傷害(変異など)を起こすことを初めて明らかにした[2]。
略歴
[編集]- 兵庫県立龍野高等学校卒業。
- 1962年 - 東北大学農学部食糧化学科卒業[2]
- 1964年 - カリフォルニア大学デービス校 大学院修了(R.E. Feeney教授)[2]
- 1968年 - 東北大学大学院 博士課程修了[2][4][5]
- 1968年 - ハーバード大学癌研究所 主任研究員[2]
- 1971年 - 熊本大学医学部微生物学講座 助教授[2]
- 1981年 - 熊本大学医学部微生物学講座 教授
- 2004年 - 熊本大学退官、同 名誉教授
- 2005年 - 崇城大学薬学部 教授[2]
- 2011年 - 崇城大学DDS研究所 特任教授[2]
- 2017年 - 崇城大学DDS研究所 退官[2]
- 2018年 - 瑞宝中綬章受章[6]
- 2021年5月18日午前6時25分、肝不全のため熊本市内の病院で死去した[7]。82歳没。死没日をもって正四位に叙される[8]。
学術賞
[編集]- 日本細菌学会浅川賞[2]
- 高松宮妃癌研究基金学術賞[2]
- E.K.Frey-E.Werle財団 Commemorative Gold Medal[2]
- 米国Controlled Release Society
- 2003年 - Nagai Innovation Award for Outstanding Achievement[2]
- 王立英薬学会Life Time Achievement Award
- CRS College of Fellows Award
- 西日本文化賞
- 日本DDS学会 永井賞
- 2011年 - 日本癌学会 吉田富三賞[2]
- 熊日賞[2]
- 2016年 - トムソン・ロイター引用栄誉賞 [9][10]
著書
[編集]単著
[編集]- 『野菜はガン予防に有効か: 酸素ラジカルを巡る諸問題: 体に有害な酸素ラジカルを除きガン予防・老化予防をめざして』菜根出版、1995年1月。ISBN 4-7820-0104-5。
- 『ガンは予防が最大の戦略: 栄養学の新しい展開』菜根出版〈Saikon select〉、1996年12月。ISBN 4-7820-0126-6。
- 『活性酸素と野菜の力: 21世紀の健康を考える』幸書房、2007年12月1日。ISBN 978-4-7821-0311-1。
- Recollections of 45 years in research: from protein chemistry to polymeric drugs to the EPR effect in cancer therapy. Protein biochemistry, synthesis, structure and cellular functions. Nova Science Publishers. (2012-05-01). ISBN 978-1617611018
- 『抗がん剤の世界的権威が直伝! 最強の野菜スープ』マキノ出版、2017年11月16日。ISBN 978-4-8376-7262-3。
共著
[編集]- 前田浩、古澤靖子『最強の野菜スープ: 活用レシピ: 抗がん剤の世界的権威が伝授!』マキノ出版、2018年11月。ISBN 978-4-8376-7284-5。
編著
[編集]- (稲田祐二との共編) 編『これからの化学修飾』共立出版〈タンパク質ハイブリッド, 続〉、1988年5月20日。ISBN 4-320-05351-6。
- Koprowski, H.; Maeda, H., eds (June 22, 1995). The Role of nitric oxide in physiology and pathophysiology. Current topics in microbiology and immunology. 196. Springer-Verlag. ISBN 3540582142
- Maeda, H.; Edo, K.; Ishida, N., eds (January 7, 1997). Neocarzinostatin: the past, present, and future of an anticancer drug. Springer. ISBN 4431701877
- (奥田拓道、高田明和との共編) 編『病気を理解するための生理学・生化学』(改訂2版)金芳堂、1998年4月。ISBN 4-7653-0891-X。
- Kabanov, Alexander; Kataoka, Kazunori; Maeda, Hiroshi et al., eds (March 31, 2003). Polymer drugs in the clinical stage : advantages and prospects. Advances in experimental medicine and biology. 519. Kluwer Academic/Plenum. ISBN 0306474719
監修
[編集]- 植松規浩『魅惑の健康茶「ルイボスティー」: “抗酸化作用"があなたの美容と健康を守る: Rooibos tea』現代書林、1993年8月。ISBN 4-87620-673-2。
脚注
[編集]- ^ 前田浩「螢光偏光法とその応用」『化学と生物』第16巻第11号、日本農芸化学会、1978年11月25日、729-735頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.16.729、ISSN 1883-6852、OCLC 1021350007。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p cosine (2016年9月22日). “世界の化学者データベース”. Chem-Station (ケムステ). 2016年9月29日閲覧。
- ^ Matsumura, Y; Maeda, H (December 1986). “A new concept for macromolecular therapeutics in cancer chemotherapy: mechanism of tumoritropic accumulation of proteins and the antitumor agent smancs”. Cancer research (American Association for Cancer Research) 46 (12): 6387-6392. ISSN 0008-5472. OCLC 70903154. PMID 2946403 .
- ^ 前田 浩 (1968-03-26), Chemistry and biochemistry of neocarzinostatin [ネオカルチノスタチンの化学的生化学的研究], 東北大学, NAID 500000415088, 国立国会図書館書誌ID:000009208910
- ^ 前田, 浩 (1973-02-21), Chemical structure of NCS [ネオカルチノスタチンの化学構造], 東北大学, NAID 500000381446, 国立国会図書館書誌ID:000008570767
- ^ “平成30年秋の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 19 (2018年11月). 2023年2月27日閲覧。
- ^ “熊本大名誉教授の前田浩さん死去 抗がん剤研究でノーベル賞有力候補 82歳”. 神戸新聞NEXT (神戸新聞社). (2021年5月20日) 2021年5月20日閲覧。
- ^ 『官報』第521号7頁 令和3年6月25日号
- ^ “ノーベル賞有力候補に本庶、前田、松村氏を予想 トムソン・ロイター社”. Science Portal. 科学技術振興機構 (2016年9月23日). 2016年9月29日閲覧。
- ^ 『「トムソン・ロイター引用栄誉賞」(ノーベル賞予測)2016年、日本からの受賞者は3名』(プレスリリース)トムソン・ロイター、2016年9月21日。オリジナルの2017年3月11日時点におけるアーカイブ 。2020年2月19日閲覧。
外部リンク
[編集]- 前田浩 - researchmap
- 前田浩 - J-GLOBAL
- 前田浩 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
- 論文一覧(KAKEN、CiNii)
- SPAGO EPR effect - YouTube