劇団かかし座
劇団かかし座(げきだんかかしざ)は、日本初[1]の影絵の専門劇団。神奈川県横浜市都筑区に本部と稽古場を置く。「たくさんの人々の心に夢を育てたい」という思いで、影絵による総合パフォーマンスを国内のみならず海外にも発信している[2]。影絵ビジュアルの企画制作と提供から、影絵劇の企画制作と上演(文化ホールや市民ホールなどの公立文化施設、小中学校や幼保こども園などの教育施設での演劇鑑賞会や芸術鑑賞会、観劇教室。国内外演劇フェスティヴァル等)に至るまで、影絵に関することならば幅広く対応している。
2017年4月-2018年3月の年間観劇者数は272,000人を記録した。これは人形劇の職業劇団としては全国第1位である[3](2016年度は260,000人[4])。
概要
[編集]1952年7月[5]、鎌倉アカデミアの演劇サークル「小熊座」を母体として後藤泰隆が設立。
1953年、NHKの専属劇団となる。放送用の連続影絵劇を多数制作[6]。
1959年2月、有限会社劇団かかし座となる[5]。
1968年ごろから全国各地の幼稚園や小学校を巡る上演活動を開始。
1973年、『竹取物語』でモンテカルロ国際TV映画祭優秀作品受賞[2]
1979年、後藤泰隆急逝。
1981年、後藤泰隆の長男・後藤圭が代表を務める[6]。
2008年から2017年10月1日まで、岐阜県の下呂温泉合掌村にある、日本唯一の常設影絵劇場「影絵昔話館しらさぎ座」において、下呂の伝説や昔話を題材にした影絵劇の定期公演を行った[7]。
2009年、キャスト4人の手影絵だけで1時間以上のステージをこなす「Hand Shadows ANIMARE」をドイツの国際影絵劇フェスティバルで初演。大きな反響を呼び、以降、毎年のように海外公演を行う。これまでに21カ国31都市で上演[1]。
2011年、『魔法つかいのおとぎばなし』、社会保障審議会より特別推薦児童福祉文化財[8]に選定
2012年、『宝島』、特別推薦児童福祉文化財に選定[2]
2013年、「Hand Shadows ANIMARE」の舞台裏にカメラを向けたドキュメンタリー映画『影たちの祭り』(監督:大嶋拓)公開。
2019年、文化庁の「文化芸術による子供育成総合事業」に基づく巡回公演事業に選定される[9]。
道具を使わず、手と体だけで多彩な動物の姿を作り出す「手影絵」を得意とし、ウサギ、フクロウ、リスなど100種類を超えるレパートリーを持つ。近年はテレビ、映画、出版などを通じて影絵のパフォーマンスを披露している。世界でも数少ないプロの影絵専門劇団のひとつ[10]。
おもな舞台作品
[編集]- マッチ売りの少女(1968年-)
- きかんしゃやえもん(1970年-)
- 安寿と厨子王(1977年-)
- イソップの宝(1982年-)
- 貧乏神福の神(1983年-)[11]
- 木彫りのオオカミ(1986年-)
- かさこじぞう/おこりじぞう(1986年-)
- 白雪姫(1989年-)
- 泣いたあかおに(1990年-)
- 黄金のかもしか(1991年-)[12]
- α博士の虹色手帳 -星新一ショートショートより5編-(1991年-)
- ミスターシャドウの仲間たち(1992年-)
- ニールスのふしぎな旅(1993年-)[13]
- 風がみていた物語 手ぶくろを買いに/おいの森とざる森、ぬすと森/大造じいさんと雁3本立作品(1996年-)
- お星さまの色えんぴつ(1996年-)
- ミスターシャドウPart3 アリーテ姫の冒険(1997年-2003年)
- ポケット劇場(1998年-)
- ジャングルブック(1999年-2004年)[12]
- つりばしゆらゆら(2000年-2003年)
- ケト°ぺカムイの槍(2001年-)
- みなみのうみのおとぎばなし(2003年-)
- 魔法の島(2003年-2006年)
- アラジンと魔法のランプ(2004年-)
- 長靴をはいたねこ(2005年-)[12]
- 星の王子さま(2005年-2016年)[13]
- かぐや姫(2007年-)[13]
- 三まいのおふだ(2007年-)
- 赤ずきん(2008年-)
- 三びきのこぶた(2008年-)[14]
- しらさぎ伝説/お美津ギツネ 影絵昔話館しらさぎ座 (2008年-)
- Hand Shadows ANIMARE(2009年-)[15]
- 力持ち小太郎 影絵昔話館しらさぎ座 (2009年-)
- 孝子ヶ池 影絵昔話館しらさぎ座 (2010年-)
- 祖師野丸 影絵昔話館しらさぎ座 (2011年-)
- 八百比丘尼 影絵昔話館しらさぎ座 (2012年-)
- 宝島(2012年-)
- 魔法つかいのおとぎばなし(2012年-)[16]
- オズの魔法使い(2013年-)[17]
- 星新一のショートショートファンタジー(2016年-)
- ふしぎな時間もしもの国で-Once upon a Dreaming-(2017年-)
- 分福茶釜(2017年-)[18]
- お囃子かぐや姫 藤舎流お囃子方とのコラボレーション(2018年-)
- ごめんね、ありがとう!-るる島の秘密- 韓国の人形劇団ARTSTAGE SANとのコラボレーション作品(2019年-)
- Wonder Shadow Labo(遅くとも2019年)[19]
- 影絵女子(2019年)
- 正解は⁈正解は⁈ 狂言師茂山あきら氏とのコラボレーション作品(2019年)
製作した映像作品
[編集]- あわて床屋(1961年4-5月 みんなのうた)[20]
- 千代太郎子ども劇場(1976年4月3日[21]-81年)[22]
- キリスト フルアニメーションによるシルエット映画(1985年)
- パンをふんだむすめ(脚色:北沢杏子)※詳細は関連項目参照
- やまなし 光村教育図書の教材 フルアニメーションによるシルエット映画(1989年)
- キジの儀式 風土舎共同制作 短編影絵映画(1992年)
- ゆらゆら みんなのうた 詞/曲:中島啓江(2013年)
その他の参加作品
[編集]- テレビの旅(1959年)
- こんばんは21世紀(1964年4月12日)[23]
- アリババと40匹の盗賊(1971年。『東映まんがまつり』内で上映。ネズミのカジルが『アリババと40人の盗賊』を回想する場面に使用)[24]
- RIP SLYME『 GALAXY』PV フィンガーパフォーマンス(2004年)
- コブクロ『蕾』PV ハンドシャドウパフォーマンス(2007年)[25]
- 24時間テレビ 「愛は地球を救う」(2009年 手影絵パフォーマンスの構成演出と指導)
- ザ・クロマニヨンズ 『流線型/飛び乗れ!!ボニー!!』 PV ハンドシャドウパフォーマンス (2011年)
- 松本人志のコントMHK[26]
- さくら学院 公開授業「影絵の授業」(2018年1月14日、はまぎんホールヴィアマーレ。手影絵パフォーマンスの実演と指導。コブクロ『蕾』を使った実技指導を実施。講師は飯田周一)
- 欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY (2019年5月9-11日、 日本武道館。ダンストラックシーンでのボディシルエットパフォーマンスの構成演出、指導を担当)
- 音楽ユニットangela のLIVE「angelaのミュージック・ワンダー☆大サーカス」(2019年12月30日、31日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて新曲「君を許すように」手影絵パフォーマンスの演出、出演。他3曲にもダンサーとして出演。
- にっぽんの芸能「親子でたのしむ和の音色」(2021年5月7日、NHK Eテレ)[27]
挿絵
[編集]脚注
[編集]- ^ a b “役者が織りなす大迫力 影絵劇団かかし座「オズの魔法使い」”. カナコロ. 神奈川新聞社 (2018年8月16日). 2019年1月13日閲覧。
- ^ a b c “劇団かかし座 / Shadow Play Theater KAKASHIZA”. ROKKO MEETS ART 芸術散歩2018. 六甲山観光株式会社. 2019年8月24日閲覧。
- ^ 『'18日本の人形劇(日本人形劇年鑑2018年版)』特定非営利活動法人国際人形劇連盟日本センター、2019年2月21日、170頁。
- ^ “劇団かかし座『魔法つかいのおとぎばなし』 影絵のパイオニア劇団によるカラフルな物語”. 公益財団法人宝塚市文化財団 (2018年7月26日). 2019年8月25日閲覧。
- ^ a b “会社概要”. kakashiza.co.jp. 有限会社劇団かかし座. 2019年1月13日閲覧。
- ^ a b “劇団かかし座の歴史”. kakashiza.co.jp. 有限会社劇団かかし座. 2019年1月13日閲覧。
- ^ “影絵昔話館しらさぎ座”. gero-gassho.jp. 下呂温泉合掌村. 2019年8月24日閲覧。
- ^ “児童福祉文化財について”. mhlw.go.jp. 厚生労働省. 2019年8月25日閲覧。
- ^ “令和元年度公演日程・内容・団体ホームページ・プログラム一覧”. kodomogeijutsu.go.jp. 文化庁. 2019年8月25日閲覧。
- ^ “横浜人形の家がおくる美しい影絵劇と手影絵体験!子どもも大人も夢中になる影絵エンターテインメント!”. PR TIMES. 株式会社 PR TIMES (2018年5月31日). 2019年1月13日閲覧。
- ^ “鎌倉アカデミア創立60年記念祭 ~市民と語る集い~”. タクラマネット. 2019年1月13日閲覧。
- ^ a b c “これまでの舞台鑑賞活動”. 栃木おやこ劇場. 特定非営利活動法人栃木おやこ劇場. 2019年1月13日閲覧。
- ^ a b c “劇団かかし座が2年ぶりの新作「Wonder Shadow」-KAATで上演”. 港北経済新聞 (2015年3月3日). 2019年1月13日閲覧。
- ^ “劇団かかし座☆三びきのこぶた☆”. ssalesio.ac.jp. 学校法人星美学園 (2019年1月25日). 2019年8月25日閲覧。
- ^ Maialen Mangas (2016年1月2日). “La historia del títere español, a través de ocho maestros”. EL DIARIO VASCO. 2019年1月13日閲覧。
- ^ “劇団かかし座「魔法つかいのおとぎばなし」”. 横浜観光情報. (公財)横浜観光コンベンション・ビューロー. 2019年1月13日閲覧。
- ^ “家族で観よう!芸術鑑賞会2019 劇団かかし座「オズの魔法使い」”. Walker +. 株式会社KADOKAWA. 2019年8月25日閲覧。
- ^ “劇団かかし座 影絵劇 ぶんぶくちゃがま in 並木まちづくりセンター”. muse-tokorozawa.or.jp. 公益財団法人所沢市文化振興事業団. 2019年8月25日閲覧。
- ^ “劇団かかし座『Wonder Shadow Labo』 三田市”. Kiss PRESS. 兵庫エフエム放送株式会社 (2019年6月4日). 2019年8月25日閲覧。
- ^ “あわて床屋”. NHK みんなのうた. NHK. 2019年1月13日閲覧。
- ^ “ちよ太郎こども劇場(千代太郎子ども劇場、影絵むかし話)”. テレビドラマデータベース. 株式会社キューズ・クリエイティブ. 2019年1月13日閲覧。
- ^ 熊倉一雄(声の出演), 小鳩くるみ(出演), 劇団かかし座(かげ絵)『かげ絵イソップ物語 HDリマスター版』(DVD)TCエンタテインメント、2017年7月28日。ASIN B06ZXYRJXQ。
- ^ 田原総一朗『メディア・ウォーズ テレビ仕掛人たちの興亡』講談社、1993年、211-217頁。
- ^ 設楽博(監督)『アリババと40匹の盗賊』(DVD)東映ビデオ、2008年6月28日。ASIN B0017W7G7U。
- ^ コブクロ(歌唱)『蒼く 優しく (初回限定盤)』(CD+DVD)WARNER MUSIC JAPAN、2007年11月7日。ASIN B000VSWHI4。
- ^ “ダウンタウン:コント番組で10年ぶりに共演 NHK「松本人志のコント MHK」初回”. MANTANWEB. 株式会社MANTAN (2011年10月3日). 2019年1月13日閲覧。
- ^ “親子でたのしむ和の音色”. NHK. 2021年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月8日閲覧。
- ^ “『3年の学習 読み物特集号』S45年9月発行 学研 ...”. Yahoo!オークション. LINEヤフー. 2024年8月14日閲覧。
- ^ “WebOPAC Local書誌詳細”. opac.ryukoku.ac.jp. 龍谷大学. 2024年8月14日閲覧。
参考文献
[編集]- 後藤圭(劇団かかし座代表・演出家・玉川大学芸術学部講師)『影絵』(文溪堂、2012。ISBN 9784894237643)