原田実 (教育学者)

原田実

原田 実(はらだ みのる、1890年4月8日 - 1975年1月6日)は、日本教育学者作家翻訳家早稲田大学名誉教授。

略歴

[編集]

千葉県朝夷郡丸村に生まれる[1]千葉県立安房中学校(現・安房高等学校)を卒業[1]。その後、早稲田大学高等師範部卒。

若山牧水と交流し、牧水が主宰する詩歌雑誌『創作』(1910年創刊)や太田水穂の『潮音』(1915年創刊)に短歌や歌論を精力的に発表。歌人として注目されたが、その後は学者の道で大成することとなった[1]

1918年、『青鞜』(1911 - 1916)や『潮音』などに「斎賀琴」あるいは「斎賀琴子」名義で短歌や小説を発表していた斎賀こと(1892 - 1973)と結婚[2][3]

雑誌『教育時論』編集長、1946年早大教授。図書館長を務め、1961年定年退任、名誉教授。

著書

[編集]
  • 『自我に額づく日』(大同館) 1918
  • 『生命の朝』(大同館書店) 1920
  • 『人間への教育』(大同館書店) 1921
  • 『国際日本の教育』(近代文明社) 1922
  • 『近代婦人運動の諸相』(春秋社、早稲田文学パンフレツト) 1923
  • 『教育深化の光・熱・力』(モナス) 1928
  • 『日本の教育を考へる』(人文書房) 1929.11
  • 『心の秋』(人文書房) 1931
  • 『新教育の樹立へ』(同文館、新教育叢書) 1931
  • 『近代婦人運動概説』(玉川学園出版部、女性日本叢書) 1933
  • 『新女性道の建設』(創文社) 1934、のち改題『女性のちから』
  • 『日本教育の史的新視野』(明治図書) 1937
  • 『閑窓記』(小学館) 1941
  • 『アメリカ教育概説』(東京堂、近代文庫) 1948
  • エレン・ケイの恋愛・結婚・母性』(万葉出版社) 1948
  • 『一日一善 日々の修養』(正交書院) 1952
  • 『ヨーロッパ近世教育思想史』(牧書店) 1960
  • 森有礼』(牧書店、世界思想家全書) 1966

翻訳

[編集]
  • 『児童の世紀』(エレン・ケイ、大同館書店) 1916、のち冨山房百科文庫
  • 『恋愛と結婚』(エレン・ケイ、天佑社) 1920、のち岩波文庫
  • 『愛の使徒エレン・ケイ』(ルイゼ・ニストレム・ハミルトン、天佑社) 1922
  • 『世の中へ出て』(日本評論社出版部、ゴオルキイ全集7) 1922
  • 『短篇及び中篇小説』(トルストイ全集刊行会、トルストイ全集2) 1924
  • 『婦人運動』(エレン・ケイ、聚英閣) 1924
  • 『友愛結婚』(リンゼイ、中央公論社) 1930
  • グリム童話』(寺本書房) 1948
  • 『經驗と教育』(ジョン・デュウイー、春秋社) 1950.9

記念論集

[編集]
  • 『人間形成の明日』(原田実博士古稀記念教育学論文集編纂委員会) 1961

脚注

[編集]
  1. ^ a b c 宮本栄一郎「房総の風土と歌人」千葉県立中央図書館編『房総の短歌・歌人』(千葉県立中央図書館発行、1979年)、pp.51-52
  2. ^ 成澤榮壽「原田琴子の反戦思想と家族制度批判」、p.195
  3. ^ 斎賀ことは、原田実との結婚後は「原田琴子」名義で『萬朝報』や『國民新聞』に長編小説を発表。なお、『明星』や『青鞜』に「原田琴子」名義で短歌を発表していた原田こと(1889 - 1925)は別人である。

参考文献

[編集]
  • 宮本栄一郎「房総の風土と歌人」千葉県立中央図書館編『房総の短歌・歌人』(千葉県立中央図書館発行、1979年)
  • 成澤榮壽原田琴子の反戦思想と家族制度批判」『長野県短期大学紀要』第47巻、長野県短期大学、1992年12月、189-202頁、ISSN 0286-1178CRID 1050845763132286080 (妻・斎賀琴についての論文だが、原田実についても詳しい)
  • 日本人名大辞典
先代
岡村千曳
早稲田大学図書館長
1953年 - 1958年
次代
大野實雄