口伝律法

口伝律法(くでんりっぽう、ヘブライ語: תורה שבעל פה‎, Torah she-bə‘al-Peh, トーラー・シェベアル=ペ、英語:Oral law)、または口伝トーラーOral Torah)は、「成文(本になった)のトーラーWritten Torah)」と対になるユダヤ教の概念用語である。トーラーの法規面に関する、解釈・分析や議論の口伝の伝統。成文律法と同様にモーセシナイ山で預かったものとして扱われる。もともと聖書の成立とは別にラビたちによる口伝の伝統であった。のちにユダ・ハナシーによってミシュナーとして編纂された。

沿革

[編集]

ソフリーム(紀元前6世紀~紀元後1世紀)と呼ばれるラビたち、タナイーム(1世紀~3世紀)と呼ばれるラビたちによるトーラーに関する註解や議論をユダ・ハナシーが集大成したものをミシュナーという。これによりユダヤ教の口伝律法が初めて書面化された。

さらに、ミシュナーに関するアモライーム(3世紀~6世紀)のラビたちによる議論・註解はゲマーラーゲマラ)という。これらを合わせ、4世紀と5世紀にタルムードとして編纂されることになった。

また、聖書への解説や格言を通して教訓的なものを引き出したり、聖書に書かれていない物語や様々な逸話(ユダヤ教のあり方・思想・歴史・生活・人物)などの類を概念用語でアッガーダーアガダー、「語り」)という。タルムードの3割はアッガーダーである。

関連項目

[編集]

外部リンクと文献案内

[編集]

総体

[編集]
  • 文献案内
    • J. Vansina (tr. Wright), "Oral Tradition" (London, 1965); id., "Oral Tradition as History" (Wisconsin, 1985)
    • R. Finnegan, "Oral Poetry" (Cambridge, 1977)
    • D.P. Henige "The Chronology of Oral Tradition" (Oxford, 1974); id., "Oral Historiography" (London, 1982)
    • J. Goody & I. Watt, in J. Goody (ed.), "Literacy in Traditional Societies" (Cambridge, 1968), 27-68
    • E. Tonkin, "Narrating our Pasts" (Cambridge, 1992).
    • The survey essay by Finnegan in "History and Theory" 10 (1970), 195-201.

ユダヤ教

[編集]