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囲碁の格言(いごのかくげん)は、囲碁においての戒めや教訓を短くまとめたものをいう。
よく知られているものは古くから伝えられ作者不明のものが殆どであるが、現代の棋士によって新たに創作された格言も存在する(苑田勇一など[1])。囲碁の格言は上達のためのエッセンスを含んでいて有用であるが、戦法や考え方の進歩などで意味を失っているものもある。
- アタリアタリはヘボ碁の見本[2]
- やたらに次々とアタリをかけるのは、味を消したり相手を強化させるだけで、得にはならない。
上図左のように、白1から3などと次々にアタリをかけるのは黒の外勢を強化するお手伝いになってしまう。右のように単に白1とハネ、白3と進出する方が好形である。
- 厚みに近寄るな[3]
- 相手の厚みにあまり近いところに打つと、攻めの標的とされやすい。
- 厚みを地にするな[4]
- 一般に、中央方面に地を囲うのは、手数がかかって効率が悪い[4]。このため、厚みは中央に地を作るのではなく、攻めに活用すべきである。「厚みを囲うな」とも[4]。
- 一にアキ隅、二にシマリ、三にヒラキ[5]
- 布石の基本的な順序を教えた格言[5]。まず空き隅に打つのが大きく、次にシマリを打って隅の地を確保する(カカリはシマリと同格[5])。さらに辺へヒラいて模様を確保する。さらに「四ツメ五トビ」と続くこともある。ただし近年では、隅のシマリを省いて辺に展開する中国流などの布石も有力とされており、シマリやカカリは重視されない傾向にある[5]。
- 一間トビに悪手なし[5]
- 中央に向けての一間トビは、確実に連絡しつつ自分の石を強化する手で、まず悪手にはならない[5]。
- 石飛んでその碁に勝たず[6]
- 着手の際、打った石が飛んでしまうほど興奮していたのでは、とてもその碁には勝てない。冷静さの重要性を教えた格言。
- 一石に負けなし[7]
- 生きている石が全て連絡した状態(一石)になると、ほとんど負けない[7]。石の連絡の重要さを教えた格言。
- 一方石に死になし[7]
- 弱い石がいくつかあって、カラミ攻めにされるとシノぐのは大変だが、弱石が一つだけならそう危険はない。「一方石は死なず」とも。
- 一方地に勝ちなし[8]
- 一ヶ所に固まった地は大きく見えるが、実際には何ヶ所か隅などをしっかり確保する方が大きく、勝ちやすい[8]。一ヶ所の地だけを大きく囲おうとすると、様々な消し方をされて不利の意とも解釈される[8]。
- 追うはケイマ、逃げは一間[9]
- 相手の石を追いかける時は、厳しく相手の石に迫るケイマが、攻められている時は、堅く連絡している一間トビを活用するのが有力である[9]。下図のような場合。
- 大場より急場
- 序盤戦では一般に、広く展開して模様を拡大する手(大場)が大きいが、自分の石の根拠を固める手、双方の力関係に大きく影響する手(急場)が見た目より重要なことも多いという意味。
- 岡目八目(おかめはちもく)[10]
- 「傍目八目」とも[10]。対局者でない第三者の方が冷静に盤面を見られるため、八目ほども先を読めるという意味。ただし、プロの場合では対局者が一番詳しく読んでいることがほとんどといわれる。
- 切った方を取れ[11]
- 二線にキリが二つ入りうる形の場合、相手がキってきたらそれを素直に取っておくべき。下左図、黒1のキリに対しては白2 - 4と一目を取って不満はない。右のように白2とツイで頑張っても眼形がなく、よい結果にならない。
- キリチガイ一方をノビよ[12]
- 相手にキリチガイを打たれた場合、一方の石をノビて強化しておく。多くは弱い石を、味方に連絡させるようにノビる。下図、白1のキリチガイには黒2とノビて対応する。
- 車の後押し悪手の見本[13]
- 相手の石を必要以上にオシていくのは、敵を一歩先に進出させ、強化させるのでよくないという教え。下図のような状態を指す。
- ケイマにツケコシ[14]
- ケイマの形の石に対しては、ツケコシに打つのが急所となる。下図黒1。
- ケイマのツキ出し悪手の見本[15]
- 逆にケイマに対して出て行く手は、相手を連絡させて安心させてしまう悪手となりやすい。下図黒1のような手。
- サバキはツケから[16]
- 敵の勢力圏内でサバくときには、相手の石にツケて調子を求めるとよい。下図では、白1のツケから3とハネてサバキを目指す。
- サバキ許さぬブラサガリ[17]
- 自分の勢力圏内に敵が打ち込んできた場合、相手に付け入る隙を与えないブラサガリの形が有効である。下図黒1のような手。
- 左右同型中央に手あり[18]
- 左右対称の形では、中央に急所があることが多い[18]。下図では、白1が唯一の脱出手段となる。aやbに出ても白5子は脱出できない。
(玄玄碁経「亀勢」)
- 三子の真ん中[19]
- ダメが詰まった三子の石は、その真ん中から一路離れた位置が急所となる。下図黒1が「三目の真ん中」の急所にあたる。白から打つ場合も、同点に打って形を整える。
- シチョウ知らずに碁を打つな[20]
- シチョウほど単純なヨミはないのだから、ヨミを間違ってはいけないという意味[20]。
- 死はハネにあり[21]
- 相手のフトコロを狭めるハネは、しばしば敵の死命を制する。下図では、黒1のハネで白はどう打っても死ぬ。
- 初碁にコウなし[22]
- 序盤戦で発生したコウには、多くの場合、それに見合うコウダテがない[22]。このため、取り番の方が有利になる。
- スソアキ囲うべからず[23]
- 二線のトビコミなどで大きくヨセられる余地のある場所は、囲っても効率が悪い[23]。
- 隅の急所は二の一[24]
- 絶隅(一の一)は、一手でアタリになる、二手で眼を作れるなど特殊な環境にある(隅の特殊性)。これを利用し、その隣である二の一の点が、死活や攻め合いの急所になる場合が多い。下図では、黒1と「二の一」の点に打つのが急所で、攻め合い勝ちとなる(ただし反対側のaに打ったのでは負け)。
- 攻める石にツケるな[25]
- ツケは自分の石を強化すると同時に相手の石も強くしてしまうので、攻めたいと思っている石にツケていくのは得策ではない。
- 大石死せず[26]
- 大きな石は周辺に利き筋なども多く、無理に取りに行ってもそう取れない。
- ダメのツマリが身のつまり[27]
- ダメを無用に詰めると、自らの首を絞めることになるという戒め。ダメヅマリの項目参照。
- ツケにはハネよ[28]、ハネにはノビよ
- 敵にツケられたらハネて受け、ハネられたらノビるという基本的な打ち方の教え。下図がその例。
- ツケは払えよ
- ツケにはハネよの変化形。
- 強い方にツケよ[29]
- 星に両ガカリされた時、ハサミのない強い方の石にツケた方がよい[29]。ただし近年は考え方が変わり、ハサミのある方にaとツケていくことが多くなっている[29]。