大山千枚田

大山千枚田
夏の大山千枚田
初冬の大山千枚田

大山千枚田(おおやませんまいだ)は、千葉県鴨川市大山にある棚田。千枚田と称されるが、実際には375枚の田が3.2ヘクタールの傾斜地に並んでいる[1]1999年平成11年)に農林水産省日本の棚田百選に認定されており、文化庁文化的景観の保存・活用事業の対象地域にもなっている[2]。農林水産省からは2022年(令和4年)に「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」にも認定されている[3]。2002年には千葉県庁により文化財と名勝にも指定された[4][5]

概要

[編集]

房総丘陵にある千葉県最高峰愛宕山 (南房総市)の南東麓[1]標高90 - 150m、東西600mにわたる地域に、形や広さが様々な田が連なる。山岳地帯にあるため耕地整理が遅れ、棚田が残った。日本で唯一ともいわれる、水(天水)のみで耕作を行う珍しい天水田である[1][6]蛇紋岩質の山が地すべりを起こして形成した斜面にあり、粘土質で水が逃げにくいため可能な農法である[1]

過疎化と高齢化で存続が危ぶまれたため、1997年(平成9年)に有志が「大山千枚田保存会」を発足させ、現在はNPO法人として活動している[1]。2000年(平成12年)3月[3]には棚田オーナー制度を導入して、1区画100平方メートル当たり年間3万円(2024年時点)で借りられるようにした[1]東京都区部に最も近い棚田[3]ということもあり、主に首都圏住人が稲作に取り組んでいる[1]酒米を栽培して日本酒に醸造してもらう「酒づくりオーナー制度」も2004年(平成16年)に始まった[1]

このほか、観光地や自然に触れる場にもなっており、カエルなど里山の生物観察、米に加えて栽培されているによる染色体験、細工づくりなどが行なわれる[3][1]。秋から冬にかけての夜にはライトアップされる[1]。光源はLEDを使い、「棚田の夜祭」開催日には火も灯す[7]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j [いいね!探訪記]大山千枚田(千葉県鴨川市)四季の移ろい味わう 実りの斜面朝日新聞』夕刊2024年9月7日3面
  2. ^ 鴨川大山千枚田(棚田倶楽部)”. 公益社団法人千葉県観光物産協会. 2020年3月30日閲覧。
  3. ^ a b c d 日本の棚田百選・棚田遺産「大山千枚田」鴨川市役所 建設経済部 商工観光課(2024年11月16日閲覧)
  4. ^ 県指定文化財「鴨川大山千枚田」鴨川市教育委員会郷土資料館・文化財センター(2024年11月15日閲覧)
  5. ^ 名勝としての指定内容は以下の通り。
    • 指定名:鴨川大山千枚田
    • 所在地:鴨川市釜沼
    • 指定日:平成14年3月29日
    • 指定面積:46,077m2(公簿面積)
  6. ^ 日本で唯一雨水のみで耕作を行っている天水田・「大山千枚田」(棚田)の保全に取り組む”. 日本退職者連合 (2018年3月28日). 2020年4月9日閲覧。
  7. ^ 南房総観光ポータルサイト「房総タウン.com」棚田の夜祭り 2016年10月21日(金)~10月23日(日)2024年11月15日閲覧

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]