安藤美紀夫

安藤 美紀夫(あんどう みきお、1930年1月12日 - 1990年3月17日)は、日本児童文学作家文芸評論家日本女子大学家政学部教授。本名は安藤 一郎。

来歴・人物

[編集]

京都府京都市出身[1][2]。 1954年京都大学文学部イタリア文学科[2]卒業後、北海道で高校教師を務める。 その傍ら、1957年頃よりイタリア児童文学の翻訳の刊行を始め、自ら創作を始めて、1961年『白いりす』でデビューし、産経児童文化賞を受賞。 1962年、評論「ピノッキオとクォーレ」で高山賞(日本児童文学者協会主催)受賞。

1972年、北海道から東京都東大和市に移り、日本女子大学家政学部児童学科の非常勤講師となる。 1973年『でんでんむしの競馬』で国際アンデルセン賞作品賞・野間児童文芸賞日本児童文学者協会賞赤い鳥文学賞サンケイ児童出版文化賞受賞。 1974年から日本女子大学教授を務めた。

代表作に『ポイヤウンベ物語』(産経児童出版文化賞国際アンデルセン賞国内賞)、『プチコット村へいく』、『草原のみなし子』、『七人目のいとこ』など多数の著書のほか、『世界児童文学ノート』などの評論を残した。 また、『七人めのいとこ』は1984年1月16日にフジテレビ系列にて「第一生命スペシャル」として、佐久間良子主演でテレビドラマ化された。 イタリア児童文学の翻訳家としても、ジャンニ・ロダーリなど数多くの作品の翻訳を行った。

1990年、ガンで病死した[3]

著書

[編集]

創作

[編集]
  • 『白いりす』(講談社) 1961、のち講談社文庫(解説:渋谷清視)、のち青い鳥文庫
  • 『ジャングル・ジムがしずんだ』(講談社) 1964、のち講談社文庫(解説:西田良子
  • 『ポイヤウンベ物語』(福音館書店) 1966、のち講談社文庫(解説:神宮輝夫
  • 『草原のみなし子』(理論社) 1966
  • 『青いつばさ』(理論社) 1967
  • 『ひをふくやまとあおいぬま』(福音館書店) 1968
  • 『きかんしゃダダ』(小峰書店) 1968
  • 『プチコット村へいく』(新日本出版社) 1969
  • 『おんどりと二まいのきんか』(ポプラ社) 1969
  • 『その旗をまもれ』(講談社) 1969
  • 『白鳥のコタン』(ポプラ社) 1970
  • 『みどりいろの新聞』(理論社) 1971
  • 『でんでんむしの競馬』(偕成社、解説:松居直) 1972、のち偕成社文庫(解説:さねとうあきら)、のち講談社文庫(解説:長谷川潮
  • 『チョンドリーノ君の冒険』(集英社) 1972
  • 『こおりの国のトウグル』(偕成社) 1973
  • 『タケルとサチの森』(童心社) 1973
  • 『つとむのこうし』(ポプラ社) 1973
  • 『とらねこトララ』(偕成社) 1974
  • 『火のいろの目のとなかい』(フレーベル館) 1975
  • 『ヤッコの子つこ』(ポプラ社) 1975
  • 『馬町のトキちゃん』(PHP研究所) 1976.7
  • 『日のかみさまともんれま』(あかね書房) 1977
  • 『おんどりと二まいのきんか』(ポプラ社) 1977
  • 『おかあさんだいっきらい』(童心社) 1978、のちフォア文庫(解説:小松崎進
  • 『若い神たちの森』(小学館) 1979
  • 『よわむしねこじゃないんだぞ』(文研出版) 1980
  • 『アイヌラックル物語』(三省堂) 1981
  • 『赤い輪の姫の物語』(三省堂) 1981
  • 『おばあちゃんの犬ジョータン』(岩崎書店) 1982、のちフォア文庫(解説:渋谷清視)
  • 『風の十字路』(旺文社) 1982
  • 『ルークル、とびなさい』(サンリード) 1982
  • 『七人めのいとこ』(偕成社、解説:さねとうあきら) 1982
  • 『ものおきロケットうちゅうのたび』(童心社) 1983、のちフォア文庫(解説:村中李衣
  • 『とうさん、ぼく戦争をみたんだ』(新日本出版社) 1983
  • 『電車のすきな歯医者さん』(国土社) 1984
  • 『いなずま走るとき』(国土社) 1985
  • 『とんでも電車大脱線』(国土社) 1985
  • 『おばあちゃんのボーイフレンド』(国土社) 1986
  • 『名作ねずみものがたり』(河出書房新社) 1987
  • 『いつか、おかあさんを追いこす日』(小峰書店) 1988
  • 『いじめっ子やめた』(新日本出版社) 1988
  • 『ねしょんべんねこ』(新日本出版社) 1989
  • 『エープリルフールは雨のちくもり』(山脇あさ子補作、国土社) 1991

評論

[編集]
  • 『世界児童文学ノート』1 - 3(偕成社) 1975 - 1977
  • 『児童文化』(朝倉書店) 1977.10
  • 『児童文学の散歩道』(玉川大学出版部) 1977
  • 『幼年期の子どもと文学』(国土社) 1981
  • 『子どもと本の世界』(角川選書) 1981
  • 『児童文学』(学術図書出版社) 1985

共編

[編集]

翻訳

[編集]
  • 『黒い手と金の心』(ファビアーニ、岩波少年文庫) 1957
  • 『黒い海賊』(サルガーリ、講談社) 1958
  • ピノッキオ』(カルロ・コッローディ、講談社) 1963
  • クオレ』(エドマンド・デ・アミーチス、講談社) 1963
  • 『ロッセルラの道』(デピラート、講談社) 1965
  • 『ぼくの学校』(ジョヴァンニ・モスカ、理論社) 1966
  • 『カテリーナのふしぎな旅』(エルサ・モランテ、学習研究社) 1966
  • 『緑のほのお少年団』(エンゾ・ペトリーニ、新日本出版社) 1966
  • 『マルコヴァルドさんの四季』(イターロ・カルヴィーノ、岩波書店) 1968、のち岩波少年文庫
  • 『ちびくろおじさん』(レナート・ラシェル、学習研究社) 1968
  • 『とってもすてきな動物記者』(ジャーナ・アングィッソラ、学習研究社) 1968
  • 『まほうつかいの日曜日』(マリエルラ・リンダー、偕成社) 1969
  • 『カナリア王子』(カルヴィーノ、福音館) 1969
  • 『夏草はしげる』(ピーナ・バルラーリオ、学習研究社) 1972
  • 『あくたれジャンの日記』(ヴァンバ (Vamba)、国土社) 1977
  • 『いるかのうみ』(ティツィアーノ・チペレッティ、佑学社) 1979
  • 『ビーバーのぼうけん』(アルベルト=マンツィ、偕成社文庫) 1979
  • 『くじらをすきになった潜水艦』(マルチェッロ・アルジッリ、大日本図書) 1983
  • 『クリン王 イタリアの昔ばなし』(剣持弘子共編訳、小峰書店) 1984
  • 『スーパーでかぶた』(ルイージ・マレルバ (en:Luigi Malerba)、松籟社) 1986
  • 『監獄島の少年』(ルース・パーク (en:Ruth Park)、国土社) 1988

ジャンニ・ロダーリ

[編集]
  • 『ジップくん宇宙へとびだす』(ジャンニ・ロダーリ、偕成社) 1967
  • 『空にうかんだ大きなケーキ』(ロダーリ、講談社) 1971
  • 『もしもし…はなしちゅう』(ロダーリ、大日本図書) 1983
  • 『うそつき国のジェルソミーノ』(ロダーリ、筑摩書房) 1985
  • 『“重すぎる”さんと“軽すぎる”さん』(ロダーリ、大日本図書) 1986
  • 『鏡からとびだした歯医者さん』(ロダーリ、大日本図書) 1986
  • 『海をさんぽした超高層ビル』(ロダーリ、大日本図書) 1987
  • 『だれもがはいれる家』(ロダーリ、大日本図書) 1987
  • 『わらいじょうごのお姫さま』(ロダーリ、大日本図書) 1988

脚注

[編集]
  1. ^ 常設展”. 北海道立文学館 (2013年). 2017年1月14日閲覧。
  2. ^ a b 日本児童文学学会 編『児童文学事典』東京書籍、1988年、32-33頁https://alc.chiba-u.jp/cl/index.html#%E3%81%82 
  3. ^ 古田さんのこと2”. 日本児童文学者協会 (2014年). 2023年2月2日閲覧。

関連項目

[編集]