小野梓
小野 梓(おの あずさ、1852年3月10日(嘉永5年2月20日) - 1886年(明治19年)1月11日)は、日本の法学者。明治の政治運動家。専門は英米法。
概略
[編集]土佐国宿毛(高知県宿毛市)出身。男性。親友であった大隈重信を助け、東京専門学校(現在の早稲田大学)の創立の中心者で早稲田大学建学の母と言われている。ジェレミ・ベンサムの思想を分析した。
来歴
[編集]- 1852年3月10日(嘉永5年2月20日): 土佐国幡多郡宿毛に軽格武士の小野節吉・助野の次男として生まれる。幼名は一(てついち、𪚥一)。
- 1869年(明治2年): 東京に出て昌平学校で学ぶ[1]。
- 1870年(明治3年): 上海に渡航し、西洋留学の志を得る[2]。
- 1871年(明治4年): 春頃から横浜の修文館でアメリカ・オランダ改革派の宣教師サミュエル・ブラウンから英語を学び、バーレーの「万国史」の翻訳に務める[2]。
- 1872年(明治5年)
- 1873年(明治6年)-1874年(明治7年):英国に留学[2]。
- 1874年(明治7年): 啓蒙団体「共存同衆」を結成。
- 1876年(明治9年): 司法省官吏となり、後5年間在職。
- 1882年(明治15年): 3月、大隈重信の幕下として立憲改進党を結成。10月、東京専門学校(現・早稲田大学)を創立。
- 1885年(明治18年): 主著『国憲汎論』の著述を完了。
- 1886年(明治19年)1月11日 : 肺結核のため自宅で没する。享年33歳。同月14日、「願入院釈東洋居士」の戒名が付けられ、東京谷中の天王寺墓地に埋葬される。
著作
[編集]著書
[編集]- 『国憲汎論』 上、丸家善七、1882年12月。全国書誌番号:49011996。
- 『国憲汎論』 中、丸家善七、1883年4月。全国書誌番号:49011996。
- 『国憲汎論』 下、東洋館書店、1885年9月。全国書誌番号:49011996。
- 『国憲汎論』 上(再版)、丸家善七、1883年7月。NDLJP:990835 NDLJP:2937345。
- 『国憲汎論』 中(再版)、集成社書店、1886年9月。NDLJP:990835 NDLJP:2937346。
- 『国憲汎論』(合本版)東洋館書店、1885年12月。全国書誌番号:21319457。
- 『国憲汎論』(第4版)博文堂、1891年11月。NDLJP:2937344。
- 『国憲汎論』高田早苗・市島謙吉訂正増補(訂正増補第5版)、博文堂、1892年5月。全国書誌番号:40023393。
- 明治文化研究会 編『国憲汎論』日本評論社〈明治文化全集 第28巻〉、1968年6月。全国書誌番号:51001969。
- 『民法之骨』 上篇、東洋館、1884年12月。全国書誌番号:40026065。
- 『東洋論策』東洋館、1885年5月。全国書誌番号:40020108。
- 福島, 正夫、中村, 吉三郎、佐藤, 篤士 解説 編『国憲論綱・羅瑪律要』早稲田大学比較法研究所〈早稲田大学比較法研究所叢書 第6号〉、1974年7月。全国書誌番号:72004607。
遺稿集・全集
[編集]東洋遺稿(高田早苗編)
[編集]- 収録:条約改正論、民間衰頽論、勤王論
- 収録:日本財政論
小野梓全集(西村真次編)
[編集]- 収録:民法之骨、東洋遺稿上巻、東洋遺稿下巻、東洋論策
- 収録:東洋雑稿(20篇)、東洋書翰(21通、参考1通)、東洋詩文(詩51篇、文5編)、東洋原稿(15篇)、留客斎日記
小野梓全集(早稲田大学大学史編集所編)
[編集]- 収録:国憲汎論
- 収録:羅瑪律要、民法之骨、国憲関係論策(4編)
- 収録:思想関係論策(9編)、政治外交関係論策(78編)、法律関係論策(13編)
- 収録:東洋論策、財政経済関係論策(49編)、学問教育関係論策(17編)、宗教関係論策(12編)、社会関係論策(19編)、雑(16編)、大隈公政略記
- 収録:社会活動関係資料(共存同衆29編、立憲改進党11編、東洋館書店3編)、詩・歌・語・物語(詩74編、歌2編、語14編、物語1編)、書翰(80通、参考2通)、自伝・履歴・願書(自伝1編、履歴4通、願書4通)、留客斎日記
- 収録:補遺、正誤補訂表、総目次、年譜、著作目録、欧文書名索引、人名索引
参考文献
[編集]- 早稲田大学仏教青年会編纂 編『小野梓』冨山房、1926年6月。
- 西村真次『小野梓伝』冨山房、1935年11月。
- 西村真次『小野梓伝 伝記・小野梓』大空社〈伝記叢書122〉、1993年6月。ISBN 978-4872364217。
- 永田新之允『小野梓』冨山房、1897年12月。
- 早稲田大学大学史編集所 編『小野梓の研究 小野梓没後百年記念』早稲田大学出版部、1986年10月。ISBN 978-4657860286。
- 中村尚美『小野梓』早稲田大学出版部、1989年6月。ISBN 978-4657895165。
- 吉井蒼生夫 編『小野梓 ――独立自主の精神』早稲田大学、2003年1月。
- 澤大洋『小野梓の政法思想の総合的研究 日本の憲法学と政党政綱の源流』東海大学出版会、2005年3月。ISBN 978-4486016915。
- 勝田政治『小野梓と自由民権』有志舎、2010年6月。ISBN 978-4903426341。
- 大日方純夫『小野梓 ――未完のプロジェクト』冨山房インターナショナル、2016年3月。ISBN 978-4866000077。
など
関連項目
[編集]- 交詢社
- 早稲田大学仏教青年会 小野梓がつくった仏教団体。
- 冨山房 小野梓が設立した「東洋館書店」の後進。
- 小野梓記念賞
外部リンク
[編集]- 『小野梓』 - コトバンク
- 『小野 梓』 - コトバンク
- 小野 梓:作家別作品リスト - 青空文庫
- 小野梓 | 近代日本人の肖像 - 国立国会図書館
- 小野梓関係文書(寄託) | 憲政資料室の所蔵資料 | 国立国会図書館
- 早稲田人名データベース 小野梓
- 小野梓の胸像 - 早稲田ウィークリー
- 小野 梓(おの あずさ) - 宿毛市
- 小野梓記念公園 - 宿毛市
- 梓会
- 早稲田大学 - 大隈を支えた人々 - - ウェイバックマシン(2007年9月29日アーカイブ分)