早稲田大学雄弁会
早稲田大学雄弁会(わせだだいがくゆうべんかい)は、1902年設立の早稲田大学の弁論クラブである。OBの多くが政治家や記者となるため、政治家の登竜門的な位置付けとして取られることが多い。出身者から5人の内閣総理大臣を輩出している。なお、公式には政治家志望の学生の親睦団体ではないため、早稲田大学卒業の政治家の中で同会非出身者も多くいる。
沿革
[編集]- 1884年(明治17年) - 足尾銅山鉱毒事件による学生運動から、前身の同政会が発足。
- 1902年(明治35年) - 早稲田大学雄弁会発足。大学創設者の大隈重信が雄弁会総裁に就任。顧問に高田早苗博士、会長に安部磯雄教授を戴く。
- 1923年(大正12年) - 軍事研究団を解散に追い込む(浅沼稲次郎、戸叶武、稲村隆一らが活躍)。
- 1929年(昭和 4年) - 会長不在の雄弁会消滅[1]。
- 1945年(昭和20年) - 学生雄弁会および弁論部結成[2]。
- 1946年(昭和21年) - 学生雄弁会と弁論部が統合され、早稲田大学雄弁会再発足[2]。
実績
[編集]- 1956年(昭和31年)OBの石橋湛山が内閣総理大臣に就任した。
- 1987年(昭和62年)OBの竹下登が内閣総理大臣に就任した。
- 1989年(平成元年)OBの海部俊樹が内閣総理大臣に就任した。
- 1998年(平成10年)OBの小渕恵三が内閣総理大臣に就任した。
- 2000年(平成12年)OBの森喜朗が内閣総理大臣に就任した。
主な出身者
[編集]内閣総理大臣経験者
[編集]- 石橋湛山(第55代内閣総理大臣)
- 竹下登(第74代内閣総理大臣) [3]
- 海部俊樹[4](第76・77代内閣総理大臣。中央大学辞達学会にも所属)
- 小渕恵三(第84代内閣総理大臣)
- 森喜朗(第85・86代内閣総理大臣)
戦前・戦後に活動した政治家、元国会議員
[編集]- 木下尚江(足尾鉱毒問題等で論陣・社会主義運動家)
- 三木武吉(元衆議院議員)
- 大山郁夫(元衆議院議員・元雄弁会会長)
- 牧山耕蔵(元衆議院議員)
- 松村謙三(元衆議院議員・元農水大臣)
- 山道襄一(元衆議院議員)
- 田渕豊吉(元衆議院議員)
- 比佐昌平(元衆議院議員)
- 風見章(元衆議院議員・元司法大臣)
- 笹森順造(元衆議院議員・元青山学院長)
- 桜井兵五郎(元衆議院議員・元国務大臣)
- 宮澤胤勇(元衆議院議員)
- 粟山博(元衆議院議員)
- 山森利一(元衆議院議員・元呉羽町長)
- 武谷甚太郎(元衆議院議員・元石川県会議長)
- 多賀谷真稔(元衆議院副議長・元社会党書記長)
- 稲田直道(元衆議院議員)
- 鈴木茂三郎(元衆議院議員)
- 西岡竹次郎(元衆議院議員・元長崎県知事)
- 堀川恭平(元衆議院議員)
- 森下国雄(元衆議院議員)
- 中村三之丞(元衆議院議員・元運輸大臣)
- 高橋円三郎(元衆議院議員・元農水大臣)
- 田原春次(元衆議院議員)
- 村上勇(元衆議院議員・元郵政大臣)
- 稲村隆一(元衆議院議員)
- 川俣清音(元衆議院議員)
- 野田武夫(元衆議院議員・元自治大臣)
- 平野力三(元衆議院議員・元農水大臣)
- 降旗徳弥(元衆議院議員)
- 西田隆男(元衆議院議員)
- 内藤隆(元衆議院議員)
- 稲富稜人(元衆議院議員)
- 浅沼稲次郎(元衆議院議員・元社会党委員長)
- 中野正剛(元衆議院議員, ジャーナリスト)
- 永井柳太郎(元逓信大臣)
- 堤康次郎(元衆議院議長,実業家)
- 深谷隆司(元衆議院議員・元通商産業大臣)
- 緒方竹虎(元衆議院議員・元副総理)
- 三塚博(元衆議院議員・元大蔵大臣)
- 玉澤徳一郎(元衆議院議員・元農林水産大臣)
- 藤波孝生(元衆議院議員・元内閣官房長官)
- 石田博英(元衆議院議員・元運輸大臣)
- 松永光(元衆議院議員・元大蔵大臣)
- 松村謙三(元衆議院議員・元文部大臣)
- 橋本登美三郎(元衆議院議員・元運輸大臣)
- 佐藤観次郎(元衆議院議員・元衆議院議員)
- 佐藤観樹(元衆議院議員・元自治大臣)
- 斎藤隆夫(元衆議院議員・元行政調査部総裁)
- 小島静馬(元参議院議員)
- 千田正(元参議院議員・元岩手県知事)
- 三宅正一(元衆議院副議長)
- 菊池福治郎(元衆議院議員)
- 中村高一(元衆議院副議長)
- 武藤山治(元衆議院議員・元日本社会党代議士会会長)
- 高津正道(元衆議院副議長)
- 喜多壮一郎(元衆議院外務委員長)
- 金石清禅(元参議院議員・元保守党政調副会長)
- 青木幹雄(元参議院議員・元内閣官房長官)
- 西岡武夫(元参議院議長)
- 渡部恒三(元衆議院副議長)
- 吉田治(元衆議院議員)
- 小泉俊明(元衆議院議員)
- 阿知波吉信(元衆議院議員)
- 山田良司(元衆議院議員)
- 菅原一秀(元衆議院議員・元経済産業大臣)
- 川内博史(元衆議院議員)
- 荒井広幸(元参議院議員・元内閣官房参与)
現役衆議院議員
[編集]カッコ内の数字は衆議院当選回数。
- 額賀福志郎(第79代衆院議長、自民党衆議院議員、元財務大臣、13)
- 山本有二(自民党衆議院議員、元農林水産大臣、11)
- 岩屋毅(自民党衆議院議員、元防衛大臣、9)
- 下村博文(自民党衆議院議員、元文部科学大臣、9)
- 安住淳(立憲民主党衆議院議員、元財務大臣、9)
- 大島敦(立憲民主党衆議院議員、8)
- 松原仁(立憲民主党衆議院議員、元国家公安委員会委員長、8)
- 手塚仁雄(立憲民主党衆議院議員、5)
- 國場幸之助(自民党衆議院議員、4)
- 谷田川元(立憲民主党衆議院議員、3)
現役参議院議員
[編集]カッコ内の数字は参議院当選回数。
首長・地方議会議員
[編集]その他
[編集]- 三宅久之(政治評論家)
- 伊藤源太(NHKアナウンサー)
- 粕谷賢之(日本テレビ報道局長)
- 川村晃司(テレビ朝日コメンテーター)
- 船田宗男(元フジテレビ解説委員長)
- 反町理(フジテレビ 報道局解説委員長兼プライムニュース編集長)
- 新井明(元日本経済新聞社社長)
- 田勢康弘(政治ジャーナリスト)
- 宮崎吉政(政治評論家)
- 潮匡人(軍事評論家)
- 岡沢憲芙(政治学者)
- 川崎一夫(刑法学者)
- 尾崎士郎(作家)
- 豊田行二(作家)
- 神藏孝之(企業家、イマジニア株式会社代表取締役社長)
- 牛山純一(すばらしい世界旅行等ドキュメンタリー映像作家)
- 藤原保信(元早大教授・政治学者)
- 山本武彦(早大教授・現会長)
- 茅嶋洋一(予備校講師・伝習館裁判原告)
- 山田清志(東海大学学長)
- 松江英夫(デロイトトーマツグループ)
関連書籍
[編集]- 『実力政治家を輩出する「早大雄弁会」の研究』(大下英治 PHP研究所 1988年) ISBN 978-4569221328
- 『永田町の“都の西北”―小説早稲田大学』(上・下)(大下英治 角川文庫)
脚注
[編集]- ^ 早稲田大学百年史 総索引年表/年表 昭和元年~九年
- ^ a b 早稲田大学百年史 総索引年表/年表 昭和二十年~二十九年
- ^ 竹下の在学中、雄弁会は活動停止になっていたため、正式には雄弁会に籍を置いたことがないが、「雄弁会があれば当然に入会していたであろう」という理由で雄弁会OBとなっている。
- ^ “海部俊樹氏が死去、91歳 水玉ネクタイがトレードマーク、第76代首相”. 日刊スポーツ (2022年1月14日). 2022年1月14日閲覧。