柏餅

柏餅
贈答用の箱と柏餅
葛飾北斎

柏餅(かしわもち)は、平たく丸形にした上新粉をはさんで二つ折りにし、カシワ又はサルトリイバラなどで包んだもの。[1]

概説

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カシワの葉を用いた柏餅は徳川九代将軍家重から十代将軍家治の頃、江戸で生まれた。カシワの葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、「子孫繁栄(家系が途切れない)」という縁起をかついだものとされる。江戸で生まれた端午の節句に柏餅を供えるという文化は、参勤交代で日本全国に行き渡ったと考えられているが、1930年代ごろまではカシワの葉を用いた柏餅は関東が中心であった。カシワの葉でくるむものが生まれるより前にサルトリイバラなどの葉で包む餅が存在し、カシワの自生が少ない地域ではこれが柏餅として普及していた。その後韓国中国からカシワの葉が輸入されるようになったこともあり、カシワの葉でくるむ柏餅が全国的に主流となっている[2]

なお、「柏」の字は本来はヒノキ科針葉樹コノテガシワを指す漢字で、コノテガシワは柏餅に使う葉とは全く異なる。柏餅に用いるブナ科のカシワには、厳密には「槲」の字を使うのが正しい。

餡の種類は、つぶあんこしあんがポピュラーであるがそのほか「みそあん」も用いられる。京都では、白味噌餡を用いているところもある。また亜種として餅が蓬餅で作られたものも近年存在している。カシワの葉を用いた場合は「かしわもち」と呼ばれることが多く、他の植物を用いた場合に「しばもち」など地方により異なる名称を持つ。

包んでいる葉は香り付けや包装を目的としたものであるため、食用には不適である[3][注 1]。個人によっては食べる場合も食べない場合も存在するが、一部では、材料費を抑えるためにカシワの葉を象ったビニールシートで餅を包んだものが売られている。カシワの自生が少ない近畿圏以西ではサルトリイバラの葉が用いられることもあり、「かしわもち」の他、「しばもち」、「ちまき」、「かからだご」、「おまき」、「だんご」、「いばらもち」など地方ごとに特色のある名称が用いられている。ホオノキミョウガナラガシワコナラなどを利用する地域もある。葉の大きさにより包み方が異なり、カシワでは「くるむ」ことが多く、サルトリイバラでは「はさむ」ことが多い。東北北陸山陰地方などでは端午の節句にはちまきを用いる地域が多い。

兵庫県高砂市鹿嶋神社の名物として通年販売され、柏餅を製造販売する店が参道に何軒かある[2]

韓国のマンゲドク

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韓国ではサルトリイバラ韓国語でマンゲ)の葉で餅を包んだ「マンゲトク」(망개떡 [5])という柏餅に似た食べ物が旧正月に食べられている。

伽耶およびイムジン戦役の時代から記録があると言われている[要出典]が、マンゲトクに使われている甘い餡は日本で16~17世紀頃に初めて登場し、日本統治時代に韓国に伝わったことから、マンゲトクは柏餅の起源ではない。

脚注

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注釈

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  1. ^ 宮内庁管理部の料理人であった渡辺誠は、自著の中で昭和天皇が柏餅を葉ごと食したエピソードを紹介している。渡辺が柏餅を皿に盛って供したところ、昭和天皇は皿に盛られた物は全て食用という認識から、「美味しくない」と述べつつも葉脈だけを残して完食した。食後、渡辺は女官から、あらかじめ葉を広げておくようにと叱られたという[4]

出典

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  1. ^ 柏餅(かしわもち)とは - コトバンク”. 朝日新聞社. 2018年5月3日閲覧。
  2. ^ a b 服部保、南山典子、澤田佳宏、黒田有寿茂「かしわもちとちまきを包む植物に関する植生学的研究」『人と自然 Humans and Nature』第17巻第1号、兵庫県立人と自然の博物館、2007年、1-11頁。 
  3. ^ “柏餅の葉っぱは、食べていいの?ところでこれって何の葉っぱ?”. 暮らしニスタ (主婦の友社). (2019年11月7日). https://kurashinista.jp/column/detail/4915 2020年7月13日閲覧。 
  4. ^ 渡辺誠『昭和天皇 日々の食』文藝春秋、2004年、43 - 46頁。ISBN 4163596704 
  5. ^ 【プチフード】日本の柏餅に似ている韓国のマンゲトッ!(SeoulNavi)

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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