滝の拝
滝の拝(たきのはい)は、和歌山県東牟婁郡古座川町小川(古座川支流)にある渓流瀑。
概要
[編集]付近の川床は約1kmにわたり、熊野層群下里累層が露出して出来ており、小石が水流で転がって岩石を削り、次第に深い穴になった甌穴(ポットホール)が多数形成され、その一部が水路状になり、奥が落差約8mの滝になっている[1]。
2010年(平成22年)3月16日に和歌山県の名勝・天然記念物に指定されている[2]。
ボウズハゼの岩登り
[編集]毎年、ボウズハゼの岩登りがみられ、7月下旬から始まって8月にピークとなり、9月末ごろまでみられる[3]。
トントン釣り
[編集]滝の拝では夏期には滝つぼに鮎が密集し、その鮎を餌や囮なしで釣り針で引っかけて釣り上げる「トントン釣り」という呼ばれる特有の漁法が現地に伝わっている。滝つぼの底を重りがトントンとたたくためそう呼ばれる。小川を含む古座川漁協内では毎年6月1日に鮎漁が解禁されるが、滝ノ拝橋から上流500mまではアユが滝の上流まで遡上できるよう1999年から解禁日を半月遅らせている[4]。なお、滝の拝周辺は岩場が凹凸しており危険なため、漁協組合員だけが漁をできる。
伝説
[編集]昔、滝の拝の近くに、太郎という侍が居り、人々の目を楽しませるために滝の周辺の岩床に刀で穴を掘り続けていた。ある日、千個目の穴まであと1つというところで刀を滝壺に落としてしまう。太郎は刀を拾うために滝壺に潜ったきり戻ってこないため、家人や近所の人々は滝の主に食われたのだろうと七日の法事をしていたが、その時に太郎がひょっこり帰って来たため驚いた。太郎の話では滝壺の底に立派な宮殿があり、そこに住む滝の主だというお姫様が大勢の侍女とともに太郎を大歓待してくれたとのこと。太郎は夢中になって遊んでいたが、ふと家のことが気になり戻ってきたが、落とした刀と一緒に丸い大きな石を土産にもらって帰ってきたのだという。太郎が戻ってからは、それまで滝壺で雷のようにゴロゴロと鳴っていた音がピタリと止んだという。
なお、そのとき持って帰ったとされる石が近くにある金比羅神社の境内に置かれている。
アクセス
[編集]- JR紀勢本線 古座駅から古座川沿いの県道38号線を約7km上り、明神橋交差点から県道43号線を約12km上る。(滝ノ拝トンネルを越えてすぐ)
- JR古座駅から「古座川町ふるさとバス」田川行き乗車約44分「滝の拝」下車。
脚注
[編集]- ^ 滝の拝:熊野の観光名所(み熊野ねっと)
- ^ 滝ノ拝が県文化財に 名勝・天然記念物は3件目 - AGARA紀伊民報(2010年03月17日)
- ^ ボウズハゼが岩登り 古座川の名勝「滝の拝」 紀伊民報、2023-12-05閲覧
- ^ 「トントン釣り」解禁 古座川町「滝ノ拝」 - AGARA紀伊民報(2010年06月16日)