父よあなたは強かった

父よあなたは強かった(ちちよあなたはつよかった)は、1939年(昭和14年)1月20日コロムビアレコードから発売された戦時歌謡。旧レコード番号30110。

作詞作曲

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大阪朝日新聞東京朝日新聞が、1938年(昭和13年)10月、「皇軍将士に感謝の歌」の懸賞募集をした。この募集の一等が、「父よあなたは強かった」で、佳作一席が「兵隊さんよありがとう」である。

作詞したのは、福田節という一般の女性で、作曲に際しては、コロムビアが山田耕筰や、服部良一等を含む12人の作曲家に依頼して作曲したものを、テスト盤に吹き込み、一般大衆を主とした公開視聴会を行った。この作品群の中で、よく大衆の想いにマッチした曲として、コロムビア専属の新人作曲家明本京静が作曲したものが選ばれた。

レコード

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吹き込みは伊藤久男霧島昇二葉あき子松原操が行い、1939年1月20日に発売された。同日、日比谷公会堂で発表演奏会が行われ、4名の歌手が同曲を歌唱した。

B面は、愛国歌「仰げ軍功」。

発売から5ヶ月で50万枚近くのレコードを売り上げた。

曲名 作詞 作曲 編曲
A 父よあなたは強かった 福田節 明本京静 奥山貞吉 伊藤久男霧島昇二葉あき子松原操
B 仰げ軍功 得丸一郎 竹岡信幸 服部良一 霧島昇、二葉あき子

内容

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いろいろと歌詞について論議のある曲でもあり、阿川弘之海軍こぼれ話』によるとこの曲を聴いた米軍人が「これは前線の状況が悲惨だと訴える反戦歌か」と聞いてきたという。

山本七平『私の中の日本軍』によると「敵のかばねと共に寝て泥水すすり草をかみ」というこの歌の歌詞そのままの状況を呈していたルソン戦線では、思わずこの歌を口ずさんだ他の兵士に「やめろ! こんな歌を作ったやつは殺してやりたいぐらいだ」と怒鳴った兵士がいたという。

外山滋比古は、「父親のことを子があなたと呼ぶのはけしからんという声もあった。戦争でことばが乱れたのかもしれない」(『日本語の作法』35頁, 新潮文庫, 2010年)としている。