甘木鉄道甘木線
甘木線 | |||
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大原信号場で行き違う甘木線の列車 | |||
概要 | |||
起終点 | 起点:基山駅 終点:甘木駅 | ||
駅数 | 11駅 | ||
運営 | |||
開業 | 1939年4月28日 | ||
三セク転換 | 1986年4月1日[1] | ||
所有者 | 鉄道省→運輸通信省→ 運輸省→日本国有鉄道→ 甘木鉄道 | ||
使用車両 | 甘木鉄道#車両を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線総延長 | 13.7 km (8.5 mi) | ||
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) | ||
電化 | 全線非電化[1] | ||
運行速度 | 65 km/h[2] | ||
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停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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甘木線(あまぎせん)は、佐賀県三養基郡基山町の基山駅から福岡県朝倉市の甘木駅に至る甘木鉄道の鉄道路線である。旧日本国有鉄道(国鉄)の特定地方交通線を承継した路線である[1]。
路線データ
[編集]- 管轄(事業種別):甘木鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):13.7km[1]
- 軌間:1067mm
- 駅数:11駅(起終点駅含む。他に信号場1)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)[2]
- 保安装置:ATS-SK
- 最高速度:65km/h[2]
運行形態
[編集]途中駅での始発・終着はなく、すべての列車が基山駅 - 甘木駅間を運行する。朝ラッシュ時の2両編成の列車をのぞきワンマン運転である。平日の朝・夕時間帯は約15分間隔、土曜・休日と平日の昼間時間帯は約30分間隔で運転されている。日祝日は早朝深夜の一部の列車が運休する。
2022年9月23日改正時点の運行本数は平日42往復、土曜・休日34往復で、甘木駅の始発は5時27分(土曜・休日は56分)、基山駅の最終は23時36分(土曜・休日は23時05分)である。
2両編成の列車であっても、貫通扉は使用せずに乗務員は1両目と2両目の前部に乗務し、2両目の乗務員も運賃・乗車券の確認を行う。そのため、ワンマン列車を2両繋げた形態となっている。かつては、3両編成の列車も運行されていたが、車両の大型化が進んだことと大原信号場新設、太刀洗駅の交換設備復活による列車増発により廃止された。
国鉄時代は鹿児島本線に乗り入れ博多駅に直通する列車も設定されていた。運行は朝夕のみで甘木駅での車両滞泊はなく、21時台で最終になっていた。竹下気動車区の車両が使用され、最末期はキハ40形を中心に、キハ20形も併用されていた。
連絡運輸の取り扱いは、九州旅客鉄道(JR九州)との定期乗車券のみである。かつては甘木駅に基山駅からのJR乗車券を発売する券売機と、西鉄小郡駅からの西日本鉄道(西鉄)の乗車券を発売する券売機を設置していた。甘木鉄道には西鉄の企画切符「あまぎぐるりんフリーきっぷ」でも乗車できる。
利用状況
[編集]輸送実績
[編集]甘木線の輸送実績を下表に記す。[3][4] 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別輸送実績 | ||||||
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年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 輸送密度 人/1日 | 特 記 事 項 | |||
通 勤 定 期 | 通 学 定 期 | 定期外 | 合 計 | |||
1986年(昭和61年) | 12.6 | 27.9 | 35.8 | 76.3 | 1,238 | 国鉄より転換 小郡駅移転 |
1987年(昭和62年) | 21.7 | 40.3 | 36.3 | 98.3 | 1,502 | 立野駅・大板井駅・山隈駅新設 |
1988年(昭和63年) | 23.6 | 43.2 | 37.0 | 103.8 | 1,592 | |
1989年(平成元年) | 26.9 | 51.7 | 43.9 | 122.5 | 1,917 | |
1990年(平成2年) | 28.0 | 53.2 | 45.7 | 126.9 | 1,993 | |
1991年(平成3年) | 30.8 | 56.9 | 47.9 | 135.6 | 2,107 | |
1992年(平成4年) | 33.6 | 60.0 | 50.9 | 144.5 | 2,222 | |
1993年(平成5年) | 32.4 | 59.3 | 52.2 | 143.9 | 2,219 | |
1994年(平成6年) | 33.6 | 59.6 | 53.6 | 146.8 | 2,293 | |
1995年(平成7年) | 32.6 | 56.8 | 54.4 | 143.8 | 2,204 | |
1996年(平成8年) | 31.7 | 53.8 | 53.5 | 139.0 | 2,143 | |
1997年(平成9年) | 31.3 | 54.1 | 53.3 | 138.7 | 2,074 | |
1998年(平成10年) | 29.6 | 51.1 | 52.3 | 133.0 | 1,950 | |
1999年(平成11年) | 29.1 | 48.5 | 51.9 | 129.5 | 1,947 | |
2000年(平成12年) | 27.3 | 42.4 | 52.0 | 121.7 | 1,796 | |
2001年(平成13年) | 28.8 | 43.9 | 55.5 | 128.2 | 1,909 | |
2002年(平成14年) | 29.0 | 43.9 | 54.5 | 127.4 | 1,840 | 今隈駅新設 |
2003年(平成15年) | 27.9 | 40.9 | 55.6 | 124.4 | 1,742 | 大原信号場新設 |
2004年(平成16年) | 27.8 | 37.9 | 54.1 | 119.8 | 1,611 | |
2005年(平成17年) | 30.3 | 37.9 | 54.2 | 122.4 | 1,600 | |
2006年(平成18年) | 45.7 | 109.9 | ||||
2007年(平成19年) | 41.0 | 41.1 | 51.3 | 133.4 | ||
2008年(平成20年) | 41.9 | 41.4 | 51.5 | 134.8 | ||
2009年(平成21年) | 37.7 | 42.1 | 51.9 | 131.7 | 1,740 | |
2010年(平成22年) | 39.0 | 43.7 | 51.3 | 134.0 | ||
2011年(平成23年) | 39.5 | 40.0 | 50.5 | 130.0 | ||
2012年(平成24年) | 40.9 | 41.6 | 50.5 | 133.0 | 1,685 | |
2013年(平成25年) | 48.5 | 39.8 | 49.7 | 138.0 | 1,822 | |
2014年(平成26年) | 48.2 | 37.8 | 50.4 | 136.4 | 1,843 | |
2015年(平成27年) | 46.7 | 39.5 | 52.8 | 139.0 | 1,898 | |
2016年(平成28年) | 46.6 | 38.2 | 51.7 | 136.5 | 1,895 | |
2017年(平成29年) | 46.8 | 37.6 | 54.0 | 138.4 | 1,944 | |
2018年(平成30年) | 49.9 | 36.3 | 55.3 | 141.5 | 1,994 | |
2019年(令和元年) | 51.7 | 37.9 | 54.1 | 143.7 | 2,026 | |
2020年(令和2年) | 42.6 | 26.5 | 36.9 | 106.0 | 1,489 | |
2021年(令和3年) | 44.4 | 31.9 | 40.8 | 117.0 | 1608 |
収入実績
[編集]甘木線の収入実績を下表に記す。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別収入実績 | |||||||
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年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 | 総合計 千円/年度 | ||||
通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1986年(昭和61年) | 52,217 | ←←←← | 91,773 | 0 | 143,990 | 3,542 | 147,532 |
1987年(昭和62年) | 31,361 | 32,766 | 91,942 | 0 | 156,069 | 5,647 | 161,716 |
1988年(昭和63年) | |||||||
1989年(平成元年) | |||||||
1990年(平成2年) | |||||||
1991年(平成3年) | |||||||
1992年(平成4年) | |||||||
1993年(平成5年) | |||||||
1994年(平成6年) | |||||||
1995年(平成7年) | 50,868 | 52,617 | 126,416 | 0 | 229,901 | 4,866 | 234,767 |
1996年(平成8年) | |||||||
1997年(平成9年) | |||||||
1998年(平成10年) | |||||||
1999年(平成11年) | |||||||
2000年(平成12年) | |||||||
2001年(平成13年) | |||||||
2002年(平成14年) | |||||||
2003年(平成15年) | |||||||
2004年(平成16年) | 48,164 | 39,712 | 134,029 | 0 | 221,905 | 6,018 | 227,923 |
2005年(平成17年) | 53,230 | 39,146 | 132,467 | 0 | 224,843 | 6,518 | 231,361 |
2006年(平成18年) | |||||||
2007年(平成19年) | |||||||
2008年(平成20年) | |||||||
2009年(平成21年) | 46,040 | 35,316 | 124,394 | 0 | 205,750 | 6,246 | 211,996 |
歴史
[編集]甘木・朝倉地区では大正期に鉄道新設の機運が高まり、鹿児島本線鳥栖駅 - 上山田線臼井駅間を結ぶ鳥臼線期成会や、久大本線の朝倉地区誘致期成会、また当時建設が予定されていた筑紫電気軌道(後の西鉄天神大牟田線)横隈駅(現在の三沢駅付近と思われる)と甘木を結ぶ路線等の構想が持ち上がったが、いずれも実現しなかった。
1919年(大正8年)に開設された陸軍の太刀洗飛行場への輸送は、軽便鉄道である中央軌道(依井(新町) - 上田代間。後に朝倉軌道田代線)や朝倉軌道が行なっていたが、輸送力に限界もあることなどから「大刀洗飛行隊第4連隊鉄道引込線」が計画された。これが甘木線の始まりである。1935年(昭和10年)12月に建設が正式決定され、1939年(昭和14年)4月28日に開業した。
1966年(昭和41年)に太刀洗飛行場跡に開設されたキリンビール福岡工場の貨物輸送を行っていたが、トラック輸送への移行により1984年(昭和59年)に貨物営業を廃止した。
年表
[編集]- 1935年(昭和10年)12月 国有鉄道甘木線の建設が正式決定。
- 1937年(昭和12年)5月 着工。
- 1939年(昭和14年)4月28日 【開業】甘木線 基山 - 甘木間 【駅新設】筑後小郡、筑後松崎、西太刀洗、太刀洗、甘木
- 1960年(昭和35年)11月1日 【駅新設】筑前高田
- 1981年(昭和56年)9月18日 第1次特定地方交通線として廃止承認。
- 1984年(昭和59年)
- 1986年(昭和61年)4月1日 【転換】甘木鉄道[1] 【駅名改称】筑後小郡→小郡(400m東へ移転)[1]、筑後松崎→松崎[1]、筑前高田→高田[1]
- 1987年(昭和62年)11月1日 【駅新設】立野、大板井、山隈
- 2002年(平成14年)12月1日 【駅新設】今隈
- 2003年(平成15年)4月1日 【信号場新設】大原
- 2006年(平成18年)7月4日 大雨により宝満川橋梁の一部が傾斜したため大板井 - 松崎間が不通となる。同年12月20日から運行再開。不通の間はこの区間をバス代行輸送していた。また、全所属車両8両中3両が基山 - 大板井間に取り残されていた。
駅一覧
[編集]- *印は甘木鉄道転換以降の新設駅。( )内は転換直前の駅名。
- 線路(全線単線) … ◇:列車交換可能、|:列車交換不可
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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基山駅 | - | 0.0 | 九州旅客鉄道: 鹿児島本線(JB12) | | | 佐賀県 三養基郡 基山町 | |
立野駅* | 1.3 | 1.3 | | | |||
大原信号場* | - | 2.5 | ◇ | 福岡県 | 小郡市 | |
小郡駅 (筑後小郡駅) | 2.5 | 3.8 | 西日本鉄道:T 天神大牟田線(西鉄小郡駅:T22) | | | ||
大板井駅* | 0.7 | 4.5 | | | |||
松崎駅 (筑後松崎駅) | 1.9 | 6.4 | ◇ | |||
今隈駅* | 1.3 | 7.7 | | | |||
西太刀洗駅 | 0.7 | 8.4 | | | 三井郡 大刀洗町 | ||
山隈駅* | 1.2 | 9.6 | | | 朝倉郡 筑前町 | ||
太刀洗駅 | 0.8 | 10.4 | ◇ | |||
高田駅 (筑前高田駅) | 1.4 | 11.8 | | | |||
甘木駅 | 1.9 | 13.7 | 西日本鉄道:A 甘木線(A01) | ◇ | 朝倉市 |
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h 『鉄道ジャーナル』第21巻第10号、鉄道ジャーナル社、1987年8月、98-101頁。
- ^ a b c 線路施設・運転の概要(平成31年3月末現在) - 国土交通省九州運輸局
- ^ “九州運輸要覧”. 九州運輸局. 2023年5月15日閲覧。
- ^ “輸送人員の推移・収入の実績” (PDF). 甘木鉄道株式会社. 2023年5月15日閲覧。
- ^ “国鉄甘木線基山-太刀洗間の貨物廃止も”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1984年9月12日)
参考文献
[編集]- 飯田栄彦『甘鉄物語』 甘木鉄道、2004年