進め一億火の玉だ

「進め一億火の玉だ」の標語のポスター(報道技術研究会[1]

進め一億火の玉だ」(すすめいちおくひのたまだ)は、第二次世界大戦中に大政翼賛会が掲げたスローガンの一種、およびそれを題材とした軍歌

なお、「一億」とは当時日本が統治していた台湾朝鮮の人口をあわせた数である。本土の人口は7000万人程度であった。

歌はマレー作戦の開戦の当日(1941年12月8日)に既に日本のニュース放送の間奏曲に用いられ、すぐにこのフレーズが流行した[2]

軍歌

[編集]
「進め一億火の玉だ」
ヴォーカルフォア合唱団シングル
A面 進め一億火の玉だ
B面 頑張りどころだ
リリース
ジャンル 軍歌
レーベル キングレコード
作曲 大政翼賛会長妻完至
テンプレートを表示
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴
進め一億火の玉だ(戦後新録音版)
キングレコード提供のYouTubeアートトラック

作詞は大政翼賛会が作曲は長妻完至が担当している[3]。歌詞やタイトルから戦争末期を思わせるが、日米開戦翌年の1942年に発売されている。

歌詞では国民の憤激、戦闘意欲高揚などを歌っている。

林伊佐緒真理ヨシコキング男声合唱団による戦後の新録音もある。

B面曲の「頑張りどころだ」は、読売新聞制定歌である。

収録曲

[編集]

規格品番は67014

曲名 作詞 作曲 編曲
A 進め一億火の玉だ 大政翼賛会 長妻完至 篠原正雄 ヴォーカルフォア合唱団
B 頑張りどころだ 山添花秋 大村能章 大村能章 林伊佐緒近衛八郎井口小夜子横山郁子

歌詞

[編集]
歌詞と楽譜
進め一億火の玉だ
大政翼賛會宣傳部
行くぞ 行かうぞ ぐわんとやるぞ
大和魂 伊達ぢやない
見たか 知つたか 底力
こらへこらへた 一億の
堪忍ぶくろの 緒が切れた
靖國神社の おん前に
拍手うつて ぬかづけば
親子兄弟 夫らが
今だ たのむと 聲がする
おいらの胸にや ぐつときた
さうだ一億 火の玉だ
一人一人が 決死隊
がつちり組んだ この腕で
守る銃後は 鐵壁だ
何が何でも やり拔くぞ
×
進め一億 火の玉だ!
行くぞ一億 どんと 行くぞ!

発売

[編集]

レコードとしての発売元はキングレコードポリドール・レコード[4]。 「屠れ!米英我等の敵だ[4]大東亜決戦の歌」などのレコードも一緒に発売された[5]

当時の人々の反応

[編集]

作家の永井荷風が日記(断腸亭日乗、昭和16年12月12日)で、「むかし英米我等の師、困る億兆火の車」と揶揄する落書きがあったという話を報告している[6]

脚注

[編集]
  1. ^ https://www.admt.jp/collection/item/?item_id=85
  2. ^ http://hdl.handle.net/10291/11706
  3. ^ SP盤発売当時のレーベル表記では「大政翼賛会 作詞作曲」とされていた。
  4. ^ a b ポスター
  5. ^ 『時代を映したキャッチフレーズ事典』 p.191
  6. ^ https://www.showakan.go.jp/main/wp-content/uploads/2023/01/13_imai.pdf

関連項目

[編集]