酸化トリウム(IV)
酸化トリウム(IV) | |
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酸化トリウム(IV) | |
別称 二酸化トリウム 酸化トリウム | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1314-20-1 |
PubChem | 14808 |
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特性 | |
化学式 | ThO2 |
モル質量 | 264.04 g/mol |
外観 | 白色固体 |
密度 | 10.00 g/cm3 |
融点 | 3390 °C, 3663 K, 6134 °F |
沸点 | 4400 °C, 4673 K, 7952 °F |
水への溶解度 | 不溶 |
磁化率 | −16.0×10−6 cm3/mol |
屈折率 (nD) | 2.200 |
構造 | |
格子定数 (a, b, c) | a = 559.74(6) pm[1] Å |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH | −1226(4) kJ/mol |
標準モルエントロピー S | 65.2(2) J K−1 mol−1 |
危険性 | |
引火点 | 不燃性 |
半数致死量 LD50 | 400 mg/kg |
関連する物質 | |
その他の陽イオン | 酸化ハフニウム(IV) 酸化セリウム(IV) |
関連物質 | 酸化ウラン(IV) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酸化トリウム(IV)(さんかトリウム よん。英語: thorium(IV) oxide)は、化学式がThO2と表されるトリウムの酸化物である。
性質
[編集]ThO2は既知の酸化物の中で、最高の融点を有する[2]。トリウムの酸化物としては、ThO2の他に、トリウムが+2価を取っているThOも知られている[3]。ただ、トリウムは+4価の状態が化学的に比較的安定である事が知られている[4]。トリウムが+4価の状態にある化合物のThO2は、化学的に安定である[4]。しかし、トリウムには1つも安定核種が存在しない[5]。したがって、化学的には安定であっても、トリウムの原子核が崩壊し、放射線を出して別な元素に放射性崩壊するため、僅かずつながらThO2は次第に減少してゆく性質も有する。もちろん放射線被曝も引き起こす。
人間とのかかわり
[編集]- 1970年代までのカメラの高性能レンズには、酸化トリウムやウランを含むガラスが用いられていたことがあった。1979年時点でレンズメーカーなどに約6トンもの酸化トリウムが保管されていた[7][8]。ただし、トリウムを含むガラスは放射性の他に、黄変するという問題もあり、ランタノイドに取って代わられた。
- 1979年、神奈川県鎌倉市の事業家が空気清浄機や人造ラジウム温泉装置を製作しようと試み、無許可のまま自宅などに400kg近くの酸化ラジウムを保管。一部は屋外に野積みされていたことが発覚した。事業家は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)違反で神奈川県警察に逮捕された[9]。
製造
[編集]酸化トリウム(IV)はシュウ酸トリウム(IV)の焙焼[10]、または、硝酸トリウム(IV)の焙焼で得られる [11]。
出典
[編集]- ^ Yamashita, Toshiyuki; Nitani, Noriko; Tsuji, Toshihide; Inagaki, Hironitsu (1997). “Thermal expansions of NpO2 and some other actinide dioxides”. J. Nucl. Mater. 245 (1): 72–78. doi:10.1016/S0022-3115(96)00750-7.
- ^ Emsley, John (2001). Nature's Building Blocks (Hardcover, First ed.). Oxford University Press. pp. 441. ISBN 978-0-19-850340-8
- ^ 元素111の新知識, p. 365.
- ^ a b 元素111の新知識, p. 367.
- ^ 元素111の新知識, p. 366.
- ^ 土山 秀夫(編)『病理学 総論』 p.333 医歯薬出版 1983年7月1日発行
- ^ 核物質ずさん管理露呈 売った会社既に倒産『朝日新聞』1979年(昭和54年)7月7日朝刊13版 23面
- ^ “酸化トリウム含有のガラス片の発見について”. コニカミノルタ (2005年6月24日). 2021年9月22日閲覧。
- ^ 核物質を無防備貯蔵 鎌倉の会社社長 人騒がせな温泉研究『朝日新聞』1979年(昭和54年)7月7日朝刊13版 23面
- ^ Allred, V. D.; Buxton, S. R.; McBride, J. P. (1957). “Characteristic Properties of Thorium. Oxide Particles”. The Journal of Physical Chemistry 61 (1): 117-120. doi:10.1021/j150547a029. ISSN 0022-3654.
- ^ Murphy, Richard; Grant, Nicholas J. (2014). “PROPERTIES OF NICKEL-THORIA ALLOYS PREPARED BY THERMAL DECOMPOSITION OF THORIUM NITRATE”. Powder Metallurgy 5 (10): 1-12. doi:10.1179/pom.1962.5.10.001. ISSN 0032-5899.
参考文献
[編集]- 桜井弘『元素111の新知識 : 引いて重宝、読んでおもしろい』講談社〈ブルーバックス B-1192〉、1997年。ISBN 4062571927。 NAID 10027573432。全国書誌番号:21536899。