飯野正子
飯野 正子(いいの まさこ、1944年 - )は、日本の歴史学者。津田塾大学名誉教授、元学長。学校法人津田塾大学の理事長や文部科学省中央教育審議会(中教審)委員も務めた。専門は日カナダ・日米関係。
略歴
[編集]大阪府豊中市生まれ[1]。大阪学芸大学附属池田中学校(現:大阪教育大学附属池田中学校)[2]、大阪府立豊中高等学校[3]を経て、1966年に津田塾大学学芸学部英文学科を卒業。フルブライト奨学生として1968年にシラキュース大学大学院歴史学専攻修士課程を修了。
1981年津田塾大学助教授、1991年教授(~2013年)。2004年学長(~2012年)。この間、マギル大学客員助教授、アカディア大学客員教授。2012年学校法人津田塾大学の理事長。2013年名誉教授、三菱財団理事となる[4]。
人物
[編集]フルブライト奨学生として留学中にアメリカ史を専攻。当時、アメリカ史は「政治を中心とした歴史から『社会史』に注目が移りつつあった時代」で、日系移民についても研究。帰国後、津田塾で講義をしながら、日系アメリカ人についての研究を進め、1980年代から1990年代にカリフォルニア州で日系1世、2世から聞き取り調査。カナダの日系カナダ人の歴史などを比較してきた[5]。
2005年(平成17年)2月から中央教育審議会(中教審)委員を、ノーベル化学賞受賞者の野依良治、音楽評論家の湯川れい子、国際政治学者の猪口邦子とともに務めた。この時の会長は鳥居泰彦で、文部科学大臣は中山成彬[6]。
そのほか、ブリンマー大学招聘教授や日本私立大学連盟の常務理事、公益財団法人日米教育交流振興財団(フルブライト記念財団)の理事、一般財団法人放送番組国際交流センターの評議員、公益財団法人三菱財団の理事、一般社団法人津田塾大学同窓会の会長、キッコーマン株式会社の社外取締役などを歴任した[7]。
また、1997年に著書『日系カナダ人の歴史』でカナダ首相出版賞受賞。2001年国際カナダ研究カナダ総督賞を受賞。2019年(令和元年)秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章している[8][7]。
著書
[編集]共編著
[編集]- 『エスニック・アメリカ 多民族国家における同化の現実』(明石紀雄・田中真砂子共著、有斐閣選書) 1984年
- 『引き裂かれた忠誠心 第二次世界大戦中のカナダ人と日本人』(パトリシア・E・ロイ, 高村宏子, ジャック・L・グラナスティン共著、ミネルヴァ書房) 1994年
- 『エスニック・アメリカ 新版 多民族国家における統合の現実』(明石紀雄共著、有斐閣選書) 1997年
- 『アメリカ合衆国とは何か 歴史と現在』(高村宏子, 粂井輝子共編、雄山閣出版) 1999年
- 『津田梅子を支えた人びと』(亀田帛子, 高橋裕子共編、津田塾大学) 2000年
- 『カナダを知るための60章』(綾部恒雄共編著、明石書店、エリア・スタディーズ) 2003年
- 『現代カナダを知るための57章』(竹中豊共編著、明石書店、エリア・スタディーズ) 2010年
- 『エスニック・アメリカ 第3版 多文化社会における共生の模索』(明石紀雄共著 有斐閣選書) 2011年
- 『カナダを旅する37章』(竹中豊共編著、明石書店、エリア・スタディーズ) 2012年
翻訳
[編集]- 『120%の忠誠 日系二世・この勇気ある人びとの記録』(ビル・ホソカワ、猿谷要監修、共訳、有斐閣選書R) 1984年
- 『我ら見しままに 万延元年遣米使節の旅路』(マサオ・ミヨシ、佳知晃子監訳、高村宏子, 篠田左多江, 今井輝子共訳、平凡社) 1984年
- 『人種のるつぼを越えて 多民族社会アメリカ』(ネイサン・グレイザー, ダニエル・P・モイニハン、阿部斉共訳、南雲堂) 1986年
- 『アメリカ史のサイクル、1 外交問題と国益』(アーサー・M・シュレシンジャー・Jr.、パーソナルメディア) 1988年
- 『甦れ独立宣言 アメリカ理想主義の検証』(ハワード・ジン、高村宏子共訳、人文書院) 1993年
- 『祖国のために死ぬ自由 徴兵拒否の日系アメリカ人たち』(エリック・L・ミューラー監訳、刀水書房、刀水歴史全書) 2004年
脚注
[編集]- ^ 玉川上水サミット - 小平市
- ^ 大阪教育大学附属池田中学校同窓会「皐城会」の会報2005年(平成17年)3月
- ^ 創立90周年式典挙行 - 校長室から - 大阪府立豊中高等学校ブログ2011年11月12日
- ^ 2 0 2 1 年 度 事 業 報 告 〕三菱財団
- ^ 飯野 正子 | Real People | ディスカバー・ニッケイ - 全米日系人博物館
- ^ 産経新聞2005年2月1日朝刊 中教審、新メンバー28人任命 地方枠空席スタート 人数めぐり文科省と溝
- ^ a b 2019年秋の叙勲 飯野正子名誉教授が瑞宝中綬章を受章|津田塾大学 アーカイブ 2021年12月9日 - ウェイバックマシン
- ^ 『官報』号外第151号、令和元年(2019年)11月5日