双八元数
数学における双八元数(そうはちげんすう、英: bioctonion)または複素八元数(ふくそはちげんすう、英: complex octonion)は、双四元数 p, q の対 (p, q) として与えられる。二つの双八元数の積は、双四元数の乗法と双共軛 (biconjugate) p ↦ p* を用いて と定義される。
- 双八元数 z ≔ (p, q) の共軛は z* ≔ (p*, −q) とする。
- 双八元数 z のノルムは N(z) ≔ zz* (= pp* + qq*) と定義され、これは八つの項を持つ複素二次形式(エルミート二次形式)である。
双八元数全体の成す多元環(双八元数代数、双八元数環)は、単純に実係数の八元数体の複素化として導入されることもあるが、抽象代数学においては複素数体・自明な対合・二次形式 z2 の三つ組からのケイリー–ディクソン構成の結果として得られる。双八元数環は一般八元数環の一つの例である。
双八元数の任意の対 y, z に対して が成り立つから、これにより N は合成可能な二次形式であることが分かり、したがって双八元数環は合成代数を成す。
複素八元数はクォークやレプトンの世代を記述するのに用いられた[1]。
脚注
[編集]- ^ C. Furey (2016) Standard Model Physics from an Algebra ?
参考文献
[編集]- J. D. Edmonds (1978) Nine-vectors, complex octonion/quaternion hypercomplex numbers, Lie groups and the ‘real’ world, Foundations of Physics 8(3-4): 303–11, doi:10.1007/BF00715215 link from PhilPapers.
- J. Koeplinger & V. Dzhunushaliev (2008) "Nonassociative decomposition of angular momentum operator using complex octonions", presentation at a meeting of the American Physical Society
- D.G. Kabe (1984) "Hypercomplex Multivariate Normal Distribution", Metrika 31(2):63−76 MR744966
- A.A. Eliovich & V.I. Sanyuk (2010) "Polynorms", Theoretical and Mathematics Physics 162(2) 135−48 MR2681963