岩田慶治
人物情報 | |
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生誕 | 1922年1月12日 日本神奈川県横浜市 |
死没 | 2013年2月17日 (91歳没) |
出身校 | 京都大学 |
学問 | |
研究分野 | 文化人類学 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
岩田 慶治(いわた けいじ、1922年1月12日 - 2013年2月17日)は、日本の文化人類学者。国立民族学博物館名誉教授、東京工業大学名誉教授。
経歴
[編集]1922年、神奈川県横浜市で生まれた。旧制富山高校で学び、地理学に関心を持っていた。戦後の1948年、京都大学文学部市学科を卒業。卒業論文は、オーストラリアのアルンタ族[1]の地域観に関するものであった[2]。
その後は大阪市立大学助教授に就いた。東京工業大学教授の後、国立民族学博物館教授となった。1986年に国立民族学博物館を定年退官し、名誉教授となり、東京工業大学の名誉教授となった。その後は大谷大学教授として教鞭をとった。2013年2月17日、肺炎により死去[3]。91歳没。
研究内容・業績
[編集]東南アジア(主にタイ、ラオス)を中心にフィールドワークを進めた。戦後初の東南アジアの海外調査に携わった第一世代になる。
現地の生活・文化を研究した著作、日本文化に関連した著作があり、また独自のアニミズム論を構築したことで広く知られている[4]。主要著作は『岩田慶治著作集』(全8巻)に収められている。
指導学生に関根康正(関西学院大学教授、第26期日本文化人類学学会会長)がいる。 [5]。
受賞・栄典
[編集]著作
[編集]- 単著
- 『日本文化のふるさと:東南アジア稲作民族をたずねて』角川新書 1966
- 角川選書 1991年
- 文庫化改題『日本文化の起原:東南アジア稲作民族をたずねて』角川文庫
- 『東南アジアのこころ:民族の生活と意見』アジア経済研究所 1969
- 『カミの誕生:原始宗教』(世界の宗教) 淡交社 1970
- 『合掌造り くらしと風土』安達浩写真、淡交社 1970
- 『東南アジアの少数民族』日本放送出版協会・NHKブックス 1971
- 『草木虫魚の人類学 アニミズムの世界』淡交社 1973[7]
- 講談社学術文庫
- 『コスモスの思想―自然・アニミズム・密教空間』NHKブックス 1976
- 岩波同時代ライブラリー 1993年
- 『カミの人類学:不思議の場所をめぐって』講談社 1979
- 『創造人類学入門:知の折り返し地点』小学館創造選書 1982
- 『カミと神:アニミズム宇宙の旅』講談社 1984
- 講談社学術文庫
- 『道元の見た宇宙』青土社 1985
- 文庫化改題『道元との対話』講談社学術文庫
- 『人間・遊び・自然―東南アジア世界の背景―』NHKブックス 1986
- 『自分からの自由』講談社現代新書 1988
- 『花の宇宙誌』青土社 1990
- 『からだ・こころ・たましい:宗教の世界を旅する』ポプラ社 1990
- 『日本人の原風景:自分だけがもっている風景画』淡交社 1992
- 『アニミズム時代』法藏館 1993
- 法藏館文庫
- 『<わたし>とは何だろう―絵で描く自分発見―』講談社現代新書 1996
- 『死をふくむ風景―私のアニミズム―』NHKブックス 2000
- 『木が人になり、人が木になる。―アニミズムと今日』人文書館 2005
- 『森林・砂漠・草原―森羅万象とともに』人文書館 2006
- 著作全集
『岩田慶治著作集』(全8巻) 講談社 1995
- 1巻 日本文化の源流
- 2巻 草木虫魚のたましい
- 3巻 不思議の場所
- 4巻 アニミズムの地平
- 5巻 道元との対話
- 6巻 コスモスからの出発
- 7巻 生命のかたち
- 8巻 風景学と自分学
- 編著
- 『子ども文化の原像―文化人類学的視点から―』日本放送出版協会 1985
- 『世界の子ども文化』創元社 1987
- 共著
- 『人類学的宇宙観』川喜田二郎共著(講談社現代新書)1975
- 『スリランカの祭』井狩弥介・鈴木正崇・関根康正共著(工作舎)1982
- 『子どもの発見』本田和子・小島美子・竹内敏晴・秋山さと子・山折哲雄共著(光村図書・朝日カルチャーブックス)1985
- 『神と人―古代信仰の源流』松前健・水野正好・福永光司・岩井宏實・五来重共著(大阪書籍・朝日カルチャーブックス)1986
- 『人間終末の風景―臨死体験をやさしく科学する』中村雅彦・山折哲雄・大谷宗司・山中康裕・久野昭共著(大阪書籍・朝日カルチャーブックス)1993
- 共編著
- 『生と死の人類学』石川栄吉・佐々木高明共編(講談社)1985
- 『子どもの世界:39冊のフィールドワークから』栗田靖之・松原正毅共編(くもん出版)1985
- 『アジアの宇宙観』杉浦康平共編(講談社)1989
- 翻訳
- 『文化を超えて』エドワード・T・ホール著、谷泰共訳、TBSブリタニカ 1979
研究評伝
[編集]- 野間晴雄2023「岩田慶治・アジアを語る:フィールドの経験と自画像」『関西大学東西学術研究所紀要』56, 89-107頁.doi
- 『岩田慶治を読む 今こそ〈自分学〉への道を』松本博之・関根康正編(京都大学学術出版会)2022
- 「岩田慶治「京都学派およびポスト京都学派」という文脈において」西垣有[8]
脚注
[編集]- ^ アランダ族(コトバンク)
- ^ 「岩田慶治・アジアを語る:フィールドの経験と自画像」
- ^ 文化人類学者の岩田慶治さん死去 産経新聞 - archive.today(2013年4月27日アーカイブ分)
- ^ 鈴木正崇「アニミズムの地平-岩田慶治を越えて」『森羅万象のささやきー民俗宗教研究の諸相』風響社、2015年、911-928頁
- ^ “岩田慶治先生追悼シンポジウム「草木虫魚と向きあう」”. 国立民族学博物館. 2022年12月16日閲覧。
- ^ “第11回~第20回南方熊楠賞受賞者”. 南方熊楠顕彰館. 2022年8月16日閲覧。
- ^ [1]松岡正剛の千夜千冊(757)
- ^ 大阪大学