Billboard JAPAN

Billboard JAPAN(ビルボード・ジャパン)は、アメリカ合衆国の音楽チャート『ビルボード』の日本[1]

『ビルボード』の刊行会社より独占ライセンスを得て阪急阪神東宝グループの株式会社阪神コンテンツリンク阪神電気鉄道の子会社)により運営されている[2][3][4][5][6]

Hot 100(楽曲総合チャート)やHot Albums(アルバム総合チャート)、Artist100(アーティスト人気チャート)といった代表的[注釈 1]なものからアニメソングやボーカロイド、UGC(ユーザー生成コンテンツ)などの専門的なものまで、各種音楽チャートを発表している(後節参照)。

各チャートは毎週水曜日に発表される(Billboard.com(アメリカ版)では毎週木曜日に更新)。アルバム総合チャートおよび日本国外における日本楽曲のチャートは毎週木曜日に発表される。

歴史

[編集]

2006年、アメリカの週刊音楽雑誌『ビルボード』の刊行会社と阪神コンテンツリンクが、日本におけるライセンス契約を締結[6]

2007年夏、ライブハウス[注釈 2]「Billboard Live」(ビルボードライブ)が東京・大阪・福岡でオープンした[6][9](「阪神コンテンツリンク#ビルボード」も参照)。同時にウェブサイト「Billboard-japan.com」を開設した[10]

また、阪神コンテンツリンクはアメリカのビルボードチャートを日本向けに販売するビジネスも展開していた。しかし、日本の音楽業界においてアメリカのチャートのニーズは低く、売上は不振となり、日本版チャートを立ち上げる方向になる[11][10][12][13]

2008年2月28日からは日本版チャートの公開を開始した[14]。なお、アメリカ国外でビルボードの名を冠したチャートを発表する国はカナダ(2007年6月7日開始)に続いて世界で2ヶ国目となった。

2009年8月、福岡の音楽興行マーケットの縮小などを理由にライブハウス「ビルボードライブ福岡」が閉店[15]

2010年代からは、ライブコンサート「ビルボードクラシックス」の全国展開も行っている[16]

2018年3月、カフェ「ビルボードカフェ&ダイニング」が東京ミッドタウン日比谷に開店した[17]が、2020年8月2日に閉店した[18]

2019年11月より、チャートの内容や音楽に関するニュースを解説するポッドキャストの配信が開始された[19]

2020年7月、ライブハウス「Billboard Live」(ビルボードライブ)が横浜にオープン[20]

2021年9月より、チャートデータにビデオリサーチの視聴率データとエム・データのTVメタデータを紐づけた新サービス『CHART insight Plus』を提供開始[21]

2023年9月より、日本市場を除くグローバルチャート「Global Japan Songs Excl. Japan 」と世界各国の日本楽曲の人気チャート「Japan Songs(国名)」の発表を開始した[22][23][24]

チャート

[編集]

楽曲・シングル

[編集]
チャート 集計 順位 備考
Hot 100 CDセールス
エアプレイ
ストリーミング
デジタル・ダウンロード
動画再生
カラオケ
100
  • 楽曲総合チャート。2008年2月28日から新設。
  • 複数の指標データを基に人気の上位100曲の順位を決定。
Hot Overseas 20
  • 洋楽総合チャート。2013年12月9日付から新設。
  • Hot 100から当該ジャンルの楽曲を抽出。
Hot Animation
  • アニメソング・アニメ声優の楽曲の総合チャート。2010年12月6日付から新設。
  • Hot 100から当該ジャンルの楽曲を抽出。
Streaming Songs ストリーミング 100
  • 2017年10月9日付から新設[25]
  • 日本国内主要オンデマンド型聴き放題サービスでの再生回数、プレイリスト型ストリーミングサービスの再生回数を集計。
  • 集計対象はAmazon Music(Unlimited,Prime Music)、Apple Music、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、Rakuten Music、TOWER RECORDS MUSIC、Spotify、 dヒッツ、うたパス、YouTube Music
  • Hot 100を構成する6指標のひとつ。
Download Songs デジタル・ダウンロード
  • 2017年10月9日付から新設[25]
  • 日本国内主要ダウンロードサービスでの販売実績を集計。
  • 集計対象はiTunes、amazon、mora、mu-mo、レコチョク
  • Hot 100を構成する6指標のひとつ。
Top Singles Sales CDセールス
Top User Generated Songs 動画再生 20
Heatseekers Songs エアプレイ
デジタル・ダウンロード
ストリーミング
動画再生
  • 新人チャート。2020年12月7日付から新設。
  • Hot 100からラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計。
  • 楽曲がHot 100の20位以内にランクインしたアーティストは、次週以降チャートの対象外となる。
  • 2021年6月7日付より、直近6か月(26週)中4か月相当(17週)以上20位以内にチャートインしたアーティストは除外する新ルールが導入された。
Hot Shot Songs ダウンロード
ストリーミング
動画再生
  • 「Hot 100」チャートの指標の中からダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の合計ポイントの増加率を集計した急上昇楽曲チャート[26]
  • 2024年12月4日に新設された[27]
ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20 ニコニコ動画
  • ニコニコ動画上におけるVOCALOID楽曲人気チャート。2022年12月7日発表分から新設。
  • 動画再生数や作成数、コメント数、いいね数などのデータを基に上位20位までのランキングを生成
Global Japan Songs Excl. Japan ストリーミング
動画再生
デジタル・ダウンロード
  • 世界(国外)における日本の楽曲総合チャート。2023年9月14日発表分から新設。
  • Global 200のチャートデータから日本市場を外し、日本の楽曲を抽出。
Japan Songs(国名)
  • 各国における日本の楽曲チャート。2023年9月14日発表分から新設。
  • 韓国・台湾・タイ・シンガポール・インド・ドイツ・フランス・イギリス・南アフリカ・米国・ブラジルでの順位を毎週発表。

アルバム

[編集]
チャート 集計 順位 備考
Hot Albums CDセールス
デジタル・ダウンロード
ストリーミング
100
  • アルバム総合チャート。2015年6月8日付から新設。
  • 2022年度まではルックアップの回数も集計対象となっていた。
  • 2024年12月26日付より主要ストリーミングサービスでの再生回数も対象とする。
Top Albums Sales CDセールス
  • CDアルバムセールスチャート。
  • サウンドスキャンジャパン調べのCD売上枚数が用いられる。
  • Hot Albumsを構成する3指標のひとつ。
Download Albums デジタル・ダウンロード
  • 2017年10月9日付から新設[25]
  • 日本国内主要ダウンロードサービスでのアルバム単位での販売実績を集計。
  • 集計対象はiTunes、amazon、mora、mu-mo、レコチョク
  • Hot Albumsを構成する3指標のひとつ。

アーティスト

[編集]
チャート 順位 集計
Artist 100 100
  • アーティストチャート。
  • Hot 100とHot Albumsのポイントを合算、アーティスト単位
Hot 100 Composers
  • 作曲家チャート。
  • Hot 100でポイントを獲得した作曲家
Hot 100 Lyricists
  • 作詞家チャート。
  • Hot 100でポイントを獲得した作詞家

過去に公表されていたチャート

[編集]
チャート 集計 順位 備考
Digital and Airplay Overseas デジタル・ダウンロード
エアプレイ
20
  • iTunes Store Japanでの売上件数とエアプレイを基にした洋楽チャート。
  • 2010年12月6日付から2013年11月25日付まで発表。現在はHot Overseasに移行。
Top Overseas Soundtrack Albums CDセールス
Top Independent Albums and Singles CDセールス 100
  • インディーズアルバム・シングルチャート。
  • 2008年8月25日付から2015年6月1日付まで公表。
Adult Comtenporary Airplay エアプレイ
  • アダルトコンテンポラリーチャート(聴取対象が35歳以上のラジオ番組での再生回数を元に算出)。
  • 2008年9月1日付から2015年6月1日付まで公表。
Radio Songs エアプレイ
  • ラジオ・エアプレイ総合チャート(2015年6月8日付でHot Top Airplayより改称)。
  • Hot 100を構成する6指標のひとつ。
  • 2009年8月3日付から2017年10月2日付まで公表。
Top Jazz Albums CDセールス 20
  • ジャズCDアルバムチャート。
  • 2009年8月3日付から2017年10月2日付まで公表。
Top Classical Albums
  • クラシック音楽CDアルバムチャート。
  • 2009年8月3日付から2017年10月2日付まで公表。
TikTok HOT SONG Weekly Ranking TikTok
  • 楽曲の日本国内におけるTikTok上の再生回数や影響力などを総合的に判断して生成。
  • 2019年12月11日付から2021年12月3日付まで公表後、「TikTok Weekly Top20」に移行[28][29]
Hot Buzz Song デジタル・ダウンロード
動画再生
Twitter
10
  • 2016年6月27日付から新設。
  • インターネット上で話題になっている楽曲をチャートに反映する。
  • Twitter指標の集計が終了した2023年度以降は発表されていない。
TikTok Weekly Top20 TikTok 20
  • TikTok上における楽曲人気チャート。2021年12月13日付から新設され、2024年11月27日をもって終了[30]
  • 動画において楽曲がどのように使われ、視聴されているのかを数値化したデータをTikTokから受領し、それに独自の係数を乗じて生成。

ビルボード・ジャパン・ミュージック・アワード

[編集]

ビルボード・ジャパン・ミュージック・アワード(Billboard JAPAN MUSIC AWARDS)は、ビルボード・ミュージック・アワードの日本版として2009年度より開始された音楽賞である。

その年度のビルボードジャパン1年間のチャートを元に、各チャートの年間1位に贈られる「チャート部門」、各チャートから1度でも1位を取ったアーティストをノミネート対象とし、インターネット及び携帯サイトでの一般投票で決められる「アーティスト部門」とその中の最多得票を獲得したアーティストに贈られる「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」等で構成される。

NEXT FIRE

[編集]

『NEXT FIRE』は、Billboard JAPANが動画プラットフォームのTikTokと共同で2020年10月から開始した音楽番組。新たに公開が始まった新人アーティストチャート「Heatseekers Songs」をもとに、TikTok LIVEを用いたアーティストによるライブの生配信や、収録インタビューを配信する[31]

ライブハウス

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 年間チャートでは、主要3部門として扱っている。
  2. ^ 公式には「ライブハウス」という呼称を使わず、「クラブ&レストラン」と称している[7][8]

出典

[編集]
  1. ^ Billboard Japan Unveils Chart Redesign, Opens Voting for Artist of the Year Ahead of Music Awards 2014”. ビルボード (2014年12月15日). 2016年4月15日閲覧。
  2. ^ Nielsen Business Media, Inc. (2011-01-08 - 2011-03-26). Billboard 8 January – 26 March 2011. Nielsen Business Media, Inc.. pp. 9–. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=D0b70DQT1HkC&pg=RA9-PA4&dq=%22Hanshin+Contents+Link,+the+op+erator+of+Billboard+Japan%22&redir_esc=y&hl=ja 
    Billboard Japan Music Awards Name Exile Artist Of The Year”. ビルボード (2011年3月1日). 2016年4月15日閲覧。
    CRISIS MANAGEMENT: MUSIC BIZ OFFERS SUPPORT TO JAPAN AFTER QUAKE”. ビルボード (2011年3月28日). 2016年4月15日閲覧。
    Nielsen Business Media, Inc. (2011-01-08 - 2011-03-26). Billboard 8 January – 26 March 2011. Nielsen Business Media, Inc.. pp. 5–. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=D0b70DQT1HkC&pg=RA5-PA53&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ 'Billboard Live' Venues To Roll Out In Japan”. ビルボード (2006年9月14日). 2016年4月11日閲覧。
  4. ^ 'Billboard Live' Venues To Roll Out In Japan”. ビルボード (2006年9月14日). 2016年4月15日閲覧。
  5. ^ Nielsen Business Media, Inc. (18 August 2007). Billboard 18 August 2007. Nielsen Business Media, Inc.. pp. 34–. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=5Q4EAAAAMBAJ&pg=PA34&dq=Hanshin+Contents+Link&redir_esc=y&hl=ja 
  6. ^ a b c 阪神、ビルボードと提携 ライブハウスを来夏開業”. 共同通信 (2006年9月14日). 2013年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月15日閲覧。
  7. ^ 北口 2019, p. 120.
  8. ^ 北口 2019, p. 149.
  9. ^ Billboard Brings Music to Japanese Ears”. Direct Marketing News (2006年10月4日). 2006年10月4日閲覧。
  10. ^ a b 北口 2019, p. 152.
  11. ^ 北口 2019, p. 148.
  12. ^ 北口 2019, p. 182.
  13. ^ 北口 2019, pp. 184–185.
  14. ^ 日本版ビルボードチャート始まる オンエア数も加味”. 朝日新聞社. 2008年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月15日閲覧。
  15. ^ ビルボードライブ福岡、今年8月閉店へ-景気低迷を受け業績伸びず、天神経済新聞、2009年5月11日。
  16. ^ 北口 2019, pp. 172–173.
  17. ^ 音楽好きにはたまらない!ビルボードカフェ&ダイニング1号店が東京ミッドタウン日比谷にオープン、プレシャス、2018年4月4日。
  18. ^ 東京ミッドタウン日比谷の「ビルボードカフェ&ダイニング」8/2をもって閉店、Musicman、2020年7月22日。
  19. ^ Podcast, Billboard JAPAN. “Billboard JAPAN Podcast”. Google Podcasts. 2021年1月17日閲覧。
  20. ^ ビルボードライブ横浜がオープン!ここから始まる“伝説の夜”へ、ようこそ”. ビルボードジャパン. 2021年4月7日閲覧。
  21. ^ Billboard JAPAN、チャートデータにビデオリサーチの視聴率データとエム・データのTVメタデータを紐づけた新サービス『CHART insight Plus』を提供開始”. ビルボードジャパン. 2022年12月14日閲覧。
  22. ^ ビルボードジャパン、世界でヒットしている日本の楽曲チャートを発表開始(YOASOBIコメントあり)”. ビルボードジャパン. 2023年9月15日閲覧。
  23. ^ “ビルボードジャパンが新チャート開設、初回首位はYOASOBI「アイドル」”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2023年9月14日). https://natalie.mu/music/news/541040 2023年9月15日閲覧。 
  24. ^ ビルボードジャパンが始める新たなグローバル・チャートとは?”. ビルボードジャパン. 2023年9月15日閲覧。
  25. ^ a b c 【ビルボード】ダウンロード&ストリーミング・チャートがローンチ、記念すべき1週目の1位は?”. Billboard Japan (2017年10月4日). 2017年10月5日閲覧。
  26. ^ Billboard JAPAN新チャート「Japan Hot Shot Songs」新設、初回分発表|THE MAGAZINE”. THE MAGAZINE (2024年12月12日). 2024年12月12日閲覧。
  27. ^ Billboard JAPAN「Japan Hot Shot Songs」初回チャート|THE MAGAZINE”. THE MAGAZINE (2024年12月12日). 2024年12月12日閲覧。
  28. ^ 【TikTok年間楽曲ランキング2019】1位は岡崎体育「なにをやってもあかんわ」が獲得 TikTok発の新人アーティストら/音楽チャートへの影響も”. Billboard JAPAN. 2021年12月29日閲覧。
  29. ^ TikTokとビルボードジャパン、新たな楽曲人気チャート「TikTok Weekly Top 20」を発表開始”. TikTok ニュースルーム. 2021年12月29日閲覧。
  30. ^ 【TikTok Weekly Top 20】ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」3週連続1位 次週より新チャート発表 | Daily News”. Billboard JAPAN. 2024年12月12日閲覧。
  31. ^ NEXT FIRE”. www.billboard-japan.com. 2021年1月15日閲覧。

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]