かに座55番星f

かに座55番星f
55 Cancri f
かに座55番星f(想像図)
星座 かに座
分類 太陽系外惑星
(木星型惑星)
発見
発見日 2005年4月11日(発表)
2007年11月6日(公表)
発見者 J・ウィズダム(発表)
D・フィッシャー(公表)
発見場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ
発見方法 視線速度法
現況 公表
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 0.781 ± 0.007 au[1]
(1.169×108 km)
近点距離 (q) 0.730 au
(1.091×108 km)
遠点距離 (Q) 0.833 au
(1.246×108 km)
離心率 (e) 0.2 ± 0.2[1]
公転周期 (P) 260.00 ± 1.1 日[1]
0.7118 年
近点引数 (ω) 181.1 ± 60 °[1]
前回近点通過 JD 2450080.9108 ± 1.1[1]
準振幅 (K) 4.879 ± 0.6 m/s[1]
かに座55番星Aの惑星
恒星
視等級 +5.95[2]
スペクトル分類 K0IV - V[2]
質量 1.015 ± 0.051 M[2]
半径 0.98 ± 0.016 R[2]
表面温度 5196.0 ± 24.0 K[2]
金属量 [Fe/H] 0.31 ± 0.04[2]
年齢 102 ± 25億年[2]
位置
赤経 (RA, α)  08h 52m 37.0s[2]
赤緯 (Dec, δ) +28° 20′ 02″[2]
距離 40.2 ± 1.3 光年
(12.34 ± 0.4 pc[2])
物理的性質
下限質量 0.144 ± 0.04 MJ[1]
(45.7 ± 12.7 M[1])
他のカタログでの名称
かに座55番星Af, かに座ρ1星f, HD 75732 f[3], グリーゼ324 Af[3], HIP 43587 f[3], HR 3522 f[3]
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かに座55番星f: 55 Cancri f)は、かに座の方向に地球から約41光年の距離に存在する太陽に似た恒星かに座55番星Aを周回する太陽系外惑星巨大ガス惑星)である。国際天文学連合 (IAU)が定めている正式名称はHarriot(発音:[ˈhæriət][4])である。かに座55番星fは(恒星からの距離順で)この恒星系の第4惑星であり、その恒星系で5番目に発見されたことを示す"f"の名称が与えられた初めての惑星でもある[5]

名称

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2014年7月、国際天文学連合 (IAU)は存在が確定している太陽系外惑星とその恒星に正式名称を与えることを企画した[6]。その過程には一般の人々からのノミネートや投票などもあった[7]。最終的に、2015年12月にIAUはこの惑星の名称がHarriotに決定されたことを発表した[8]。この名称はオランダの王立の天文学・気象関連の協会である、Royal Netherlands Association for Meteorology and Astronomyによって投稿された名前である。Harriotはイギリスの天文学者・数学者であるトーマス・ハリオットに由来する[9]

発見

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かに座55番星fにより引き起こされたかに座55番星の視線速度の変化

かに座55番星cdの間にまだ見つかっていない惑星が存在するのではないかという最初の指摘は、2005年4月のアメリカ天文学会にて行われた[10]。しかし、そこから実際に惑星が発見され、査読誌にて公開されるまでには2年半を要した[1]

かに座55番星fは、その軌道がハビタブルゾーン内に含まれていることが判明した初めての太陽系外惑星である[11][note 1]。さらにこの惑星の発見により、かに座55番星太陽以外で初めて5つ以上の惑星を持っていることが確認された恒星系となった。

軌道と質量

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かに座55番星fと金星軌道 (0.72AU) の比較

かに座55番星fは恒星から0.7733 auの円形の軌道を260日かけて公転している[2]。惑星の発見に用いられたのが視線速度法であることから下限質量のみが判明しており、その質量木星の0.1479倍、土星のおよそ半分である[2]

ハッブル宇宙望遠鏡による位置天文学的な観測の結果、外側の惑星かに座55番星dが53°傾斜していることが示唆された[12]。もしこれが正しく、かつ惑星系全体に適用できるのであれば、かに座55番星fの真の質量は下限質量より25%大きい木星の0.18倍となる[1]。bとeは軌道傾斜角が約85°であることが分かっているがfに関してはまだ分かっていない。

性質

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惑星の観測データが視線速度法による間接的なものに限られているため、その半径や組成、温度といった情報は不明である。しかし、土星の半分程度という質量から[2]、かに座55番星fは表面が岩石ではなくガスから成る巨大ガス惑星だろうと考えられている。その軌道はハビタブルゾーンに位置しており、もし衛星が存在すれば、その表面には液体が存在する可能性がある[11]

その組成や外観が土星と海王星のどちらに近いのかは判っていないが[5]、惑星の温度からは水のに覆われたSudarsky Class II(英語版)の惑星か雲がなく、淡青色をしたSudarsky Class IIIの惑星であると思われている[要出典]

脚注

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  1. ^ 2001年に発見されたHD 28185 bもハビタブルゾーン内に位置する軌道を持つが、それが判明したのは2006年になってからである。

参考文献

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  1. ^ a b c d e f g h i j Debra A. Fischer; Geoffrey W. Marcy; R. Paul Butler; Steven S. Vogt; Greg Laughlin; Gregory W. Henry; David Abouav; Kathryn M. G. Peek et al. (2007-12-23). “Five Planets Orbiting 55 Cancri”. Astrophysics 675: 790–801. arXiv:0712.3917. Bibcode2008ApJ...675..790F. doi:10.1086/525512. 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Jean Schneider (2017年6月11日). “Notes for Planet 55 Cnc f”. 太陽系外惑星エンサイクロペディア. 2019年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  3. ^ a b c d 55 Cnc f CONFIRMED PLANET OVERVIEW PAGE”. NASA. 2020年4月20日閲覧。
  4. ^ Kent Kromarek (2009年). “Mathematics Pronunciation Guide”. 2019年9月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  5. ^ a b Shige Abe (2007年11月12日). “Researchers Identify First Five-Planet Extrasolar System”. NASA Astrobiology. 2008年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  6. ^ NameExoWorlds: An IAU Worldwide Contest to Name Exoplanets and their Host Stars”. IAU (2014年7月9日). 2020年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  7. ^ The Process”. IAU (2015年8月7日). 2015年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  8. ^ Final Results of NameExoWorlds Public Vote Released”. IAU (2015年12月15日). 2020年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  9. ^ The approved names”. IAU (2015年12月15日). 2015年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月20日閲覧。
  10. ^ J. Wisdom (2005-04-11). “A Neptune-sized Planet in the rho1 Cancri System”. DDA 36th Meeting, 10–14 April 2005—Session 5 Posters (The American Astronomical Society). オリジナルの2020-04-20時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20061216012023/http://www.aas.org/publications/baas/v37n2/dda05/29.htm 17 September 2008閲覧。. 
  11. ^ a b Ian Sample, science correspondent (2007年11月7日). “Could this be Earth's near twin? Introducing planet 55 Cancri f”. London: ガーディアン. オリジナルの2008年10月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081002080911/http://www.guardian.co.uk/science/2007/nov/07/spaceexploration 2020年4月20日閲覧。 
  12. ^ Han et al. (2001). “Preliminary Astrometric Masses for Proposed Extrasolar Planetary Companions”. The アストロフィジカルジャーナル Letters 548 (1): L57–L60. Bibcode2001ApJ...548L..57H. doi:10.1086/318927. 

関連項目

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外部リンク

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座標: 星図 08h 52m 35.8s, +28° 19′ 51″